ニュースレタープラットフォームを手がけるサブスタック(Substack)の創業者は、ニュースレターの有能な書き手を発掘するためにTwitterを利用していると明かしたことを後悔しているかもしれない。 ソーシャルメディア大 […]
ニュースレタープラットフォームを手がけるサブスタック(Substack)の創業者は、ニュースレターの有能な書き手を発掘するためにTwitterを利用していると明かしたことを後悔しているかもしれない。
ソーシャルメディア大手のTwitterは1月26日、ニュースレタープラットフォームのレビュー(Revue)を買収したと発表した。これは、Twitterにとって消費者収益を得るための第一歩であると同時に、ニュースレター分野での競争が始まったことを示す新たな兆候といえる。
買収金額は明らかになっていないが、すでにわかっていることもいくつかある。
Advertisement
- レビューは独立したブランドとして存続するが、Twitterはレビューにリソースを提供し、ほかのニュースレタープラットフォームに対する競争力を強化できるようにする予定だ。レビューの取り分は消費者収益の5%に削減され、サブスタックの半分となる。また、今後はレビューのすべてのプロフェッショナル向け機能が無料で著者に提供される。さらにTwitterは、レビューが研究、デザイン、エンジニアリング分野の人材を増やせるよう支援する。
- Twitterは、レビューのサービスと自社製品の統合を検討していることも明らかにした。たとえば、Twitterからニュースレターを購読できるようにしたり、ニュースレターの著者と購読者が直接やり取りできる機会を提供したりするといったことが考えられる。
- 最近のニュースレター業界ではサブスタックが話題になることが多かったが、レビューはボックスメディア(Vox Media)やザ・マークアップ(The Markup)のような大手パブリッシャーだけでなく、個人のクリエイターにも読者をもたらしていた。
- Twitterはレビューの読者や有料購読者の数を明らかにしていない。レビューでサブスクリプション機能が初めて導入された2018年、レビューのユーザーが獲得した読者の数はおよそ3万人で、そのうち有料購読者は2000人だった。ニュースレター「プラットフォーマー(Platformer)」の著者であるケイシー・ニュートン氏は、ボックス・メディアを辞める前にレビューを利用して2万人の購読者を集めたが、その購読者をサブスタックに連れて行ってしまった。
消費者収益を狙うTwitterの最初の一手
よくよく考えれば、Twitterのニュースレターへの参入は驚くことではない。同社が昨年末に消費者収益の獲得を目指すと公言したとき、多くの人は広告フリーのサービスを思い浮かべたが、TwitterのユーザーとTwitterを利用している人気の著者を直接つなげるほうが理にかなっている。
TwitterはFacebookやYouTubeのようにありえないほど多くのユーザーを抱えているわけではないが、Twitterを利用している著述家や思想家はかなり多い。したがって、サブスタックが有能な著者をリクルートするためにTwitterを使うのを止めることは当分ないだろう。サブスタックは、目をつけた著者がTwitterで獲得したリツイート、いいね!、リプライの数を測定し、その人物のエンゲージメントを「バスチェズ(Baschez)」スコアとして数値化していた(バスチェズという名は、このシステムを考案した元従業員ネイサン・バスチェズ氏の名前から取ったものだ)。
逆方向からのアプローチ
ニュースレタープラットフォームを取り込むというTwitterの戦略は理にかなっている。同社は最大文字数を当初の140文字から増やして以来、人々がニュースや個人的な経験など、さまざまな話題についてあれこれ話をする一種のソートリーダーシッププラットフォームへと成長したからだ。
「人々がこれほどさまざまなスレッドを書き込んでいるのもうなずける」というのは、ニュースメディアパブリッシャーのモーニングブリュー(Morning Brew)でB2Bビジネス担当GMを務め、最近までサブスタックで配信していたニュースレター「エー・メディア・オペレーター(A Media Operator)」の著者でもあるジェイコブ・ドネリー氏だ。ただし、「Twitterの投稿を利用してオーディエンスを構築できても、そのオーディエンスを誘導する場所が必要になる」と同氏はいう。
また、「ほとんどの企業は、まず製品を作ってからオーディエンスの獲得方法を考える」と、ドネリー氏は付け加えた。「Twitterはすでにオーディエンスを獲得しているので、有能なクリエイターにどのようなメリットを提供すべきかを考えればいい」。
追加の機能
これからは、著者にとって何がメリットなのかを考え、そのメリットを提供することが重要になる。ニュースレタープラットフォーム各社は、競争が激しくなるにつれて、著者をキープする(著者の流出を阻止する)ための機能を強化している。
こうした機能には、サブスタックが昨夏からすべての著者を対象に開始した訴訟費用支援プログラムなど、サービスとして提供されているものもあれば、金銭的なメリットを重視したものもある。フォーブス(Forbes)が1月初めに発表したニュースレタープログラムは、同社のニュースレタープラットフォームを利用する著者に給料と手当を支払うだけでなく、ニュースレター経由で得られた広告収入の一部を支払うというものだ。
また、LinkedIn(リンクトイン)も独自のニュースレターツールの開発を急いで進めている。
縄張り争い
ニュースレターをめぐる競争が激しさを増しているのには理由がある。気が散ることなくコンテンツに集中できる環境を読者に提供して彼らと直接つながることの価値に、メディア業界の人たちが気づき始めたからだ。アドビ(Adobe)が3年前に行った調査によると、米国の平均的なホワイトカラーは1日に5時間以上をメールに費やしていたという。人々が自宅で仕事している今は、さらに時間が増えているに違いない。
「ライブインテント(LiveIntent)が12年前から述べてきたことの正しさがますます証明されている」と、メール収益化プラットフォームを手がける同社でCMOを務めるケレル・クーパー氏は語った。
[原文:Cheat sheet: Twitter’s acquisition of Revue heats up the battle of the inbox]
MAX WILLENS(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:長田真)