インフレと金利上昇がいくつもの形でビジネスが影響を与えるなか、メイシーズ(Macy’s)は、今後の展望が予断を許さないと発表した最新の小売業者となった。
同社は8月22日火曜日、第2四半期の純売上が51億3000万ドル(約7490億円)と前年同期の58億3000万ドル(約8510億円)から減少した。また、前年同期には2億7500万ドル(約402億円)の利益をあげていたが、今期は2200万ドル(約32億1000万円)の純損失を記録した。
この結果は、メイシーズの経営陣が、インフレが顧客の支出を減少させ、在庫一掃のために大幅な値引きにつながると警告した5月の第1四半期決算の報告書に沿ったものである。
しかし、クレジットカードの収益が期待より少なかったことも、同社の収益を悪化させた一因だ。この事業部門からの収益は1億2000万ドル(約175億円)で、前年同期の2億400万ドル(約298億円)を下回った。同社は売上を回復させるため、新しいプライベートブランドや、サードパーティー・マーケットプレイスのビジネスに賭けようとしている。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
インフレと金利上昇がいくつもの形でビジネスが影響を与えるなか、メイシーズ(Macy’s)は、今後の展望が予断を許さないと発表した最新の小売業者となった。
同社は8月22日火曜日、第2四半期の純売上が51億3000万ドル(約7490億円)と前年同期の58億3000万ドル(約8510億円)から減少した。また、前年同期には2億7500万ドル(約402億円)の利益をあげていたが、今期は2200万ドル(約32億1000万円)の純損失を記録した。
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この結果は、メイシーズの経営陣が、インフレが顧客の支出を減少させ、在庫一掃のために大幅な値引きにつながると警告した5月の第1四半期決算の報告書に沿ったものである。
しかし、クレジットカードの収益が期待より少なかったことも、同社の収益を悪化させた一因だ。この事業部門からの収益は1億2000万ドル(約175億円)で、前年同期の2億400万ドル(約298億円)を下回った。同社は売上を回復させるため、新しいプライベートブランドや、サードパーティー・マーケットプレイスのビジネスに賭けようとしている。
「市場全体よりも著しく悪い」
メイシーズとブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)のどちらも、前年比の既存店売上高はそれぞれ9.2%と2.7%減少した。しかし、メイシーズが運営している美容品小売のブルーマーキュリー(Blue Mercury)は、既存店売上高が5.8%増加した。
「マクロ経済の環境は依然として不確実だ。我々は、けん牢なデータサイエンスツールを活用して在庫の構成を洗練させるとともに、消費者の好みの変化を読み取って対応し、需要を満たそうとしている」とメイシーズのCEOを務めるジェフ・ジェネット氏は述べている。
グローバルデータ(GlobalData)のマネージングディレクターを務めるニール・サンダース氏は、現在は多くの小売業者が苦戦しているものの、メイシーズの売上の8.4%減少は「市場全体よりも著しく悪い」とメディアの書面で述べた。四半期売上も、2019年の同時期と比べて7.5%と著しく減少している。これは在庫の合理化によるもので、2019年の水準と比べて在庫は18%減少している。
サンダース氏は、継続的なマーチャンダイジングの問題があることに触れ、これが「マーチャンダイズの選択に注意深さが欠けており、店頭にどの商品を陳列すべきかにおける完全な失敗」を示していると指摘した。
カード返済滞納も大きく影響
ほかの収益源も、金利上昇や、米国におけるクレジットカードの記録的な金額の債務の影響を受けている。
「クレジット環境の正常化に伴い、滞納件数が増加することは予想していたが、当社の第1四半期の決算発表以降、当社とクレジット業界全体で発生した滞納の増加速度は予想を超えていた」と最高財務責任者と最高執行責任者を務めるエイドリアン・ミッチェル氏は決算発表で語った。
金融サービス機関TDコーエン(TD Cowen)のマネージングディレクターを務めるオリバー・チェン氏は、最新のクレジットカードのアクティビティがもたらす負の影響を、書面で指摘した。「クレジットカードの収益は前年比で36%近く、純売上のパーセンテージでは130ベーシスポイント減少し、1億5000万ドル(約219億円)になった。これは、四半期を通して予測を上回る速さで滞納が増加したためだ」。
プライベートブランドの開発
メイシーズは再建に向けて、より小規模な形式の店舗や、2022年における売上の16%を占めたプライベートブランドの成長などいくつかの戦略が進められている。プライベートブランド担当シニアバイスプレジデントのエミリー・エルーシャ・ヒルクー氏が、最近米モダンリテールに語ったところによるとメイシーズは過去2年間、自社ブランドのポートフォリオ開発に費やしてきた。「ポートフォリオ内のすべてに手を付け、顧客の新しい声と結び付けている」と同氏は述べている。
コンサルティング企業のエー・ライン・パートナーズ(A Line Partners)の創業者兼CEOのガブリエラ・サンタニエロ氏は、メイシーズが利益率を上げるためにプライベートブランドが役立つだろうと米モダンリテールに語った。「しかし、プライベートブランドにあまり傾倒してファッション性を失うことは望ましくない。メイシーズなら実現できるだろうが、プライベートブランドと他ブランドの名前をうまく混在させるのは、微妙なバランスだ」と同氏は説明している。
メイシーズが過去に手掛けたチャータークラブ(Charter Club)やアルファニ(Alfani)などの自社ブランドは、トレンドに関心がある若い層の顧客を対象にしていなかったと同氏は指摘する。しかしメイシーズはオンサーティーフォース(On 34th)などの新しいブランドで、その認識を払拭しようとしていると同氏は述べている。
デジタルマーケットプレイスの成長
もうひとつの明るい要素は、デジタルマーケットプレイスが成長しているということだ。同社のプラットフォームは、昨年の500ブランドから大幅に増加し、現在1350ブランドが販売しており、流通取引総額は116%増加した。サンダース氏は、これまでブルーミングデールズの事業責任者を務めていたトニー・スプリング氏が新しくCEOに就任するなど、ほかの肯定的な変化についても指摘している。
メイシーズは長期的な回復計画に多額の投資を行っているが、前途は多難だと思われる。同社は2023年度の業績予想を再度発表し、売上高は前年比で減少し続ける見込みだと述べた。
「メイシーズは中間層および低階層の小売業者と同じ問題点に直面している。すなわち、オフプライスの店舗に負けつつあるということだ」とサンタニエロ氏は述べている。
[原文:Macy’s sales dip below pre-pandemic levels as its credit card business takes a hit]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Macy’s