サブスク促進を狙った、タイムズの周到な「メルマガ」戦略

ニューズUK(News UK)のタイムズ・オブ・ロンドン(The Times of London:以下、タイムズ)とその日曜版であるサンデー・タイムズ(The Sunday Times)にとって、定期購読(サブスクリプション)は最終目標だ。定期購読を獲得し、維持する重要な武器のひとつとして、タイムズはメールによるニュースレターを用いている。

「さまざまなニュースレターがあり、それぞれの役割がある」と語るのは、タイムズ・サンデー・タイムズのオーディエンス開発責任者を務めるベン・ホワイトロー氏だ。5年前にニュースレターを開始して以降、タイムズはその戦略を進化させてきた。「リンクをまとめたものがオーディエンスにとって、一番の内容だとは限らない」と語る。

各種レターの役割

タイムズは、メールアドレスと引き換えに週に2本の記事にアクセスできる登録者アクセスモデルを約2年前に導入してすぐ、登録者向けの日刊ニュースレター「ベスト・オブ・タイムズ(Best of Times)」を開始した。ニュース、国際、スポーツ、ビジネス、オピニオンなど各セクションのトップ記事を取り上げるニュースレターで、ホワイトロー氏によると、現在200万人近くの読者がいる。

タイムズはほかに、無料登録者が読めるニュースレターが、サッカー、ドライブ、スタイル、飲食とあと4本ある。無料でさまざまな記事に触れてもらい、週の限度数に到達させて購読者になってもらう設計だ。ほかに、タイムズの政治記者ヘンリー・ゼフマン氏が書いている「ブレクジットブリーフィング(Brexit Briefing)」など、有料購読者向けのニュースレターが20本ある。こちらはオリジナルコンテンツが多い傾向があり、受け取るのはすでに契約している人たちなので、クリックしてサイトに来てもらう必要がない。さまざまな部署の編集スタッフが、ニュースレター向けに日々たくさんの記事を書いている。

2017年9月には、ファンタジーフットボールに関する日刊ニュースレター「スイーパー(The Sweeper)」を立ち上げた。また2014年には、政治ニュースレター「レッドボックス(Red Box)」を開始し、ホワイトロー氏によると、現在4万3000人の読者がいる。こうしたニュースレターを使うことで、有料購読が必要なエリアへと読者を導くことができる。

「やり尽くしていない」

「やり尽くしているわけではない」とホワイトロー氏。「いま、弊社のニュースレターは、かなり大ざっぱだ。たとえば、内容のパーソナライズはやっていない」。

ニュースレターの購読者は通常、パブリッシャーにとってエンゲージメントが一番高い読者だ。一旦ニュースレターを購読すると、購読が切れることは非常に少ない。そのため、タイムズが提供できるものを思い出させ、毎週戻ってきてもらうための重要なツールになっている。

「(ニュースレターは)あまり戻ってこない人に催促してエンゲージメントを高めるのに有効だ」と、ホワイトロー氏は語る。「情報を限定して消費できる形に束ねて配信していく。読者は使い慣れた形で最新動向を把握できる」。

Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)