RETAIL REVOLUTION

「ゲームライクな購買体験が大当たりしている」:トップハッターのアンドルー・ブラックマン氏

オンラインショッピングの当たり年が続いている――無論、謳歌しているのはAmazonだけではない。

たとえば、創業9年目のライブオークションサイト、トップハッター(Tophatter)も然りで、前年比20%増と、過去最高の売上を記録した(しかも、サプライチェーンというネックがなければ、もっと伸びていたはずだという)。社長を務めるアンドルー・ブラックマン氏は、同社のフォーカスはエンターテインメントと発見であり、それがこの人気急騰を後押ししていると断言する。

ブラックマン氏は2021年3月第4週、米DIGIDAYの姉妹サイト、モダンリテール(Modern Retail)のポッドキャストに登場し、デジタルコマースについてつぶさに語ってくれた。オンラインショッピングを好む人はさらに増えており、ますます多くの消費者が商品発見の新たな形を求めるようになっている。ブラックマン氏によれば、エンターテインメントベースのコマースを楽しむ人が増えており、この変化が同氏のマーケットプレイス作りに大いに影響しているという。

トップハッターは自らを、必需品を販売する実用本意の場というよりもむしろ、楽しい娯楽を提供する場と位置づけている。同社のアプリやウェブサイトには(ユーザーの利用率はアプリの方が圧倒的に高い)、低価格で落札できる数千点もの雑多なアイテムが並んでいる。平均価格は10ドル(約1100円)前後で、1ドル(約110円)のものまである。登録出品者数は数十万に上るが、通常、一時の出品者は5000人程度となっている。

2020年、トップハッターがフォーカスしたのはプラットフォームの充実だった。同社は創業から長らく方向性が定まらず、芳しい結果を出せずにいた。たとえば、数年前には従来型に近いeコマースプラットフォームを立ち上げ、安価で買われるリスクが付き物のオークション形式ではなく、定価でセラーに出品させていた。「あれは大きな間違いだった」とブラックマン氏は言う。その理由は? 「たしかに、インベントリ自体は増えた。もっと言えば、リスクを恐れる、定価で売りたいセラーのインベントリへのアクセスは一時的に増えたが、ユーザーのエンゲージメント率は激しく落ち込んだ」。

現在、定価での販売は行なっていない。その代わり、セラー勢をオークション体制に不可欠な要素と捉え、過去の売れ行きに基づいてさまざまなインセンティブ――より良いプロダクトプレイスメント(商品配置/陳列)など――を与えることで、エンゲージメント率の保持に努めている。

ブラックマン氏によれば、成長を継続させつつ、バックエンド物流の管理力も上げることが、目下の計画だという。また、ゲーム感覚のコマース体験が海外で依然人気を高めているなか、米ユーザーの関心も必ず高まると、氏は確信してもいる。

いま現在、氏が注力しているのが米国人を引き込むことであり、「一筋縄ではいかないが、そのぶん楽しい挑戦だ」と語る。

以下は氏の発言の抜粋だ。なお、わかりやすさを考え、発言には多少編集を加えてある。

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サプライチェーン問題は未解決のまま

「昨年の今頃、つまり2020年の3月と4月は、ユーザーの獲得が比較的容易だった。問題はサプライチェーンのほうで、極めて深刻だった。トイレットペーパーがいくら待っても入荷しなかったのは、記憶に新しいだろう。同様のことは我々にも起きたわけで、しかもさらに長引いた。長引いてしまったのは、我々のサプライチェーンのほとんどがクロスボーダーだからだ。大半はアジアから輸入している……そのため、昨年は本当に大変で、顧客の需要が記録的に大きかった一方、商品の調達にひどく苦労させられた」。

セラーの気の引き方

「我々のプラットフォームの、そしてほかの大半のプラットフォームのセラーは大抵、挑戦に前向きだ。うちのセラーがほかのチャンネルでも試しに販売してみたいと思っているのは承知している。彼らの多くはウィッシュ(Wish)といったほかのプラットフォームでも成功している。なかには事業の拠点をこちらに移してくれたところもあるが、我々はそれをセラーに勧めもしなければ、要求もしていない。うちのセラーができるだけ早く成長したい、できるだけ多くのマーケットに出品したいと思っているのは承知している。ほかのマーケットプレイスにはない、我々だけが提供しているものがあるとすれば、それはより多くの主導権をセラーに預けている点だ。このセラー主導型フォーマットのおかげで、Amazonでは文字どおり誰も検索していない物を販売できる。検索していないのは、そんな物が存在することも知らないからだ。また、ユーザーにGoogleを使おうと思わせない商品も販売できる。それは誰もGoogleでは探そうとしない物であり、我々はそれをふさわしい買い手に届けることができる」。

アジアに倣う

「我々の自信の源となっているひとつが、他マーケットの状況だ。アジア、それも我々のサプライ拠点である中国を見ればわかるとおり、ゲーム感覚でのショッピング体験が大当たりしている。中国市場の様子はまるで10年後の世界のようであり、eコマースにおける中国の現況は要チェックだ。これは、いま現実に起きていることであり、人々が携帯電話に費やす時間はますます増えている」。

[原文:‘Game-like experiences have just exploded’: Tophatter’s Andrew Blachman on the future of entertainment-based commerce

Cale Guthrie Weissman(翻訳:SI Japan、編集:長田真)