最近のアップデートから、Amazonが数年間かけて進めてきた広告の変更が明らかになった。Amazonはブランドから、フルファネルプラットフォームと見られることを望んでいるのだ。
Amazonは8月16日、スポンサードプロダクト(Sponsored Product)広告が、ピンタレスト(Pinterest)、バズフィード(BuzzFeed)、ハーストプロパティーズ(Hearst properties)などAmazon以外のマーケットプレイスのサイトにも表示可能になることを発表した。これは、Amazonの広告商品をコンバージョン促進型ではなく、よりブランド構築型に作り変えることを目的とした、多くの小さな微調整の最新版に過ぎない。この数週間前、Amazonは非エンデミックな広告主がマーケットプレイスでスポンサードディスプレイ(Sponsored Display)ユニットを立ち上げられるようにしたと、米モダンリテールは報じた。それ以前にも、Amazonは、ストリーミングTVのようなデマンドサイドプラットフォーム(DSP)に投資する小規模ブランドを獲得するためのさまざまな方法を試しているほか、加盟小売店やインフルエンサーとの関係をより円滑にしようとしている。
まとめてみると、これは、Amazonの広告商品を、広告キャンペーンについてさまざまなニーズを持つあらゆる規模のブランドに訴求するよう、再構築する試みだ。
「Amazonは、ブランドがフルファネルのマーケティングと広告を実施できるようにしている」と語るのは、経営・マーケティングエージェンシー、べラビックス(BellaVix)の創設者兼CEOのウィル・ヘアー氏だ。最近まで、認知を広めることに特化したAmazonの広告ユニットのほとんどは、AmazonのDSPで利用可能だった。すなわち、多くの資金を投資できる大規模ブランド向けのものだった。しかし、同社はますます多くのブランドがその機能を利用できるようにしていると同氏は述べる。
「楽しみだ。Amazonの広告プラットフォーム戦略がどのように方向転換していくのか興味深い」という。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
最近のアップデートから、Amazonが数年間かけて進めてきた広告の変更が明らかになった。Amazonはブランドから、フルファネルプラットフォームと見られることを望んでいるのだ。
Amazonは8月16日、スポンサードプロダクト(Sponsored Product)広告が、ピンタレスト(Pinterest)、バズフィード(BuzzFeed)、ハーストプロパティーズ(Hearst properties)などAmazon以外のマーケットプレイスのサイトにも表示可能になることを発表した。これは、Amazonの広告商品をコンバージョン促進型ではなく、よりブランド構築型に作り変えることを目的とした、多くの小さな微調整の最新版に過ぎない。この数週間前、Amazonは非エンデミックな広告主がマーケットプレイスでスポンサードディスプレイ(Sponsored Display)ユニットを立ち上げられるようにしたと、米モダンリテールは報じた。それ以前にも、Amazonは、ストリーミングTVのようなデマンドサイドプラットフォーム(DSP)に投資する小規模ブランドを獲得するためのさまざまな方法を試しているほか、加盟小売店やインフルエンサーとの関係をより円滑にしようとしている。
Advertisement
まとめてみると、これは、Amazonの広告商品を、広告キャンペーンについてさまざまなニーズを持つあらゆる規模のブランドに訴求するよう、再構築する試みだ。
「Amazonは、ブランドがフルファネルのマーケティングと広告を実施できるようにしている」と語るのは、経営・マーケティングエージェンシー、べラビックス(BellaVix)の創設者兼CEOのウィル・ヘアー氏だ。最近まで、認知を広めることに特化したAmazonの広告ユニットのほとんどは、AmazonのDSPで利用可能だった。すなわち、多くの資金を投資できる大規模ブランド向けのものだった。しかし、同社はますます多くのブランドがその機能を利用できるようにしていると同氏は述べる。
「楽しみだ。Amazonの広告プラットフォーム戦略がどのように方向転換していくのか興味深い」という。
認知を広めるための広告
Amazonは2012年から広告サービスを提供している。その初期の段階では、売り手がクリックごとの商品掲載料を支払っていた。これは、人々がウェブサイト上で商品を購入する際、検索ページなどで注目度の高い場所に商品を表示する権利を販売することで、コンバージョンを増やせるという、明確なアイデアに基づくものだ。しかし、現在のAmazonは、広告サービスについてブランドに異なる考え方をしてもらおうとしている。すなわち、顧客に購入をしてもらうことだけが目的ではなく、ブランドの認知を広めるためのツールとしても使用してもらうということだ。
最近のベータプログラムも、この移行を示唆するものだ。Amazonは今年5月、ブランドのソーシャルメディアキャンペーンを後押しするため、ブランドにAmazonが認定したインフルエンサーをマッチングさせるクリエイターコネクション(Creator Connections)と呼バレるサービスをクローズドベータ版で開始した。基本的には、ブランドがプロモーションしたい商品を投稿すると、Amazonはその商品とうまく合致する特定の人材を提案し、加盟店が承認すれば、双方が協力してキャンペーンに取り組む(クリエイターはプログラムの一部として、最低5%の歩合給を受け取る)というものだ。
クリエイターコネクションは5月から実際に運用され、加入するブランドはしだいに増えている。代理店チャネルキー(Channel Key)のCEOダン・ブウランシャー氏によると、ベータテストは大成功というわけではなかった。まず、Amazonは人材をブランドと結び付けても、それ以外はほとんど行わない。ブランドは商品を積極的にインフルエンサーに送るだけでなく、ソーシャルキャンペーンを立ち上げるため、さまざまな細かい作業を行う必要がある。
ブラウンシャー氏は、あるキャンペーンでクリエイターコネクションをテストした。「キャンペーンのROI(投資回収率)はそれほど大きくなかった」と同氏は話す。しかし一方で、「コスト、作業、労働力以外の特別なコストが必要だったわけでもない。ROIは無限大と考えることもできる」とも述べている。
しかし、ただちに売上をもたらさないとしても、このツール自体を整えることが基礎を固めることを意味し、Amazonがブランドに、自社の広告サービスについてどのように考えてもらいたいかを示している。「これは、トップオブファネルに特化したマーケティングの実験だと思う。ブランドへの認知を推進するもので、クライアントが自分たちのスペースで、ぴったりなクリエイターによって制作された新鮮なコンテンツを入手する方法だ」と、ブラウンシャー氏は述べている。
小規模ブランドの利用も意識したサービス
ブランドへの認知に特化したAmazonのプログラムはこれだけではない。実施、2018年に始まった同社のDSPは、このようなサービスの明確な例のひとつだ。このプラットフォームによって、ブランドはAmazon.com以外のプロパティ、つまり、Amazonプライムビデオ(Amazon Prime Video)などのストリーミングサービス、アレクサ(Alexa)、およびIMDb(ストリーミングサービス情報を集めたオンラインデータベース)のようなウェブサイトでキャンペーンを展開することができる。しかし、これらに参加するには、これまで多くのことを引き受けることが必要だった。ブランドはすでにDSPへのアクセスが可能な代理店と協力するか、最低5万ドル(約730万円)を出資することを求められていた。
そのため、DSPサービスは長いあいだ、Amazonが大手の広告主、すなわちフットボールのシーズン中にTV広告キャンペーンに数十万ドルを出資するような企業を勧誘するための方法とみなされてきた。
しかし、Amazonはこれらのキャンペーンのいくつかを、より利用しやすくしてきた。基本的には、大規模なトップオブファネルのキャンペーンに必要な予算がなかったり、DSPのワークフローがあまりにも大変だと感じていたりする小規模ブランドにも、利用の機会を与えるということだ。たとえばAmazonは、自社のストリーミングプラットフォームで90日間、月額1万5000ドル(約219万円)を投入することを約束したブランドに対し、ストリーミング動画CMを制作している。また、ブランドが同じ期間について月額12万5000ドル(約1830万円)以上費やすこを約束すれば、AmazonはCM内に掲載するQRコードや、ブランドのリフトレポートなどの追加ツールを提供するという。
ヘアー氏によれば、この種のサービスは、明らかに大規模なブランディングキャンペーンを検討するブラントを増やすための方法だ。「DSPを使用するなら、毎月5000ドル(約73万円)を費やすことになるだろう。良質で、承認されるのに必要なすべてのニュアンスを兼ね備えた動画を作成するのは非常に難しいと言える」と同氏は述べる。Amazonのサービスすべてにいえることだが、これには欠点もある。制作されたものはAmazonでしか使用できない。「ダウンロードもできないし、YouTubeににも表示されないと思う」と同氏は述べる。
それと同様に、Amazonはストリーミング番組のインプレッション販売も始めている。たとえば、サースデーナイトフットボール(Thursday Night Football)の時間帯に、200万のTVインプレッションを約2万ドル(約292万円)でブランドに販売する。すなわち、同社はブランドの広告を200万人の視聴者に見せることになり、ブランドはその後に、DSPを使って、アフィニティオーディエンスのようなプログラムでさらにリターゲティングを行うということだ。Facebookのキャンペーンなどと比べればまだ高価だが、2万ドルという価格は、通常のプライムタイムのリニアTVスポット広告が12万5000ドル(約1830万円)から700万ドル(約10億2000万円)近くにまで及ぶのに比べれば、はるかに安価なものだ。
「彼らがインプレッションを販売することで、パッケージをもっと手頃な価格にすることができる。Amazonは、売り手が誰かということを非常に意識している。Amazonのメッセージはすべて、中小企業向けに小規模に向けたものだ」とヘアー氏は述べる。
ブランド発見のためのプラットフォームへ
これらの新しい試みは、突然生まれたものではない。実際に、これらの多くは何年も前から計画されていた。「これは、この数年間において次第に強まってきたトレンドだ」と、ティヌイッティ(Tinuiti)の戦略マーケットプレイスサービス担当シニアディレクターのジョー・オコナー氏は語る。「今のところ、どのようにこれらのツールを使用し、Amazonのオーディエンスの重要な部分を理解して認知を促進するのかは、ブランドや代理店の努力次第だ」。
採用の妨げになるのは、ツールが欠けていることではなく、コンバージョンが焦点ではないキャンペーンを測定する方法への理解が遅れていることだと、オコナー氏は語る。「ブランドへの認知という概念は、多くの広告主が理解しているものの、その成功を明確に示すことはいまだに困難だ」と同氏は述べる。
Amazonのもっとも重要な変化のひとつは、レポートの改善を試みていることだと同氏は言う。たとえば、あるブランドがFire TVキャンペーンを行った場合、Amazonでの検索数を前月比で調べることができる。また、詳細な商品ビューなど、ブランドに関心を持つ顧客が増えたことを示す行動を調べることもできる。
「これらはすべて、Amazonの標準レポートに含まれている。しかし、それほど使われていないようだ」とオコナー氏は述べる。
今起きているのは、ブランドにもっと大きなマーケティングについて深く考えてもらおうと、Amazon側が全体的に働きかけているということだ。これまでAmazonは、人々が商品を買うためのマーケットプレイスだった。そしてAmazonはいま、ブランドにAmazonを別のものとして、おそらくはもっと大きな規模のものとしてとらえてほしいと考えている。
「Amazonがブランドに傾倒するトレンドは、常に見られてきたものだ。これらの変化は、Amazonがブランド発見のためのプラットフォームになることを可能にするものだ」とブラウンシャー氏は述べた。
[原文:Amazon Briefing: What’s behind Amazon’s slow and steady shift into a full-funnel marketing platform]
Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)