リーバイストラウス・アンド・コーポレーション(Levi Strauss & Co.)は昨年、D2Cチャネルが総収益の55%を占めるように拡大することと、2027年までにeコマースの売上額を3倍にすることという、2つの目標を発表した。
同社はリーバイス(Levi’s)、ドッカーズ(Dockers)、ビヨンドヨガ(Beyond Yoga)というブランドを統括しており、すでに目標に向かって前進している。2021年に、D2C(ダイレクト販売)はリーバイスの収益の36%を占めていた。これが2023年の前半には総収益の44%に達し、CEOのチップ・バーグ氏は「過去最高」と評した。5月28日までの3カ月について、リーバイスのD2C純収益は13%増加し、その多くはeコマースと、フルプライスおよびアウトレット店舗によるものだった。
リーバイスは、自社のデジタルビジネス構築に長いあいだ取り組んできた。2020年には最初のデジタルアプリを公開し、レッドタブ(Red Tab)という送料無料特典のあるロイヤルティプログラムを立ち上げた。パンデミックが起きたことから、カーブサイドピックアップや、予約のスケジュール管理、およびオンラインで購入し店頭で引き取るサービスも開始した。リーバイスは店舗でのモバイル非接触型決済デバイスの導入を加速させたと、米国での事業を率いていたマーク・ローゼン氏は2020年に米モダンリテールに語った。
このセグメントをさらに成長させるため、リーバイスは2月に、同社初の最高デジタル責任者としてジェイソン・ゴーワンズ氏を招き入れた。ゴーワンズ氏はリーバイスに入社する以前、ノードストローム(Nordstrom)で、デジタルコマース担当のシニアバイスプレジデントなどマーケティング、データサイエンス、デジタルに関わる様々な役職を10年間務めた。リーバイスでは「リーバイストラウス・アンド・コーポレーションのエンジニアリング、データ、AI、およびデジタル・プロダクト・マネジメントを結びつけ、eコマースとデジタル市場進出の両方において、デジタルの取り組みの先頭に立つ」ことが役目だと、リーバイスは当時の声明で述べている。
ゴーワンズ氏は、就任後6カ月間における職務と、より多くの消費者にオンラインやアプリ内でのショッピングでリーバイスを選んでもらうための戦略について、米モダンリテールに語った。以下のインタビュー内容は簡略化と明瞭化のため編集を加えたものだ。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
リーバイストラウス・アンド・コーポレーション(Levi Strauss & Co.)は昨年、D2Cチャネルが総収益の55%を占めるように拡大することと、2027年までにeコマースの売上額を3倍にすることという、2つの目標を発表した。
同社はリーバイス(Levi’s)、ドッカーズ(Dockers)、ビヨンドヨガ(Beyond Yoga)というブランドを統括しており、すでに目標に向かって前進している。2021年に、D2C(ダイレクト販売)はリーバイスの収益の36%を占めていた。これが2023年の前半には総収益の44%に達し、CEOのチップ・バーグ氏は「過去最高」と評した。5月28日までの3カ月について、リーバイスのD2C純収益は13%増加し、その多くはeコマースと、フルプライスおよびアウトレット店舗によるものだった。
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リーバイスは、自社のデジタルビジネス構築に長いあいだ取り組んできた。2020年には最初のデジタルアプリを公開し、レッドタブ(Red Tab)という送料無料特典のあるロイヤルティプログラムを立ち上げた。パンデミックが起きたことから、カーブサイドピックアップや、予約のスケジュール管理、およびオンラインで購入し店頭で引き取るサービスも開始した。リーバイスは店舗でのモバイル非接触型決済デバイスの導入を加速させたと、米国での事業を率いていたマーク・ローゼン氏は2020年に米モダンリテールに語った。
このセグメントをさらに成長させるため、リーバイスは2月に、同社初の最高デジタル責任者としてジェイソン・ゴーワンズ氏を招き入れた。ゴーワンズ氏はリーバイスに入社する以前、ノードストローム(Nordstrom)で、デジタルコマース担当のシニアバイスプレジデントなどマーケティング、データサイエンス、デジタルに関わる様々な役職を10年間務めた。リーバイスでは「リーバイストラウス・アンド・コーポレーションのエンジニアリング、データ、AI、およびデジタル・プロダクト・マネジメントを結びつけ、eコマースとデジタル市場進出の両方において、デジタルの取り組みの先頭に立つ」ことが役目だと、リーバイスは当時の声明で述べている。
ゴーワンズ氏は、就任後6カ月間における職務と、より多くの消費者にオンラインやアプリ内でのショッピングでリーバイスを選んでもらうための戦略について、米モダンリテールに語った。以下のインタビュー内容は簡略化と明瞭化のため編集を加えたものだ。
リーバイストラウス・アンド・コーポレーションで最高デジタル責任者という肩書を持ったのはあなたがはじめてだ。この職務に就いて、まず何から取り組むかをどのように決めたのか?
多くのことに耳を傾け、多くのデータを掘り下げ、チームとの協力作業を数多く行った。その結果として、eコマースビジネスを3倍に成長させるため取り組むべき3つの要素が明らかになった。
まず、基本的なことに集中することだ。これは、発見するという体験であれ、評価・購入体験であれ、また、フルフィルメントであれ、顧客のジャーニーのあらゆる部分において、優れたオンライン小売業者であるために、何が必要かを考えるということだ。
明らかになった2つ目の大きな機会は、品揃えの進化だ。当社にとって、これは3つに分けられる。まず、消費者が望んだ品物の在庫があるようにすることだ。2つ目は、選択肢の数を増やすこと、つまり取り揃えている品物や、消費者が選べるものを増やしていくことだ。3つ目は差別化だ。Levi.comを訪問すれば、多くの選択肢を見ることができる。どれが消費者にとって最適な選択肢かはそれぞれ異なる。まとめると、これらが品揃えの進化に関する機会だ。
3つ目の大きな機会は、我々がデジタル・フラグシップ・エクスペリエンスの創造と呼んでいるものだ。当社のトラフィックの75%はモバイルだ。ロイヤルティプログラムには2600万人の顧客が登録している。そして、多くの顧客はすでにオムニチャネルな方法でショッピングを行っている。では、どうすればこれらすべてを拡大できるのかということだ。
eコマースビジネスを3倍にするという目標に向けて、どのような手順を踏んできたのか?
すでに話した3つの機会が基礎になる。基礎部分として、これにはジャーニーの発見の部分が含まれる。すなわち、消費者が検索し、閲覧し、読み進め、フィルターをかけるとき、当社は目的のものが見つかるように手助けするということだ。そして、消費者が好みのジーンズを見つけたら、今度はジーンズがその人にぴったりだと確信してもらえるよう手助けする。我々のようなサイズやフィットが重要なビジネスには、顧客を支援する機会は数多く存在する。
たとえば、現在取り組んでいることのひとつは、サイズとフィットについての新しいガイド機能だ。新しいデニムの教育ガイドを作成中だ。この分野で行えることは数多い。実際に、現在行っているテストのひとつは、一部の商品の詳細ページでスタイリストの動画を提示し、スタイリスト自身が、ジーンズについて、その感触や、どの程度伸縮するのか、その結果としてサイズアップやサイズダウンを行うべきかどうかについて話してくれるものだ。これらはすべて、顧客を支援するための機能だ。
リーバイスはデニムだけでなくほかのカテゴリーにも展開することについて話していた。デジタル側で何か進めていることはあるか?
ある。これは非常に重要で、トップス、アウターウェア、デニム以外のボトムスには大きな機会がある。そして、デニムのライススタイルを提案する小売業者としてできることのひとつは、それらのアイテムのスタイリングを支援することだ。あるイベントにぴったりなコーディネートはどのようなものだろうか、といったことだ。現在のLevi.comのおすすめ機能を見ると、単一の商品をおすすめする傾向があることがわかる。しかし、将来的にはコーディネートのおすすめ機能をテストすることも考えている。
メタバースについてはどのような立ち位置か?
難しい質問だ。これは「消費者のエクスペリエンスを改善するため、メタバースから何を学べるか」という疑問を基盤にする必要がある。我々は、消費者が望む場所にいたいと考えている。これはつまり、業界で最高のオムニチャネル小売業者になることをめざしているいうことだ。そして、消費者がメタバースで買い物をしたいのなら、当然それをテストする。しかし、前にも述べたように、今は、基本的なことに集中している。
[原文:Levi’s first-ever chief digital officer is ‘focusing on the fundamentals’ to triple e-commerce sales]
Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)