波乱の幕開けだった2023年。下半期に入り、状況は上半期よりもかなり好調のようだ。少なくとも第3四半期からは、そのように判断できる。
とはいえ、まだ数多くの契約が結ばれておらず、パブリッシャー各社の営業チームは最終調整に余念がない。
その一方で、米DIGIDAYが話を聞いたパブリッシャーのチーフレベニューオフィサー(CRO)4名によると、広告主の関心はすでに2024年のキャンペーンの動向にあり、今後の取引は例年よりも難航しそうだという。
第3四半期は好調な傾向か
ブラビティ(Blavity Inc.)の場合、具体的な数字は提示されなかったものの、創業者でCEOのモーガン・デボーン氏によれば、第3四半期における広告主の契約数は、2022年と比較すると、「健全な上昇傾向」が見られるという。「当社では、第3、第4四半期はともに収益が昨年の2022年を下回ることはないと見ている」と、同氏は米DIGIDAYに明かした。
また、「コンデナスト(Condé Nast)では、収益もRFP(提案依頼書)の量も2022年より数字が伸びている」と、同社グローバル担当CROのパメラ・ドラッカー・マン氏は話す。なお、2023年の下半期と年間の数字がどの程度改善しているのかは公開の予定がないという。
一方で、BDGは「2023年下半期の収益は横ばいもしくは若干減少を見込んでいる」とCRO兼プレジデントのジェイソン・ワーゲンハイム氏は話す。同氏によると、今回の予測は、中核となる複数のサイトでこの5年にわたり増益が続き、飽和状態になったことがその原因に挙げられるというが、このような経済状況では、「新規の広告主が近寄りにくいという事実も見逃せない」という。しかしながら、第3四半期に予定されている大規模なイベントによって、収益拡大の可能性を秘めているようだ。
イベントによる収益増
コンデナストの年間イベントである第2回ボーグ・ワールド(Vogue World)が、9月の英国ロンドン・ファッションウィーク中に開催される予定だが、このイベントには各国から多額の広告予算がつぎ込まれており、ドラッカー・マン氏によると、その大半が米国の広告主の予算だという。なお、同氏は収益の具体的な数字の公表を避けた。
「この大イベントのおかげで、広告収益がさらに増える予定だ」とドラッカー・マン氏は言う。これもコンデナストの下半期が好調である一因だ。
BDGは2023年9月にキャンプロンパー(Camp Romper)の開催を予定している。このイベントは、「第3四半期のよい刺激剤になる。また、利ざやが大きめなため、イベント収益は2023年の収益全体の15~18%を占めるまで伸びるだろう」と、ワーゲンハイム氏は話す。
なお、コンデナストのドラッカー・マン氏は、第3四半期が好調なのは、オープンプログラマティック市場のCPMが第2四半期に上昇し始めたこともひとつの要因だと話し、その上昇は2023年末まで続くと考えている。CPMに関しては、2022年末から2023年始めにかけて3年連続で減少していた。
波乱の幕開けだった2023年。下半期に入り、状況は上半期よりもかなり好調のようだ。少なくとも第3四半期からは、そのように判断できる。
とはいえ、まだ数多くの契約が結ばれておらず、パブリッシャー各社の営業チームは最終調整に余念がない。
その一方で、米DIGIDAYが話を聞いたパブリッシャーのチーフレベニューオフィサー(CRO)4名によると、広告主の関心はすでに2024年のキャンペーンの動向にあり、今後の取引は例年よりも難航しそうだという。
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第3四半期は好調な傾向か
ブラビティ(Blavity Inc.)の場合、具体的な数字は提示されなかったものの、創業者でCEOのモーガン・デボーン氏によれば、第3四半期における広告主の契約数は、2022年と比較すると、「健全な上昇傾向」が見られるという。「当社では、第3、第4四半期はともに収益が昨年の2022年を下回ることはないと見ている」と、同氏は米DIGIDAYに明かした。
また、「コンデナスト(Condé Nast)では、収益もRFP(提案依頼書)の量も2022年より数字が伸びている」と、同社グローバル担当CROのパメラ・ドラッカー・マン氏は話す。なお、2023年の下半期と年間の数字がどの程度改善しているのかは公開の予定がないという。
一方で、BDGは「2023年下半期の収益は横ばいもしくは若干減少を見込んでいる」とCRO兼プレジデントのジェイソン・ワーゲンハイム氏は話す。同氏によると、今回の予測は、中核となる複数のサイトでこの5年にわたり増益が続き、飽和状態になったことがその原因に挙げられるというが、このような経済状況では、「新規の広告主が近寄りにくいという事実も見逃せない」という。しかしながら、第3四半期に予定されている大規模なイベントによって、収益拡大の可能性を秘めているようだ。
イベントによる収益増
コンデナストの年間イベントである第2回ボーグ・ワールド(Vogue World)が、9月の英国ロンドン・ファッションウィーク中に開催される予定だが、このイベントには各国から多額の広告予算がつぎ込まれており、ドラッカー・マン氏によると、その大半が米国の広告主の予算だという。なお、同氏は収益の具体的な数字の公表を避けた。
「この大イベントのおかげで、広告収益がさらに増える予定だ」とドラッカー・マン氏は言う。これもコンデナストの下半期が好調である一因だ。
BDGは2023年9月にキャンプロンパー(Camp Romper)の開催を予定している。このイベントは、「第3四半期のよい刺激剤になる。また、利ざやが大きめなため、イベント収益は2023年の収益全体の15~18%を占めるまで伸びるだろう」と、ワーゲンハイム氏は話す。
なお、コンデナストのドラッカー・マン氏は、第3四半期が好調なのは、オープンプログラマティック市場のCPMが第2四半期に上昇し始めたこともひとつの要因だと話し、その上昇は2023年末まで続くと考えている。CPMに関しては、2022年末から2023年始めにかけて3年連続で減少していた。
はっきりしない第4四半期
第3四半期のこれまでの状況から好調の要因が数多く見られるものの、第4四半期の予測となると依然として五分五分といったところだ。
ブラビティのデボーン氏はこう話す。「ホリデーシーズン向けのRFPが予想を下回っていることに少しばかり驚いた。依頼が遅れているだけなのか、あるいは広告主が消費者市場にまわす年末の予算を減らしているだけなのか、これは見ものだ」。
ボックスメディア(Vox Media)の場合、ホリデーシーズンのショッピング商戦で広告主の特定の製品を大きく取り上げて、ザ・ストラテジスト(The Strategist)の記事のような、パブリッシャーのeコマースコンテンツに並べて流すといった、新たなディスプレイ広告が生まれた。CROのジェフ・シラー氏いわく、「こうした広告なら、広告主は第4四半期の予算をつぎ込もうと考える」という。
一方、BDGのワーゲンハイム氏はこう述べる。「第4四半期に関しては何も言えない。プランニングは相変わらず極めて短期のものばかりであり、広告掲載の申し込みはぎりぎりまで来ないため、納期に間に合わせるだけで必至だ。この傾向はこれからも続く。すぐに状況が変わるとは思えない」。
「それでも、この時期にこれまで依頼されたRFPの数を考えれば、第4四半期とホリデーシーズンの目標は達成されるだろう」と、ワーゲンハイム氏は楽観的観測を見通す。ただし、業界の流れは2024年の準備に向いているという。
2023年の話はもうそろそろおわり
第4四半期は大半のパブリッシャーにとって不透明なままだが、2024年のプランニングはすでに着々と進んでいる。
ワーゲンハイム氏は、「当社と企業契約の交渉中の、ある大手エージェンシーの幹部は、2024年の契約を2023年の12月ではなく、10月までに済ませようと躍起になっている」と現状を説明した。さらに、2024年のブリーフ資料がすでに同氏の手元まで上がっている状況のだが、例年なら9月第1月曜日の祝日が過ぎないとこうした状況にはならないという。「2023年は皆、早めに2024年のプランニングの準備に取りかかっているのではないか。2023年はある意味、なるようにしかならないだろうから」。
ブラビティは現在、第3四半期から第4四半期の年末キャンペーンを大口顧客と検討中だが、デボーン氏は「当社は通常よりも数カ月早めに2024年のRFPに対応している」と話す。
一方でボックスメディアの場合、2024年の営業アプローチは事後対応というより直近の課題であり、「上がってくるRFPは大半がまだ2023年下半期のものだからだ」と、シラー氏は説明する。さらに、「9月には状況が変わるはずで、すでに営業はチャンスがあれば広告主に対して、2024年の大規模イベントやエディトリアルフランチャイズのピッチを始めている」と明らかにした。
このほか、ドラッカー・マン氏は、コンデナストではこの夏にTV・ストリーミング広告のアップフロントシーズンが終わってから、広告主と2024年の予定について話し始めているという。同氏は、「ストリーミング事業の関係で1年先のプランニングに関してはこれが典型的なスケジュールだ」と話し、「コンデナストは、すでに少し前から2024年のプランニングに取り組んでいるが、例年と比べて予定よりかなり早いとか遅いとか、特にそうした印象はない」と言い添えた。
[原文:Media Briefing: Publisher CROs say Q3 ad revenue is pacing up but advertisers are looking past Q4]
Kayleigh Barber(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)