ローンチから2年で、ドードー(The Dodo)はこころ和む動物関連のコンテンツを作り、複数のプラットフォームで合計5億回の再生回数を達成した。そして5年目を迎えたいま、ドードーは依然として動物コンテンツにこだわりつつも、より若いオーディエンス層にアピールするための企画をローンチする。
ドードー(The Dodo)は子ども向けプログラムに注力している。
ローンチから2年で、ドードーはこころ和む動物関連のコンテンツを作り、複数のプラットフォームで(特にFacebook)合計5億回の再生回数を達成した。そして5年目を迎え、グループ・ナイン・メディア(Group Nine Media)の傘下となったいま、同社は依然として動物コンテンツにこだわりつつも、より若いオーディエンス層にアピールするための企画を立ち上げる。
これまでのドードーの取り組みとは異なり、今回の企画はFacebook中心に作られていない。彼らのフォーカスはYouTubeとNetflix(ネットフリックス)にある。このふたつのプラットフォームが9歳から12歳、そしてティーンズが時間を費やす場所となっているからだ。それは、Facebookではない。実際、ヴィドコン(VidCon)で米DIGIDAYの質問に回答してくれた子どもたちもそのように語っていた。
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量よりも質を重視
先日、ドードーはNetflixでのオリジナルシリーズ「イジー・ビーのコアラ・ワールド(Izzy Bee’s Koala World)」を発表した。このコンテンツは11歳のイジー・ビーが家族と一緒にコアラを救助する、という物語になっている。2020年に配信される予定のこの企画は、グループ・ナイン・スタジオ(Group Nine Studios)とドードー、そしてノマディカ・フィルムズ(Nomadica Films)とのパートナーシップで制作される。ノマディカ・フィルムズはドードーのアニマルプラネット(Animal Planet)番組「ドードー・ヒーロー(Dodo Heroes)」の制作も手伝った。Netflix企画の発表は、ドードー・キッズ(Dodo Kids)のローンチに続いた形だ。彼らの新しい部門であるドードー・キッズは先日、YouTubeで3つの新しいシリーズ企画を公開した。
彼らの社内アナリティクスによると、ドードーの月間ビデオ再生回数は伸びているという。その数は、26億回にものぼるとのことだ。チューブラー・ラボ(Tubular Labs)のデータによると、Facebook、インスタグラム(Instagram)、YouTube、Twitterにおけるドードーの動画再生回数は、それぞれのプラットフォームで落ちているようだ。2018年7月の合計18億回から2019年6月11億1000万回といった具合だ。特にFacebookでそれは顕著だ。2018年6月の段階では14億9000万回であった動画再生回数が2019年6月には8億6600万回となっている。
しかし、チューブラー・ラボのデータにはSnapchat(スナップチャット)、IGTV、インスタグラムのストーリーは含まれていない。グループ・ナインの広報担当者によると、ドードーはユーザーの維持と視聴時間を優先事項としており、過去1年で再生回数ごとの滞在時間は21%増加している、と語った。これはNowThis(ナウディス)が量よりも質を重視しているのと似ている。
ドードー・キッズの登場
ドードー・キッズの登場により、質の高いプログラムを通してオーディエンスを拡大する方法がドードーに加わったことになる。ドードー・キッズはバイラル動画よりも長編のストーリーテリングを含んでいる。ドードーのファウンダーであり最高クリエイティブ責任者であるイジー・レラー氏は、会社をはじめた2014年の時点で子どもにフォーカスしたサブブランドをローンチする考えを持っていたという。
「ドードー・アダルト(Dodo Adult)を作りたかった。いまでは何と呼ぶか分からないが、それを作って独立したものとして存在させたかった。ドードー・キッズは非常に自然なブランドの拡張となっている。我々のオーディエンスからは、これが子どもにとって非常に自然な視聴体験で、複数の人数で視聴する体験だというフィードバックをたくさん受けとっている」と、レラー氏は言った。
ドードー・キッズのエディトリアル部門リーダーはデイブ・グラウバー氏だ。彼はセサミ・ワークショップ(Sesame Workshop)、トカボカ(Toca Boca)、NBCユニバーサル(NBCUniversal)で子供向けプログラムに取り組んだ経歴を持つ。この4月に就任した。彼のチームのことをレラー氏は「小さく、さまざまな人材が寄せ集まった」と形容する。しかし人数は明かさなかった。ドードー・キッズはYouTube上で3つの新しいシリーズ企画をデビューさせた。「ベスト・アニマル・フレンズ(Best Animal Friends)」「ドードー・シング・ドードー・ダンス(Dodo Sing Dodo Dance)」、そして「レスキュード!(Rescued!)」の3つだ。そのうち、いくつかはドードーの過去の作品がインスピレーションとなっている。
「子どもであれば100%響く」
「我々が新しいプラットフォームをローンチするとなったときに、ドードー・キッズのようなものを念頭をおいたような感じだ。我々はオーディエンスについて、すべてを知ることが重要だと考えており、我々のコアを作り変え、そのプラットフォームに最適化するということを最重要だと捉えている。まるで子どもたち自身がプラットフォームになっているようだ」と、レラー氏は語った。
「ベスト・アニマル・フレンズ」は現時点で15話があり、ドードーの「オッド・カップルズ(Odd Couples)」シリーズの派生となっていると、グラウバー氏は言う。珍しいものから、ただ可愛らしいものまで、動物のあいだでの友情を紹介する。
「オーディエンス一般全体に響くコンセプトであり、子どもであれば100%響くものだ。もともとの物語、エディトリアルコンテンツを使って、子ども向けに声を新しくあてた形だ。ドードーと同じような仕組みになっている。心に響くものであり、動物をひとつの生きる人格として扱う」。
ドードーの過去作品でも、レスキュー用動物を扱ったものがあるが、それが「レスキュード!」のインスピレーションとなったようだ。ホストであるローマン・マコーン氏は、アニマルプラネット(Animal Planet)におけるドードーのシリーズである「ドードー・ヒーロー」のシーズン2にフィーチャーされた。
まずはYouTubeから配信
ドードーはドードー・キッズの最初のプラットフォームとしてYouTubeを選んだ。これはすでにYouTubeが子ども向けプログラムに大きく投資をしてきていることから、若い層との親和性が高いと考えたからだ。YouTubeはブランドセーフティ問題に取り組むなかで、よりブランドにとって安全なコンテンツを求めており、独立したYouTube Kidsのアプリに投資している。
ドードー・キッズは独占チャンネル・スポンサーとしてパラマウント(Paramount)による『ドラと失われた金の都(Dora Lost City of Gold)』を抱えてローンチされた。独占スポンサーは8月中旬まで続くと、ドードーの広報担当者は述べた。
「ドードー・キッズが広告主を抱えてローンチすることになって、驚いていない。グループ・ナインは常に広告に優しい内容であるし、コンテンツは非常に高いエンゲージメントを生む。それは社のDNAに入っている。しかし、成功するキッズ・ブランドには、さまざまな追加物があるのが普通だ。オモチャ、遊園地、といった具合だ。成功しているブランドが少ないのは、それが理由かもしれない。ドードー・キッズが目の前に持っている道のりは長い」と、オムニコム(Omnicom)最高トランスフォーメーション責任者のベン・ウィンクラー氏は言う。
ドードー・キッズの今後
ドードー・キッズは今後YouTubeでのシリーズ企画をさらに増やす予定だ。またNetflixで制作しているような長編のプログラムも増やす計画だという。レラー氏は、売り込みをかけている企業の具体的な社名は言及しなかったが、プラットフォームというよりは、適切な物語、という視点で計画を考えているようだ。その結果、プラットフォームがケーブルテレビになろうとも、ストリーミングサービスになろうともだ。本の出版もまた、今後の計画に含まれている。
「我々は子どもたちの生活の一部になりたい。そして我々は、子どもたちの人生において影響を持つことができ、提供できるものは多い。ドードーは動物コンテンツを大きな心を持って作ることで成功した。キッズ分野では、それがあまり多くない。我々は今後、それを増やすことに尽力している」と、グラウバー氏は語った。
Kerry Flynn(原文 / 訳:塚本 紺)