フォリッジド(Foraged)は2021年にスタートした野生食品と特産品のマーケットプレイスで、入手困難な食品を主流にすることをめざしている。
同社の商品には、何百種類もの品種のキノコやトリュフに加えて、バイソンのホットドッグ、熊の油、野生の海豆など、希少な食品や材料がリストに並んでいる。同社は7月、今後の成長をサポートするため、270万ドル(約3億8600万円)のシード資金調達を発表した。同社の以前の投資は、レストラン経営者で人気リアリティ料理番組「トップシェフ(Top Chef)」の審査員でもあるトム・コリッキオ氏と、ホテルトゥナイト(HotelTonight)の共同創設者のサム・シャンク氏によるものだった。
フォリッジドは独立系の野生食品生産者と顧客を直接結びつけるマーケットプレイスだ。同社はこの1年間で、顧客からの収益が400%以上も増加し、自宅から購入している買い物客、ミシュランの星付きレストラン、ロブ・ルッバ氏などジェームズ・ビアード賞(James Beard award)の受賞者などが顧客に名を連ねているという。同社によると、毎月の数万人の顧客がサイトを訪問している。このマーケットプレイスには現在、1000近くの売り手によって4000ほどの商品が並んでいる。新たに資金を獲得し、出店数も増え続けているなか、同社はさらにニッチな顧客層に対応することで、オンライン食料品販売のブームに乗りたいと考えている。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
フォリッジド(Foraged)は2021年にスタートした野生食品と特産品のマーケットプレイスで、入手困難な食品を主流にすることをめざしている。
同社の商品には、何百種類もの品種のキノコやトリュフに加えて、バイソンのホットドッグ、熊の油、野生の海豆など、希少な食品や材料がリストに並んでいる。同社は7月、今後の成長をサポートするため、270万ドル(約3億8600万円)のシード資金調達を発表した。同社の以前の投資は、レストラン経営者で人気リアリティ料理番組「トップシェフ(Top Chef)」の審査員でもあるトム・コリッキオ氏と、ホテルトゥナイト(HotelTonight)の共同創設者のサム・シャンク氏によるものだった。
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フォリッジドは独立系の野生食品生産者と顧客を直接結びつけるマーケットプレイスだ。同社はこの1年間で、顧客からの収益が400%以上も増加し、自宅から購入している買い物客、ミシュランの星付きレストラン、ロブ・ルッバ氏などジェームズ・ビアード賞(James Beard award)の受賞者などが顧客に名を連ねているという。同社によると、毎月の数万人の顧客がサイトを訪問している。このマーケットプレイスには現在、1000近くの売り手によって4000ほどの商品が並んでいる。新たに資金を獲得し、出店数も増え続けているなか、同社はさらにニッチな顧客層に対応することで、オンライン食料品販売のブームに乗りたいと考えている。
希少性の高い食材への需要が増加
フォリッジドのCEOを務めるジャック・ハムリック氏は、同社が注目されているのは、日常的に料理をする人々のあいだで、希少であまり活用されていない食材への関心が増えてきている証拠だと、米モダンリテールに語った。同社は売上の10%を手数料として取り、食品生産者に技術的サポートや有料広告を提供する。
全体を見ると、フォリッジドのプラットフォームでもっとも売れているカテゴリーのひとつがマッシュルームだ。しかし、ハムリック氏が「食べられる家庭園芸」と呼ぶ、希少な果物や野菜も増えつつある。この数カ月間で、肉や海産物の売り手も加わった。
ハムリック氏は野生の食材への需要について、料理用マッシュルームなどの食材の市場は増えつつあり、2030年には米国で時価総額が1300億ドル(約18兆6000億円)に達する見込みだと指摘する。「しかし、市場自体が分断化している。それに、ポートベロー以外のほとんどのマッシュルームは小規模にしか栽培できない」と、同氏は述べる。
分断された業界を一元化されたマーケットプレイスへ
この業界の調達と販売の多くは、全国の熱狂的な採集者・生産者グループによって行われており、その存在はRedditや、インスタグラム、TikTokなどのソーシャルメディアプラットフォームで注目を集めるようになっている。ハムリック氏は、このトレンドが主流となりつつある証拠として、「#foraging」というハッシュタグがTikTokで14億回以上再生されたことを挙げた。
そのような背景からハムリック氏は、このアナログな売り手のコミュニティをデジタルマーケットプレイスに持ち込み、彼らの商品をフォリッジドに出店するという構想を思いついた。
「当社は口コミで多くのベンダー・ユーザーを集めた」と、ハムリック氏は語る。ここから生まれたのが、フォリッジドがベンダー候補を調べてサステナビリティを実践しているかどうかを審査し、販売する食品の種類を確認するという大規模な申請プロセスだ。
売り手がフォリッジドで販売を開始すると、売り手は独自のビジネスを経営し、フォリッジドはエンドツーエンドの技術ソリューションとマーケティング活動を担当する。フォリッジドはメタ(Meta)、TikTok、Googleでデジタル広告を開始し、インフルエンサーマーケティングも行っていると、ハムリック氏は説明する。これらは各販売者のオンラインでのプレゼンスを補うためのもので、トラフィックをフォリッジドにある売り手のストアに誘導するのに役立つ。「なかには、もともとソーシャルメディアで3万人近いフォロワーを持つ売り手もいる」。
独立系の食品生産者に向けたデジタルツールの構築
しかし、デジタル顧客の獲得について、フォリッジドのもっとも重要な利点はSEO(検索エンジン最適化)だろう。同社は、さまざまなロングテールキーワードに入札し、ウェブサイトへのトラフィックを誘導しているとハムリック氏は述べる。その例として、Googleやソーシャルメディアの広告には「乾燥モリーユ茸」「冬の黒トリュフ」といったキーワードが登場する。「当社の主力商品は希少な食品であるため、通常は競合が少なく、検索ランキングの上位を占めることができる」と、同氏は述べる。
フォリッジドは今後数カ月のうちに、ストアフロントをカスタマイズし、売り手のブランディングやストーリー、レビューのような機能を追加する予定だ。「高度な配送技術や現地での受け取りなど、売り手のためのフルフィルメントツールにも取り組んでいる」とハムリック氏は言う。また、売り手と提携して、メールマーケティングや、ピンタレスト(Pinterest)などほかのプラットフォームにおける有料広告にもさらに投資をしていくという。
卸売事業にも注力
フォリッジドの顧客層は、シェフやレストラン以外の層にも広がっているとハムリック氏は語る。「顧客はカンザス州マンハッタンに住んでいるおばあさんから、ニューヨーク州マンハッタンにあるミシュランの星付きレストランのシェフまで多岐にわたる。マーケットプレイス全体の売上のうち、レストランは10%程度にすぎない」と同氏は述べた。
また、大規模業者向けのサービスを改善するため、卸売部門も構築中だ。つい最近は、レストランや、シェフ、小規模な食品卸売業者向けの卸売事業を運用するため、初期のベンダー・ユーザーのひとつであるノーマ(Noma)の元コックを採用した。「今後もビジネスの中心はマーケットプレイスだが、卸売事業によって、売り手を引き寄せられるような付加価値を提供できる」と、同氏は述べている。
特化型市場が爆発的に成長
いわゆるニッチなマーケットプレイスは新しいものではなく、Etsyのような業者は十分なサービスを受けられないオフラインの売り手に対応するプラットフォームとして事業を開始した。食品や食料品のカテゴリーでは、ウマミカート(Umamicart)、バブル(Bubble)、ハングリールート(Hungryroot)などのオンラインサービスが、アジア食品やオーガニック食品などのサブカテゴリーに関心のある顧客をターゲットとして登場している。
カーニー(Kearney)のコミュニケーション、メディア、テクノロジー部門のパートナーであるマイケル・フェリス氏は、料理などの趣味について学ぶのにオンラインを利用する人は増え続けていると語る。「一人ひとりの嗜好にアピールすることで、あらゆる種類の特化型市場が爆発的に成長し、たくさんのマス商品や大規模小売店の市場からシェアを奪っている」と同氏は述べる。これは食品にも影響を及ぼしており、オーガニックやグルテンフリー、ビーガンなどのサブカテゴリーへの需要も増えている。
希少な食材が身近になるプラットフォームへ
「パンデミックのあいだに流行ったミールキットサービスは、単なる準備段階だったのかもしれない。今では、いわゆる普通の人々がキッチンで創意工夫と創造性を発揮したがっている」とフェリス氏は述べる。一方、小規模生産者の課題は、調達よりもむしろフルフィルメントとデリバリーであり、顧客は迅速かつ便利な配送を望んでいると付け加えた。
フォリッジドは、通常はハイエンドのシェフやレストラン向けに調達される野生の食材が、日常的に料理をする人や料理愛好家にも利用しやすいものになることに期待している。そのために、マーケットプレイスの名前の認知を広め、幅広く売り手を集めることを計画している。「当社の業績は売り手にかかっている。もっとも重視しているのはプラットフォームの継続的な改善だ」とハムリック氏は述べた。
[原文:How Foraged is building a marketplace for wild foods]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Foraged