フューチャーPLC(Future PLC)は昨年12月、今後5年間でカーボンニュートラルにする計画を発表した。メディア企業の中で野心的な持続可能性目標を掲げているのは同社だけではない。これら企業が掲げるさまざまな持続可能性目標のなかでも、抽象的に留まった計画もあれば、より具体性を持った計画もある。
フューチャーPLC(Future PLC)は昨年12月、今後5年間でカーボンニュートラルにするという計画を発表した。このように、メディア企業のなかで野心的な持続可能性目標を掲げているのは、同社だけではない。
これら企業が掲げるさまざまな持続可能性目標のなかでも、抽象的に留まった計画もあれば、より具体性を持った計画もある。たとえば、コンデナスト(Condé Nast)の5カ年戦略には3つの段階があると、同社上級ポリシーアドバイザーの アリス・ピリア氏は9月に米DIGIDAYに語った。ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)やガネット(Gannett)といったほかの企業も、現在計画を策定中だ。
以下は、持続可能性に関するメディア企業の公約と取り組みの一覧となる。注意すべきことは、「ネットゼロ」という言葉を使う企業もあれば、「カーボンニュートラル」を選ぶ企業もあるということだ。これらの概念は類似している。企業として排出するのと同じ量を削減することで、企業の温室効果ガスや炭素排出量のバランスを取ることを目的としている。
Advertisement
BBC
BBCは2030年までにネットゼロを目指している。このプロセスには、エネルギー削減、効率化、および電化/水素に焦点を当てたグリーンエネルギーへの移行を意味する。目標内容は、企業の排出削減計画を評価する独立した国際機関である「科学に基づく目標(Science Based Targets)」イニシアティブによって承認されている。BBCは2030年までに、直営の事業での排出量を46%削減したいと考えている。
ブルームバーグ
ブルームバーグ・メディア(Bloomberg Media)はブルームバーグLP(Bloomberg L.P.)の一部門である。ブルームバーグLPは、2025年までに二酸化炭素の純排出量をゼロにすることを公約。2020年の同社のインパクト・レポート(Impact Report)によると、2025年までに100%再生可能エネルギーに移行したいと考えているという。現在、ブルームバーグのエネルギーの50%が再生可能な資源から来ている。
コンデ・ナスト
コンデナストは2030年までにカーボンニュートラルになることを望んでいる。2021年9月の時点で、ロンドン、ドイツ、イタリア、スペインにあるオフィスは100%再生可能エネルギーに移行している。全社のサステナビリティへの取り組みを統括するピリア氏は、再生可能エネルギーへの移行にかかるコストの差は「ごくわずか」だと述べた。
エコノミスト
エコノミスト(The Economist)の計画も、前述の「科学に基づく目標」イニシアチブによって承認されており、2025年までに少なくとも25%の炭素排出を削減するという目標を設定している。非営利団体である「科学に基づく目標」は、世界中の2000社以上の企業と協力して、温室効果ガス排出量を削減する事業計画を策定し、検証している。
ガネット
広報担当者によると、ガネットは2022年に同社のサステナビリティ目標に関する情報をさらに共有する予定とのことだ。
ハースト
ニューヨーク市にあるハースト(Hearst)の本社「ハースト・タワー」は、その環境負荷の低いデザインに対して米国グリーンビルディング協会(U.S. Green Building Council)からプラチナLEED(Platinum LEED)の格付けを受けたビルとなっている。ポイント・ベースの認証であるLEEDには4つのレベルがあり、もっとも優れているのはプラチナで、レベルはエネルギーと水の効率、換気、場所、材料、資源などのカテゴリーに基づいている。このビルのアトリウム/ロビーにある3階建ての「氷の滝」は、屋根から集められた雨水を循環させものであり、年間170万ガロンの節水になっているという。その水を使って空間を冷却・加湿し、電力を節約するのに役立っているのだ。
ニューヨークタイムズ
ニューヨークタイムズ(The New York Times)は、環境への影響と持続可能性関連の取り組みを見直している。広報担当者によると、この見直しの完了時期はまだ決まっていないという。
[原文:What goals publishers have set for becoming carbon-neutral]
SARA GUAGLIONE(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)
Illustration IVY LIU