メディア企業合併の波が再び高まっている。最新の典型例がバズフィード(BuzzFeed)によるコンプレックス・ネットワークス(Complex Networks)の買収だ。その取引について両社CEOが先日、米DIGIDAYのポッドキャストで語ってくれた。
メディア企業合併の波が再び高まっている。最新の典型例がBuzzFeedによるコンプレックス・ネットワークス(Complex Networks)の買収だ。その取引について、BuzzFeedからCEOのジョナ・ペレッティ氏が、コンプレックス・ネットワークスからCEOのリッチ・アントニエロ氏が先日、米DIGIDAYのポッドキャストで語ってくれた。
コンプレックス・ネットワークスがBuzzFeedのなかにどうしたら上手く収まるのか、BuzzFeedのブランド勢が人気フェス、コンプレックスコン(ComplexCon)をはじめとするコンプレックス(COMPLEX)のブランド勢とどう融合していけるのか、その逆はどうなのかなど、話題は多岐にわたった。そして、巨大テックプラットフォームや、今後も合併が続くと思われる大手メディア企業勢が支配する業界で戦うには、単独で行くよりタッグを組んだほうが明らかに有利であると両氏ともに見ていることが、今回のインタビューで明らかになった。
アントニエロ氏いわく、「いまのこの時代、独立系のパブリッシャーを続けるのは極めて難しい。今後はますます難しくなっていくと思うし、今回のコロナ禍でそれが浮き彫りになった」。
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とはいえ、複合メディア企業には、それなりの困難も伴うのではないか。
「すべてをひとつにまとめ、いわゆるチーフコンテンツオフィサーを立てて、どのコンテンツもひとつ残らず同じようなものにしてしまう企業だったら、そう言えるだろう。というか、それではまるで機能しない」と、ペレッティ氏。「編集・制作部門の独立性は不可欠で、その考え方は実際、ビジネスの動かし方にも、パートナーシップやブランドのライセンシング契約、ネイティブ広告やブランデッドコンテンツにも当てはまる」。
これより、ポッドキャストのハイライトをお届けする。なお、長さとわかりやすさを考慮し、発言には多少編集を加えてある。
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コンプレックス・ネットワークスがCEOを保持する理由
ペレッティ氏:コンプレックス・ネットワークスの事業のなかには、BuzzFeedなら販促に力を貸せる、あるいはもっと世の中に広められるはずだと、我々が願って止まないものがたくさんある。さらに、両者の協力が期待できる分野も多々ある。それでもコンプレックスにCEOを保持してもらうのは、コンプレックスは一企業およびフランチャイズとして極めて優良であり、独自性の担保が必要だと確信しているからだ。
BuzzFeedとコンプレックス・ネットワークスの事業の差異
アントニエロ氏:ジョナ(ペレッティ氏)と対話を続け、両社のマネジメントチームが理解を深めるにつれて、互いの事業内容や多様性のレベルがよく見えてきたし、お互いに補完できることもわかった。我々は長期的コンテンツに強く、彼らは短期的コンテンツに強い。彼らには、アフィリエイトもプレミアムマーチャンダイズも有する、素晴らしいeコマースエンジンがあり、我々には独自のIPとプレミアムマーチャンダイズ的なeコマースがある。
両社のフードブランドの扱い方
ペレッティ氏:BuzzFeedのテイスティ(Tasty)は広く一般を向いている、大衆型のブランドだ。一方、コンプレックス・ネットワークスのファースト・ウィ・フィースト(First We Feast)は新生カルチャーや今後来ると思われるものを扱うブランドだ。私自身はテイスティもファースト・ウィ・フィーストも好きだが、ひとりの消費者として考えた場合、両ブランドがむやみに統合されて、互いの個性が薄められてしまったらがっかりすると思う。今後もテイスティはテイスティの道を進む必要があるし、同じことはファースト・ウィ・フィーストにもいえる。
コンプレックス・ネットワークスのホットソースをテイスティでも
アントニエロ氏:我々(コンプレックス・ネットワークス)の番組「ホット・ワンズ(Hot Ones)」で使用しているホットソースとホットハニーがある。私としては、それらをぜひ、テイスティのタレント陣に使ってもらいたい。両社で協力し合い、もっといろいろな商品を売っていこうじゃないか。我々の商品を使って新しいレシピを作り、もっと利益を生み、それを消費者に還元し、より大きな価値を提供していこうじゃないか。
[原文:Jonah Peretti and Rich Antoniello explain why BuzzFeed is buying Complex Networks]
TIM PETERSON (翻訳:SI Japan、編集:小玉明依)