現時点ではSnapchat(スナップチャット)のビジネスモデルは、まだ利益を出せていない。当初は広告の導入をなかなかはじめなかったSnapchatだが、スキップ不可な広告をテレビ形式のコンテンツに試験運用するようだ。この計画に直接関与している人物3人からの情報を入手し、スナップ(Snap)社も認めた。
現時点ではSnapchat(スナップチャット)のビジネスモデルは、まだ利益を出せていない。当初は広告の導入をなかなかはじめなかったSnapchatだが、スキップ不可な広告をテレビ形式のコンテンツに試験運用するようだ。この計画に直接関与している人物3人からの情報を入手し、スナップ(Snap)社も認めた。
新しい広告の形式は「コマーシャル(Commercials)」と呼ばれている。スナップの広報担当者が認めたところによると、一部のSnapchatのテレビ形式のコンテンツ「ショウ(Shows)」において6秒間の広告として表示される。雑誌形式のセグメントである「ディスカバー(Discover)」やユーザー個人の「ストーリー(Stories)」には表示されないようだ。試験運用は5月15日前後の開始を予定されていると、2人の情報源が語った。
オーディエンスの慣れ
これは、これまでのSnapchatのやり方とは異なる、新しい試みとなりそうだ。株式公開をして最初の1年を迎えているスナップ社は、なかなか厳しい状況を経験してきている。ユーザー数は伸び悩んでおり、ビジネス成長の期待にも応えられていない。そして現時点での収益源は広告となっている。
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コンテンツ制作、そしてエージェンシー側の言い分はこうだ。無料で映像コンテンツを視聴するために広告を強制的に見せられることにオーディエンスは慣れている。しかし、Snapchat上では新しい体験となることに間違いはない。人々が広告を我慢してくれるかどうかは、コンテンツと広告自体がオーディエンスの集中力をキープしてくれるクオリティとなるかどうかにかかっている。
「視聴者に慣れてもらう必要があることは(制作側も)理解している。とはいえ、Snapchatを利用する世代の多くが、コンテンツを得るために広告を見ることに慣れている」と、試験運用の内容を直接理解している人物の1人は語ってくれた。
若年層にどう響くか?
コマーシャルが導入されるのは、Snapchatが特に力を入れてきた3分から5分の非常にクオリティの高いコンテンツである。これは意義深い。
これらのコンテンツはNBCユニバーサル(NBCUniversal)やバイアコム(Viacom)、そしてターナー(Turner)といった歴史の長い大手のエンターテイメント企業によって制作されている。テレビといった、ほかのプラットフォームで流される彼らのコンテンツでは、視聴者は広告を見ることは当たり前になっている。
Snapchat上で広告を見てもらうというタスク実現は、なかなか苦労しているようだ。顧客獲得に関するサービスを提供する企業フルーエント(Fluent)が行った2017年の調査によると、アメリカ人の69%がSnapchat上での広告を「常に」もしくは「頻繁に」スキップすると回答している。対象を18才から24才に絞ると、この数字は80%にも上る。この年齢層はSnapchatにとって主要なオーディエンス層であり、広告主にとっても重要だ。彼らに広告を強制的に見せることで、広告主やコンテンツのプロデューサーにとっても良くない結果に結びつく可能性はある。
リニューアルの結果
Snapchatが最近行ったデザイン刷新で、ユーザーの友人たちからのアップデートとブランドやメディアのコンテンツが別れるようになった。その結果、一般ユーザーからの大きな反発を受けている。一部の報道ではこのデザインをもとに戻す計画を立てていると言われている。今回のコマーシャル導入はそのタイミングで行われていることも特筆すべきだ。
アド・エイジ(Ad Age)の報道によると、年明け当初の計画では3秒広告を視聴すればスキップできる形式を考慮していたそうだが、どうやらそれよりも強制力の強いものになることが予想されている。現状ではユーザーはSnapchat上の広告をタップするだけでスキップすることができる。
Lucia Moses(原文 / 訳:塚本 紺)