Amazonは、自社のコンセプトストアである4-Star(4つ星)ストアを国外に広げようとしている。Amazonは10月6日、英国で最初の4-Starストアの開設を発表した。この店舗はAmazonプラットフォームで高く評価されたさまざまな商品を取り扱う。この試みは、いくつかの点から注目に値する。
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Amazonは、自社のコンセプトストアである4-Star(4つ星)ストアを国外に広げようとしている。
Amazonは10月6日、英国で最初の4-Starストアの開設を発表した。この店舗はAmazonプラットフォームで高く評価されたさまざまな商品を取り扱う。
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この試みは、いくつかの点から注目に値する。4-Starストアは大衆指向であり、Amazon Goのようなよりハイテクなコンセプトほどの注目は集めていない。何人かの小売アナリストによれば、4-Starストアを多く訪れるのは主に旅行者、つまりAmazonのほかの店舗がそれほど重視していない顧客層である。しかし、4-StarにはAmazonのほかの実店舗のコンセプトにはいまだ存在しない2つの利点がある。1つはショールームであること、もう1つは物流センターとしても機能することだ。Amazonのほかの小売コンセプトほどテーマが明確ではないが、Amazonがeコマースと物理的な小売の融合をどのように進めていくかを示すモデルとなるだろう。
ショールーム化への期待と懸念
Amazonは、最初の4-Starストアを2018年に開設した。これはAmazonブックスの一連の店舗に続き、Amazonが開設した最初の従来型店舗の1つで、主にコンセプトストアとして、Amazonが物理的な店舗を流通経路としてテストする手段という役割を担っていた。Amazonは40を超える4-Starストアと、チェーン店の大きなグループを抱えていて、この中には書店、生鮮食料品店、Goコンビニエンスストアが含まれており、さらに今後はデパートも予定されている。
4-Starストアのアイデアは、Amazonプラットフォームで4つ星以上の評価を受け、特定の地域で人気のある商品をAmazonが選んで直接販売するというものだ。これは商品をいかに見つけやすくするかという、Amazonで常に問題となっていた部分を解決するよう設計されている。Amazonプラットフォームは、自分が何を欲しいのかを理解している人々にとっては効率的だが、広範な商品タイプの中から消費者が欲しいものを見つけ出す手段としてはあまり優れていない。
デジタルエージェンシーのヒュージ(Huge)のコマース責任者であるホールデン・ベール氏は次のように述べている。「4-Starストアは必ず成功するだろう。これらはすでに高い評価を受けた広範な商品を店舗でまとめて販売するだけだからだ」。
ほかの小売業者は、顧客がショールームのコンセプトを利用し、Amazonで購入する物理的な商品を綿密に調べるのではないかと懸念するかもしれない。しかしAmazonの場合、「このような行動はある程度まで、マーケティングの経費と考えてよい」とベール氏は語る。Amazonはオンラインでも店舗でも同様に消費者に販売できる商品を宣伝しているだけだ。
物流拠点としての機能
さらに、4-Starストアは物流においても重要な役割を果たす。Amazonで購入する顧客は、もし4-Starストアの近くに住んでいるなら、商品を直接自宅ではなく、4-Starストアに配送してもらうことで費用を節約できる。Amazonは、顧客が4-Starストアに配送できる商品のタイプを制限しており、一般に小さな商品に限られるが、顧客が店舗での受け取りを選択すると、Amazonは経費を節約し、物流の問題を減らすことができる。
Amazonが4-Starストアを拡大している理由のひとつは、これによってより多くの人々が4-Starストアで商品を選び、受け取れるようにするためだ。ベール氏は次のように語っている。「特定の地域に少数の、丸め誤差程度の数の消費者でも存在し、商品の自宅への配送よりも4-Starストアへの配送を希望するなら、財務的に大きな解放となる。実店舗を小さな配送センター、サプライチェーンの拠点として扱えるようになるからだ」。
これにより4-Starストアは、Amazonのほかの小売店舗ほど一貫したコンセプトではなくても、Amazonにとって有益なものになる。eコマース管理企業クオンティファイド(Kwontified)の業務担当社員であるイレーヌ・クォン氏は、氏の観察によれば、4-Starストアは旅行者に対して最高のアピール力を持つように思えると述べている。
クォン氏は、Amazonの多くの実店舗の中で「この店舗は旅行者を引き寄せる要素が強いことから、少々異例なものだというのが私の見解だ」と述べ、最終的に「4-Starストアは目新しい店という位置付けなので、長期的に残る可能性は低い。5年以内には店舗の方針転換が必要になるだろう」としている。
しかしその方針転換は、行われるにしてもそれほど急ぎではないかもしれない。ベール氏は実店舗について「ある時点で、合理化と販売商品の整理が行われるだろう」としているが、「現在のところ十分な成功を収めており、成長中であるため、今すぐ解決する必要はないだろう」と述べている。
[原文:‘A little bit of an anomaly’: How 4-Star stores fit into Amazon’s physical retail strategy]
Michael Waters(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)