2020年の大部分を広告マーケットプレイス、ゼウス(Zeus)の片側の構築に費やしたあと、ワシントン・ポスト(Washington Post)がもう片側を開くための準備を進めている。ワシントン・ポストはこの半年、自社サイトのインベントリー(在庫)でテストし、約50ブランドのキャンペーンを100回以上行ってきた。
2020年の大部分を広告マーケットプレイス、ゼウス(Zeus)の片側の構築に費やしたあと、ワシントン・ポスト(Washington Post)がもう片側を開くための準備を進めている。
第2四半期のはじめには、セルフサービスの広告プラットフォームであるゼウス・プライム(Zeus Prime)が始動し、広告バイヤーはゼウス・パフォーマンス(Zeus Performance)を使ってワシントン・ポストの全サイトのユーザーにリーチできるようになる。ゼウス・パフォーマンスは2019年に発表、2020年1月に公開されたヘッダー入札ラッパー兼広告レンダリングエンジンだ。ワシントン・ポストはこの半年、自社サイトのインベントリー(在庫)でゼウス・パフォーマンスをテストし、約50ブランドのキャンペーンを100回以上行ってきた。
ゼウス・プライムが参入しようとしているのは競争が激化している分野だ。ボックス・メディア(Vox Media)からフォーブス(Forbes)、BuzzFeedに至るパブリッシャーがこぞって、ファーストパーティデータをベースにしたソリューションを立ち上げている。しかし、サードパーティCookieの消滅に先立ち、ブランドやエージェンシーが新しい広告支出戦略を考えている今、ゼウス・プライムはコンテクスチュアルターゲティングエンジンのゼウス・インサイツ(Zeus Insights)とともに、多くの小規模パブリッシャーがバイヤーによる検討を待ち望んできた命題を証明するのに役立つと、ワシントン・ポストは確信している。その命題とは、上質な環境でコンテクスチュアルターゲティングを用いて配信される「読み込みの速い広告」は結果につながるというものだ。
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ワシントン・ポストの商業技術開発担当バイスプレジデント、ジャロッド・ディッカー氏は「ゼウスのネットワークはマーケットプレイス(と)ターゲティングによって十分に差別化されていると考えている」と話す。「我々の意図は、最大限の努力によってコンテクストと消費のパフォーマンスを可能な限り証明することだ」。
月間40億超のimpを提供
ワシントン・ポストはブランドやエージェンシーに提案するには規模が必要だと判断し、パブリッシャーとその広告インベントリーの追加に1年近くを費やした。同社のCMS、アーク(Arc)の顧客であるダラス・モーニングニュース(Dallas Morning News)を皮切りに、アークの顧客以外にも拡大してきたのだ(ワシントン・ポストはアークとゼウス両方を所有しているが、両者は別の製品として扱われており、会計処理も個別に行われている)。
ディッカー氏によれば、ゼウスは過去1年間でマクラッチー(McClatchy)、メディアニュース・グループ(MediaNews Group)、トリビューン・パブリッシング(Tribune Publishing)などのパブリッシャーが所有する「約150」のウェブサイトを追加した。同社はニュースカテゴリー以外のサイトも追加を検討しており、ディッカー氏は名前を明かさなかったものの、いくつかのライフスタイル関連パブリッシャーと活発な議論を交わしているという。
ゼウスは現在、参加者が所有、運営するサイトで月間40億超のインプレッションを提供している。バイヤーがターゲティングできるApple Newsなどのインベントリーを含めると、その数はさらに多くなる。
テストを奨励するような設計
パブリッシャーは無制限にゼウス・パフォーマンスをSSPに接続できるが、たとえ競争に直面しても、ゼウス・プライムのネットワークの需要に悪影響はないとディッカー氏は考えている。ディカー氏の予測では、インプレッションのCPMは6ドルを上回る見込みだ(ゼウス・プライムで販売されたすべてのキャンペーンに手数料が課される)。
バイヤーから見ると、ゼウス・プライムはテストを奨励するような設計だ。たとえば、広告バイヤーは既存のFacebook広告のURLを入力し、ターゲティングのパラメーターをいくつか設定し、クレジットカード情報を入力するだけで、すぐに広告キャンペーンを始めることができる。
広告はコンテクスチュアルパラメーターを用いてターゲティングされる。分類法はゼウス・パフォーマンスの全参加者共通だ。
「彼らはうまくやっている」
UMワールドワイド(UM Worldwide)でグローバル最高イノベーション責任者を務めるチャド・ストーラー氏は「彼らは本当にうまくやっている」と評価する。「特に印象的なのは、ビューアビリティ(可視性)をはじめとするすべての基準で、パブリッシャーが競争力を維持できるようにしている点だ」。
「一歩引いて考えてみてほしい。なぜあれほど多くの人がこのプラットフォームに集まっているのだろう」とストーラー氏は問いかける。
「なぜなら彼らが問題解決に取り組んでいるからだ」
[原文:‘They’re solving a problem’: The Washington Post readies its Zeus platform for the buy side]
MAX WILLENS(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:長田真)