Facebook 動画の「ミッドロール広告」に明るい兆し?

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Facebook動画のミッドロール広告に、明るい兆しが見えはじめている。だが、パブリッシャーがこの広告製品から十分な利益を得るには、ビューとエンゲージメントをまだまだ増やす必要がありそうだ。

2017年3月に登場したFacebookのミッドロール広告は、パブリッシャーが広告入りの動画を配信して利益を得られるプログラムだ。動画は少なくとも3分の長さにする必要があり、広告は動画の再生開始から1分以上経たないと表示されない。動画セクションのWatch(ウォッチ)と同じく、このプログラムの狙いは、パブリッシャーや動画制作者が動画から利益を得られるようにすることにある。Facebookはこれまで、「おすすめの動画」などの取り組みで失敗を重ねてきた。このミッドロール広告プログラムは、YouTubeやその他の長尺動画のプラットフォームの広告製品と似ているが、2017年にパブリッシャーが得た利益はごくわずかだった。だが、状況は変わりつつあるようだ。

ミッドロール広告プログラムに参加しているパブリッシャー6社によれば、2018年にはこの広告製品から得られる収益が増える見込みだという。あるパブリッシャーは、第2四半期にミッドロール広告から得られる収益が第1四半期より10~40%増えており、通年では1000万ドル(約11億円)を超える勢いだそうだ。別のパブリッシャーは、2018年中にFacebookのミッドロール広告が「1000万ドル単位のビジネス」になりそうだと話す。さらに別のパブリッシャーは、Facebookのミッドロール広告が百万ドル台(の低いほう)の収益をもたらすと予測している。この3社はいずれも、動画の月間ビュー数でトップクラスのFacebook動画制作者だ。

「いまはコンスタントに毎月10万ドル台(1000万円台)の売上を記録しているため、全体的に見れば、昨年の秋より順調に推移している」というのは、3番目のパブリッシャーの幹部だ。「だが、大幅な増加はまだ見られない。我々の動画のビュー数を考えれば、本来達成すべきレベルにはまだ達していない」と、この幹部は語った。

情報筋によれば、Facebookのミッドロール広告プログラムは、まだ量とエンゲージメントを増やしていかなければいけない段階だという。あるパブリッシャーが独自に集計したところ、同社のFacebook動画が直近の四半期に獲得した収益は、動画100万ビューあたり360ドル(約3万9000円)だったという。別のパブリッシャーは、100万ビューあたり264ドル(約2万9000円)だったと推定している。

こうした数字についてFacebookにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

YouTubeと比べると

Facebookのミッドロール広告をYouTubeなどのプラットフォームと比べたときの見解は、パブリッシャーによってまちまちだった。たとえば、USAトゥデイ・ネットワーク(USA Today Network)では、Facebookがソーシャル動画収益において最大のプラットフォームになっているという。この成功の大きな要因は、「ヒューマンカインド(Humankind)」や「アニマルカインド・ストーリーズ(Animalkind Stories)」といった心温まる動画シリーズが好調なことにある。

「Facebookが量と収益の面でトップであることは間違いない」と、USAトゥデイ・ネットワークで国内販売およびブランド提携担当プレジデントを務めるマイケル・カンツ氏はいう。「YouTubeも素晴らしいパートナーだが、Facebookと同レベルの成果は、いまのところ得られていない」と、カンツ氏は話した。

だが、YouTubeでの経験が長いほかの企業は、このGoogle傘下の巨大動画プラットフォームからもっと多くの収益を上げている。あるパブリッシャーは、Facebook動画から得られる収益を100万ビューあたり264ドルと予測する一方、YouTube動画では100万ビューあたり2200ドル(約24万円)の収益を見込んでいる。このような企業にとって、Facebook動画のビュー1回あたりの価値は、YouTubeのビュー1回の12%程度しかない。

もちろん、Facebookのミッドロール広告とYouTubeのプレロール広告の比較には限界がある。FacebookのWatchはまだ日が浅く、ユーザーの行動パターンが定まっていない。「YouTubeは我々にとって5年目のビジネスであるし、YouTube自体も12年目のビジネスだ」と、BuzzFeedでブランドディストリビューション担当バイスプレジデントを務めるケン・ブロム氏はいう。「Facebook Watchはまだ基礎作りの段階だ。Facebookの新たなユーザー行動についてはまだ議論の余地がある。ユーザーの行動パターンが定まるまで、マネタイズに向いた場所にはならないだろう」。

道のりはまだ長い

広告収益が増える兆しはいくつかある。Facebookは動画イベントの「ビドコン(VidCon)」で、ミッドロール広告の対象を米国の動画クリエイターやほかの動画ページに拡大すると発表した。また、Watchの視聴時間が2018年初頭から900%増加したと述べている。ただし、具体的な視聴時間は明らかにしていない。

さらにFacebookは、一部の大手パブリッシャーに対し、ミッドロール広告インベントリー(在庫)の直接販売を認めている(ただし、情報筋によれば、パブリッシャーが動画内の広告スロットを売ることはできないようだ)。ほかにも、直接販売がもうすぐ可能になると話すパブリッシャーがある。また、FacebookはWatchのプレロール広告のテストもいまも続けている(あるパブリッシャーによれば、Facebookは、番組や動画を積極的に探すユーザーにプレロール広告を表示するつもりだという)。

Facebookにとってもパブリッシャーにとっても、このミッドロール広告製品の成長は今後もゆっくりしたものになりそうだ。関係者によると、Facebookは動画に広告を挿入する回数について、慎重な姿勢を崩していない。あるパブリッシャーの推定では、要件を満たしている動画にミッドロール広告が表示される割合は、ビュー3回あたり1回に過ぎないという。

「テレビCMが番組11分あたり4分であることを考えれば、Facebook Watchの割合は本当にごくわずかだ」と、Facebook動画を手がける大手パブリッシャーの幹部はいう。「彼らはいずれアドロード(広告掲載回数)を増やすだろう。だが、ユーザーを苛立たせないように、かつインベントリーの希少性を作りだすために、当面は少しずつ進めていくだろう」。

また、いまでは広告主もミッドロール広告を直接購入できるようになったと、複数の広告バイヤーが述べている。ある広告主の幹部によれば、同社が2018年の第1四半期から第2四半期までに行った個人向けキャンペーンの期間中、Facebookのミッドロール広告の価格はCPMあたり5ドル(約550円:基準は10秒)だったという。同じ期間のB2Bキャンペーンは、CPMあたり18ドル(約1990円)だった。ちなみに、この広告主のYouTube広告は、CPMあたり15~20ドル(約1660円〜2200円)だ。したがって、「Facebookよりやや高いが、私の意見では、YouTubeのほうが動画製品としてはるかに優れている」と、このバイヤーは語った。

広告主は、Facebookがベンチマークを提供することをいまも望んでいる。Facebookのミッドロール広告をうまく活用するためだ。

「我々は(ミッドロール広告の)テストを行っているが、測定基準やベンチマークが確立されない限り、大量のお金をつぎ込むわけにはいかない」と、バリック・メディア・マネジメント(Varick Media Management)のCEO、ポール・ドーラン氏はいう。「(ベンチマークが確立されれば)Facebookは、YouTubeやほかのプラットフォームのプレロール広告で我々が経験しているものにさらに近づくだろう」。

成果はまだまだ不安定

Facebookのミッドロール広告で利益を得ようとするパブリッシャーにとって、このプラットフォームはまだ量を競い合う段階であり、その成果は安定していない。動画によっては、数千万のビューを獲得して、それなりの収益をもたらすものもあるが、ごくわずかな収益しか得られないものもある。

「量はギャンブルだ」と、あるパブリッシャー幹部はいう。「うまくいっているのは、早くからFacebookで利益を上げているおなじみのミレニアルブランドだ」。

「今後1年で収益が劇的に増えることはないと思う」と、別の幹部は話してくれた。「大成功を収める月もあれば、まったく異なる状況になる月もあるだろう。彼らが(動画や広告の)製品をあれこれ試し、その製品を市場にフィットさせる方法を検討しているあいだは、そうなるのが自然だと思う。彼らが作り上げなければならないのは、たまにヒット動画が生まれるような場所ではなく、人々がコンスタントに動画を視聴するような、持続性のある場所だ」。

Facebookでコンスタントに数十億ビューを獲得できる大手パブリッシャーにとっては、収益の取り分が重要になる。その額が期待したほどでなければ、特にそうだろう。一部のパブリッシャーが本当に望んでいるのは、Facebookがニュースフィードから得ている収益を分けてもらうことなのだ(このような意見を声高に主張しているのは、BuzzFeedのCEO、ジョナ・ペレッティ氏だ。同氏によれば、BuzzFeedの人気フードブランド「テイスティ(Tasty)」は、Facebookの動画製品から一銭も利益を上げていないという)。

別のパブリッシャー幹部は、次のように述べている。「我々のようなパブリッシャーがエンゲージメントを作りだした結果、動画と動画のあいだ(に表示される広告)から生まれた収益を、彼らはいつ分配してくれるのだろうか。Facebookの広告収益のほとんどは、動画内で生まれているのではなく、動画と動画のあいだ(に表示される広告)から生まれているのだ」。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)