Googleは、アパレル商品を探している買い物客のために、AIを活用した新しいバーチャル試着オプションをローンチした。
同社が6月16日水曜日にサービスを開始したバーチャル試着オプションは、アンソロポロジー(Anthropologie)や、エバーレーン(Everlane)、H&M、ロフト(LOFT)といったブランドで女性用トップスを探している米国の買い物客すべてが利用可能だ。現在のところ、このツールは女性用トップスにのみ対応しているが、年末までに男性用トップスでもサービスを開始する計画だという。買い物客は、Google検索で「トライオン(試着)」バッジが付いた商品をタップすると、自分にもっとも似ているモデルを選ぶことができる。この機能は現在、Google検索のモバイル版で、AndroidとiOSの両方で使用できる。
Googleによると、このAI技術は、たとえば1枚の洋服の画像を取り込むと、XXSから4XLまでのさまざまなサイズの実際のモデルに対して、どのようなドレープができ、折り目ができ、まとわりつくのか。そして、どのようなシワや影ができるのかを正確に示すという。技術的な話をすると、同社のAI研究者は、画像ベースの拡散とクロスアテンションメイクアップの技法を組み合わせ、約400億の商品リストを持つショッピンググラフ(Shopping Graph)を活用して、この新ツールを開発した。
Googleはこの試着機能を、「ジェネレーティブAI技術」という現在話題性のある視点から売り込んでいるが、コンサルタントやアナリストはこの新ツールがある意味で拡張現実のサブセットだと語る。そう考えると、Googleは本質的にスナップ(Snap)や、インスタグラム、ピンタレスト(Pinterest)などのライバルを追い上げようとしているわけだ。たとえばスナップは、2015年にレンズ・プログラムをローンチして以来、小売の顧客向けにARツール群を開発してきた。Googleは2020年12月に美容品のトライオン機能をローンチし、昨年には化粧品を購入する際に利用できる拡張現実の機能強化を発表した。一方、Googleは、短尺動画アプリであるTikTokがコマースに深く入り込もうとしているのにも対抗しようとしている。
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Googleは、アパレル商品を探している買い物客のために、AIを活用した新しいバーチャル試着オプションをローンチした。
同社が6月16日水曜日にサービスを開始したバーチャル試着オプションは、アンソロポロジー(Anthropologie)や、エバーレーン(Everlane)、H&M、ロフト(LOFT)といったブランドで女性用トップスを探している米国の買い物客すべてが利用可能だ。現在のところ、このツールは女性用トップスにのみ対応しているが、年末までに男性用トップスでもサービスを開始する計画だという。買い物客は、Google検索で「トライオン(試着)」バッジが付いた商品をタップすると、自分にもっとも似ているモデルを選ぶことができる。この機能は現在、Google検索のモバイル版で、AndroidとiOSの両方で使用できる。
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Googleによると、このAI技術は、たとえば1枚の洋服の画像を取り込むと、XXSから4XLまでのさまざまなサイズの実際のモデルに対して、どのようなドレープができ、折り目ができ、まとわりつくのか。そして、どのようなシワや影ができるのかを正確に示すという。技術的な話をすると、同社のAI研究者は、画像ベースの拡散とクロスアテンションメイクアップの技法を組み合わせ、約400億の商品リストを持つショッピンググラフ(Shopping Graph)を活用して、この新ツールを開発した。
Googleはこの試着機能を、「ジェネレーティブAI技術」という現在話題性のある視点から売り込んでいるが、コンサルタントやアナリストはこの新ツールがある意味で拡張現実のサブセットだと語る。そう考えると、Googleは本質的にスナップ(Snap)や、インスタグラム、ピンタレスト(Pinterest)などのライバルを追い上げようとしているわけだ。たとえばスナップは、2015年にレンズ・プログラムをローンチして以来、小売の顧客向けにARツール群を開発してきた。Googleは2020年12月に美容品のトライオン機能をローンチし、昨年には化粧品を購入する際に利用できる拡張現実の機能強化を発表した。一方、Googleは、短尺動画アプリであるTikTokがコマースに深く入り込もうとしているのにも対抗しようとしている。
TikTokの視覚的利点に対抗
Googleは、買い物客がオンラインショッピングで商品をよりイメージしやすくし、より安心して購入できるようにしたいと述べている。それにより、最終的にはブランドや小売業者のコンバージョンと売上が増加することを期待している。小売業者は現在のところ、この機能を追加費用なしで利用できるという。買い物客は検索フィルタを調整することで、予算範囲内で視覚的に類似した商品を見つけることもできる。
同社でショッピング担当グループ・プロダクト・マネージャーを務めるシャム・サンダー氏は、「Googleに来れば、商品を視覚化し、より安心して購入することができるようになる。これは、我々の技術力を最大限に可視化したものだ」と述べた。この機能はニューヨークで行われた同社のスーパーチャージサマー(Supercharge Summer)イベントで公開されたものだ。
コマース・コンサルタント企業コンフルエンスコマース(Confluence Commerce)の創業者ブライアン・ギルデンバーグ氏は、「Googleはアパレル商品の検索プロセスをより良いものに改善しようとしている」と語る。一方で同氏は、「Googleがここで解決しようとしている問題は、AIでも小売でもない。TikTokだ」とも主張している。同氏によれば、TikTokは視覚的であるという本質的な優位点があり、依然としてテキストや静止画像をベースとするGoogle検索に比べ、アパレルや衣料品を買い求めるときにより有利なためだ。
「TikTokは、消費者を惹きつける方法、そして現在は、消費者をエンゲージメントから購入というコンバージョンに至る方法に変わりつつあるが、それこそが、Googleが実現したいことなのだ」と、ギルデンバーグ氏は語る。「これは、Googleをより視覚的で直感的なアパレル検索エンジンにするための戦略であり、Googleがもっとも得意とする、実際の幅広い選択肢へのアクセスを活用し、TikTokに対抗することを可能にするものだ」。
Googleがアパレル商品の検索結果に力を入れてきた理由
一方で同氏は、このツールのユニークな点は、「さまざまな小売業者の衣料品を一覧でき、自分に似たモデルに似合う服を見つけることができる」能力だと語る。
Googleは、ショッピングでもっとも多く検索されるカテゴリーのひとつがアパレル商品だという。しかしオンラインショッピング利用者の42%は、掲載されているモデルの画像が自分に似ていると感じておらず、59%はオンラインで購入した商品を着てみた結果が期待とは異なっていることで失望している。この調査結果は、2023年4月にオンラインで衣服品を購入したことがある1614人の米国の成人を対象に、Googleとイプソス(Ipsos)が行った世論調査の一部である。
「彼らは、Googleでの購買体験を向上させることで、より多くのブランドや小売業者がGoogleに参加し、その自然な結果として、Googleからもっと多くの広告スペースを買いたいと思ってもらうようにするため、多くの努力を払っているのだ」と、インサイダーインテリジェンス(Insider Intelligence)の小売・eコマース担当シニアアナリスト、スカイ・キャナバス氏は述べる。
「これは突然の動きではない。彼らが長年にわたって取り組んできたことであり、うまくいくよう注力してきた。初期の運用時において、いくつかの大手グローバルブランドと協力しているということは、つまり、この機能が適切に動作している、または少なくとも見た目がよい、あるいは、モデルのレンダリング方法に関して大きなミスがない、ということにかなり自信を持っていることの表れだ」と、同氏は付け加えた。
eコマース販売での返品減少にも期待
しかし、AIを搭載したツールを導入する企業が増えるにつれ、予期していなかった問題が発生し、消費者やソーシャルメディアユーザーからの反発にも対応しなければならなくなるだろう。たとえば数カ月前、リーバイス(Levi’s)は、より多様性を示すために、AIが生成したモデルを使用すると発表したが、それがソーシャルメディアの反発を招くことになった。一部のTwitterユーザーは、そうしたAIの使用事例は、有色人種のモデルが仕事で報酬を得る機会を奪いかねないという懸念を表明した。
企業があらゆるものにAIを組み入れようとしている現在、ブランドが、そのツールを利用している買い物客から、大幅な売上アップや返品の減少を実感できるかどうかはまだ明らかではないとキャナバス氏は語る。「バーチャル試着の大きなメリットのひとつは、小売業者にとって大きなコスト負担となり頭痛の種でもあった、eコマース販売での返品を減らすのに役立つということだ」。
Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Google