メタ(Meta)とそのプラットフォームから広告予算を移行しているブランドがいるなか、キーウィコー(KiwiCo)は、インスタグラムのリール(Reels)を中心に、逆に予算を増やしている。
キーウィコーは子ども向けの玩具、科学、アートのサブスクリプションボックスを販売している企業で、メタでのマーケティング予算を今年10%増やした。同社は主にインスタグラムでリールを使用することで、今年行ったテストでは購入あたりのコストを17%改善し、顧客あたりのコストを40%削減した。毎週いくつものリールを投稿し、社内の映像作家や、編集者、コピーライターからなるクリエイティブチームがブランド向けのコンテンツを制作している。
この2年間で、新興企業のなかには、AppleのiOS14のアップデートによって、ユーザーが一部のアプリによるオンライン活動のトラッキングを拒否できるようになったことから、マーケティング予算を、Facebookやインスタグラムなどのメタ広告プラットフォームから別のものに移すようになった。キーウィコーのCMOを務めるアンジェラ・ソング氏は、同社がほかのブランドと「同じような課題」に直面したが、昨年はパフォーマンスが回復したと述べている。リールによって、クリックスルー率が56%、リーチが63%増えたという。
ソング氏は、「正直なところ、iOSの変更は非常に影響が大きく、破壊的であり、業界においては深刻な打撃だった。パフォーマンスが戻ってきて、回復した。したがって、資金をメタに戻すことにしている」と述べている。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
メタ(Meta)とそのプラットフォームから広告予算を移行しているブランドがいるなか、キーウィコー(KiwiCo)は、インスタグラムのリース(Reels)を中心に、逆に予算を増やしている。
キーウィコーは子ども向けの玩具、科学、アートのサブスクリプションボックスを販売している企業で、メタでのマーケティング予算を今年10%増やした。同社は主にインスタグラムでリールを使用することで、今年行ったテストでは購入あたりのコストを17%改善し、顧客あたりのコストを40%削減した。毎週いくつものリールを投稿し、社内の映像作家や、編集者、コピーライターからなるクリエイティブチームがブランド向けのコンテンツを制作している。
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この2年間で、新興企業のなかには、AppleのiOS14のアップデートによって、ユーザーが一部のアプリによるオンライン活動のトラッキングを拒否できるようになったことから、マーケティング予算を、Facebookやインスタグラムなどのメタ広告プラットフォームから別のものに移すようになった。キーウィコーのCMOを務めるアンジェラ・ソング氏は、同社がほかのブランドと「同じような課題」に直面したが、昨年はパフォーマンスが回復したと述べている。リールによって、クリックスルー率が56%、リーチが63%増えたという。
ソング氏は、「正直なところ、iOSの変更は非常に影響が大きく、破壊的であり、業界においては深刻な打撃だった。パフォーマンスが戻ってきて、回復した。したがって、資金をメタに戻すことにしている」と述べている。
リール専用の動画を制作
キーウィコーは2011年に創設され、体験型のSTEM(科学、技術、工学、数学)やおよびアートプロジェクトが入った1000以上のクレート(木箱)をデザインしてきた。生後0〜36カ月から、3〜4歳の子ども、14歳以上のティーンまで、さまざまな年齢層向けに、幅広いサブスクリプションラインを提供しており、それぞれサブスクリプション料金が異なっている。たとえば、エウレカクレート(Eureka Crate)のサブスクリプションは月額32ドル95セント(約4980円)、ヤミークレート(Yummy Crate)は23ドル95セント(約3620円)だ。
同社は具体的な収益の数値を公表していないが、今日までに5000万のクレートを出荷したという。また、「長年にわたって」収益性を維持してきたと、ソング氏は語る。商品は主にD2Cウェブサイトで販売しているが、一部の商品はAmazonや、レジストリーサービスのベビーリスト(Babylist)のロサンゼルス店でも販売されている。
キーウィコーは、オーガニックコンテンツと有料コンテンツの両方をリールで利用している。インスタグラムのフォロワー数は81万8000人を超え、アカウント全体の90%が動画に特化している。また、@hellomorellosのレイニー・モレロ氏や@itsgoodbyetwentiesのブリアンナ・ワイマール氏など、親や教育者であるインフルエンサーと提携し、自社商品の宣伝も行っている。
一部のブランドはTikTokとリールの両方に同じ動画をアップロードしているが、キーウィコーはリール専用に動画を作成していると、ソング氏は語る。「プラットフォームによって微妙なニュアンスの相違がある。そのため、主にどのメディアに載せるのかを念頭に動画を制作している」と、同氏は述べている。
リールにネイティブのコンテンツを制作することに加えて、リールの動画を制作するときは、特定の方針を適用していると、ソング氏は語る。キーウィコーのリールは、ストーリーラインがあり、最初の数秒でつかみに入るようにしている。また、テキストのオーバーレイや、キャッチーなサウンドも活用している。ホリデー商戦に向けて、このフォーマットへの投資を計画している。
競合が少なくバイラル化しやすい
リールでもっとも成功した有料コンテンツとして、子どもが回転木馬式クリスマスキャンドル(Christmas Candle Carousel)などのプロジェクトキットで遊んでいる動画や、キーウィコーのクレートのひとつ『料理の科学:アイスクリーム(Science of Cooking: Ice Cream)』を使って、子どもたちにアイスクリームの作り方を紹介する動画などがある。インフルエンサーパートナーは通常、キーウィコーの商品で遊んでいる子どもたちをフィーチャーしている。
マーケティング会社ジ・インフルエンサー・マーケティング・ファクトリー(The Influencer Marketing Factory)の共同創設者兼CEOのアレッサンドロ・ボグリアリー氏は、リールに投資する最大の利点は、TikTokのようなアプリに比べてプラットフォーム内の競合が少ないことだと指摘する。インスタグラムでは、ブランドがリールに加えてストーリーやユーザーのフィードに広告を出すこともできる。「リールは、TikTokに比べ、特定の業界や業種の競合が少ないため、バイラル化しやすく、再生回数も伸びやすい」と、同氏は述べている。
また、ボグリアリー氏は、多少高価な商品は、TikTokよりもインスタグラムリールのほうが成功しやすいと、語る。TikTokの人気は高いが、ブランドは自分たちの対象顧客がいるプラットフォームに投資すべきだという。「どれだけ広い範囲にリーチできるかよりも、適切な人々に広告を見せることが必要な場合もある」と、同氏は述べている。
「誤解しないでほしいのだが、TikTokでも大いに商品を売ることができる。しかし、TikTokですべての商品が5ドル(約755円)くらいで売られているとき、50ドル(約7550円)の商品を売るのは難しいだろうということだ」とボグリアリー氏は話した。
コンテンツのトレンドに応じた施策
キーウィコーは、リール以外のほかのプラットフォームにも投資しているという。ユーチューバー(YouTuber)とのパートナーシップ、ポッドキャスト、TVなどだ。来年はベビーリスト(Babylist)やAmazonなど既存のオンラインプラットフォームにも投資し、販売チャネルの拡大に重点を置く。さらに、実店舗小売の展開も検討していると、ソング氏は述べる。
同氏は、消費者の好みに基づいてリール戦略が進化していくことに期待してしているという。
また、「ソーシャルでも、リールでも、コンテンツのトレンドは激しく変化している。クリエイターのネットワークの拡大と多様化に関心を抱いている」と付け加えた。「さまざまな形の家族がある。そして、キーウィコーの使い方も家族によって大きく異なると思う」。
[原文:How KiwiCo is using Instagram Reels to acquire new customers ]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via KiwiCo