限定版商品の発売は、あらゆるフットウエアブランドにとって重要なマーケティング戦術になりつつある。最近の例では、アウトドア用サンダルのブランドである テバ は10月29日、同じアウトドアブランドであるコトパクシ(Cotopaxi)と共同でデザインした限定版のジャケットとスリッポンを発表した。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、小売業の変革の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
限定版商品の発売は、あらゆるフットウエアブランドにとって重要なマーケティング戦術になりつつある。
最近の例では、アウトドア用サンダルのブランドであるテバ(Teva)が挙げられる。1回限りの商品コラボレーションは、今や各シーズンの商品ラインナップにおける目玉商品となっている。これは既存の顧客の関心を呼び起こし、新しい顧客を引き寄せるためのものである。テバは10月29日、最新のコラボレーションとして、同じアウトドアブランドであるコトパクシ(Cotopaxi)と共同でデザインした限定版のジャケットとスリッポンを発表した。
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女性人気を集めたコトパクシとの協業
限定版の発売は従来から、ナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)などの大手スニーカーブランドが、アスリートや著名人の知名度を利用して売上を促進するために採用されてきた。ごく最近では、クロックス(Crocs)が販売額の成長を取り戻すため使用した手法のひとつが商品のコラボレーションであった。その結果、コラボレーションは文化的に重要な存在であり続けたいブランドにとって当たり前のものとなりつつある。テバの場合、コラボレーションの目標は、プレスの評判を集めることだけではなく、自社ブランドが本格的なハイカーやキャンプ客のみを対象としたものではないと、人々から認識してもらうことである。
コトパクシとテバが限定版コレクションのために提携したのはこれが2回目だ。昨年7月には両社の提携により、テバからはサンダル、コトパクシからはウインドブレーカーが、双方の会社のシンボルカラー入りで発売された。
このコレクションは、特に女性の顧客から急速に注目を集めた。テバのシニアプロダクトラインマネージャーであるマーク・マグルーダー氏は米モダンリテールに対し、女性向けコレクションはTeva.comで2日のうちに売り切れたと語った。コレクションのうち女性用サンダルは、発売初日にはテバの親会社であるデッカー(Decker)の保有するすべてのウェブサイト(アグ[Ugg]やホカオネオネ[Hoka One One]も含む)で最高の売上を記録した。
コラボレーション相手は4種類
マグルーダー氏は、テバがパートナーシップを求めるブランドには4種類あり、シーズンごとにそれぞれの種類に合ったコラボレーションを行うようにしているという。ひとつめは、コトパクシのようなアウトドアブランドとのコラボレーションだ。次に、テバはファッションブランドとストリートウェアブランドとの提携だ。テバのこれまでのコラボレーションパートナーには、ファッションデザイナーのクリスチャン・コーワン(Christen Cowan)やアナ・スイ(Anna Sui)、スタンス(Stance)がある。
マグルーダー氏は、テバがファッションブランドやストリートウェアブランドとのコラボレーションを希望する理由として次のように述べている。「文化的に重要な存在でであり続けるという観点から、我々のブランドがそのような場所に登場することが重要だ」。
テバがコラボレーションを求める最後の種類は、マグルーダー氏が「予想外の」パートナーシップと呼ぶものだ。これには小売以外の組織とのパートナーシップが含まれるが、テバの熱心なファンと強い親和性を持つことが条件となる。このようなコラボレーションの例として、テバが2019年に、児童書「はらぺこあおむし(The Very Hungry Caterpillar)」の50周年記念に作成した限定版の子ども用サンダルがある。
アウトドア分野の急成長を追い風に
テバはデッカーの系列会社のうち、アグとホカオネオネに次いで3番目の売上を持つブランドだ。デッカーの2021年3月31日までの会計年度に、テバは1億3880万ドル(約158億円)を売り上げた。ただし前年比では0.6%の成長にとどまった。
マグルーダー氏は、商品のコラボレーションがテバのブランド認知を拡大するためにも重要な役割を果たしていると語る。米モダンリテールが以前に報告したように、パンデミックの間に人々がより多くの時間を屋外で過ごすようになったことから、多くのブランドがアウトドア用品やアパレルのコレクションを立ち上げた。NPDグループのデータによれば、アウトドア用のフットウエアの売上は、ブーツ、シューズ、サンダルを含めて、9月には2019年の同時期より15%も増加した。
マグルーダー氏は次のように語る。「当社は『現代版アウトドア』について社内で多くの話し合いを持っている。従来のアウトドアといえば、バックパックを背負って原野に行くものだった。現代版のアウトドアとは、『公園に皆で集まって昼食にしよう』といったものだ」。
コラボレーション成功の判定基準は?
NPDグループのアクセサリや靴のアナリストであるベス・ゴールドスタイン氏は、コラボレーションは「数量を増やす」ためのものではなく、「各ブランドは他社の成功を利用し、常に自社商品の差別化を試み、自社が新しい顧客の目に触れるようにし、限定商品を提供してD2Cビジネスを推進しようと試みている」とメールで述べている。「今日では、複数のソーシャルメディアプラットフォームでバイラルになることで評判を広めることができる」と氏は付け加えている。
マグルーダー氏は、商品のコラボレーションの成功を判定するとき、テバは商品がどれだけ短時間で売り切れたか、ソーシャルメディアでどれだけ話題になっているかに着目すると述べている。さらに、商品を購入するためサイトを訪問する顧客の年齢層や、それらの顧客がテバの一般的な顧客とどのように異なるかも調べる。「場合によっては、コラボレーションが期待したほど急速に売上を得られないがある。しかし、最終的に3社か4社の新しい会社から、当社との提携の申し出を受けることもある」と氏は付け加えている。
テバが今後もコラボレーションを求めるにあたり、氏は、「消費者に想像させ、消費者を惹きつけ、新たな消費者の層を呼び込むパートナー」を求めていると述べている。
[原文:‘Modern outdoors’: How Teva approaches product collaborations]
Anna Hensel(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Teva