Twitter のボット「浄化」、歓迎するエージェンシー幹部たち

7月中旬、何百万人というフォロワーがTwitterアカウントから消えた。Twitterユーザーの大半にとってはささいな出来事だったが、なかにはパーセンテージが2桁減少するブランドやセレブもいた。たとえば、Twitterでもっとも多くのフォロワーを抱えるケイティ・ペリーのアカウントは、200万人ものフォロワーを失った。Twitterのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)のアカウントは20万人、クラッカーブランドのウィートシンズ(Wheat Thins)は12003人のフォロワーをそれぞれ失った。

しかし、これは悪いことではないと、マーケターたちは言っている。

「160万人いたフォロワーのうち、約3万人を失った。我々は、ほかのどのメトリクスよりも、ソーシャルオーディエンスの関心度を宣伝材料にしている。これが我々の宣伝文句の信頼性を高めてくれている。いまのところ@NYSEは、フォロワー数は減少したが、全体的に変わらないエンゲージメントを維持している」と、ニューヨーク証券取引所(NYSE)のデジタル/ソーシャルメディア部門でマネージャーを務めるマシュー・コバック氏はいう。

今回の変更によって、一部のアカウントに「スパムの疑いあり」や「非アクティブ」のフラグがつけられたため、誰が実際のTwitterを利用しているのかをもとに、個人や企業が持つコミュニティの規模に対する透明性が高められる。これは、これまでずっと先送りにされてきた、Twitterを効果的なマーケティングにより適したプラットフォームにするためだけでなく、質の高いキャンペーンの基準を書き変えるためのさらなる一歩でもある。

今回のアップデートは、Twitterが新たに掲げる、同プラットフォームで行われる会話をより健全なものにするというコミットメントの一環だ。またそれは、2016年米国大統領選挙へのロシアの干渉の結果生じた、規制当局からのプレッシャーの高まりや、一般消費財メーカー大手のユニリーバ(Unilever)で最高マーケティング責任者(CMO)を務めるキース・ウィード氏をはじめとして、今年のカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルに出席したマーケターたちが、フェイクフォロワーやボットなど、インフルエンサーマーケティングで横行している詐欺行為を声高に非難したことを受けてのものでもある。


Lou Paskalis ✔ @LouPas
これこそ我々が、@Twitterをはじめとするプラットフォームとキース・ウィード氏のようなソートリーダーや変革者に求めているリーダーシップだ。マーケターはクリーンで明るいエコシステムに対する期待をはっきりと表明し、盲目的な投資をやめるべきだ!

Keith Weed ✔ @keithweed
@twitterが、デジタルエコシステムを汚染するフェイクフォロワーに大鉈を振るってくれたことを喜ばしく思う。業界を強化する素晴らしい前進だ。ほかのプラットフォームもこれに続いてほしい。

「ある意味マーケターの夢」

「さまざまな理由から、私はこの結果を待ち望んでいた。多くのフォロワーを失うのか? とてつもない数を? たしかにそうだ。だが、おかげで我々マーケターの仕事はやりやすくなる。我々はすでに、データクリーニングを試みて辛酸をなめているからだ」と語るのは、メディア企業フルスクリーン(Fullscreen)でエンターテインメント部門の経理担当バイスプレジデントを務めるダーネル・ブリスコ氏だ。

映画やテレビ番組、ストリーミングプラットフォームなどのキャンペーンに携わるブリスコ氏にとって、同氏のチームが会話を追跡するうえで、Twitterは「非常に大きな役割」を果たしてきたという。とはいえ、影響の正確な測定が困難な状態はかなり前から続いている。ひとつには、今年創業12周年を迎えたTwitterは、メトリクスを誇張するおそれのある休眠中のアカウントやボットネットワークの「ホーム」になっているからだ。

「これは、ある意味でマーケターの夢だ。これによって、フォロワーアカウントのようなものに対するバニティーメトリクス(虚栄心の指標)から、本当に重要なもの、意味のあるエンゲージメントやセンチメントへの継続的移行が強く促される」と、ブリスコ氏はいう。

「浄化」がもたらすもの

「バニティーメトリクス」に対するこうした強迫観念の一部は、クライアントの側に端を発していると、エージェンシーに所属するマーケターたちは言っている。この「浄化」がフラストレーションの軽減に役立ってくれるかもしれない。

「実に多くのクライアントが、オーディエンスの規模にもとづき、エンゲージメントをなぜもっと生み出せないのかをソーシャルエージェンシーに尋ね、そして驚く。このようなフォロワーには実体がなかったからだ。また、これによってブランドは、オーディエンスの獲得や認知度の向上に投資するべきであることも学べる。オーガニックコンテンツは素晴らしいが、訪問者数やフォロワーを増やしたければ、タダというわけにはいかない」と、エージェンシーのペトロールアドバタイジング(PETROL Advertising)でクリエイティブ戦略部門のディレクターを務めるジャック・アップルビー氏は語る。

もちろん、多くのマーケターは本物のオーディエンスを獲得し、それを測定しようと以前から努力していた。リロソーシャル(Lilo Social)でCEOを務めるボビー・パルミエリ氏によれば、同エージェンシーはサードパーティのツールを使って、インフルエンサーが本物のフォロワーを何人抱えているのかを見極め、当人のエンゲージメント率を追跡してから、契約するかどうかの決断を下しているという。このいわゆる「浄化」が、いずれにせよ「いいね」も「リツイート」もしない休眠アカウントを取り除くことによって、インフルエンサーのエンゲージメント率を高めるはずと同氏はいう。

「ほかのプラットフォームも」

これらのアカウントは「そもそも本物の人ではない。したがって、ブランドやインフルエンサーの実体エンゲージメントが影響を受けることはない。マーケティングというものは実際の結果にフォーカスすべきであり、この浄化がそれに役立ってくれるはずだ。認識されているオーディエンスと本当の影響のあいだには大きなギャップがあり、この浄化がこのギャップを埋めるための第一歩だと、私は思っている」と、パルミエリ氏は語った。

だが、その道のりは長い。マーケターたちは、インスタグラムがボットの一掃と不正の防止に向けて、さらに動いてくれることを期待していると話す。

「Twitterがインスタグラムに劣らず積極的になってくれたことに拍手を送りたい。ほかのソーシャルネットワークも彼らに続いてもらいたい。マーケターがデータに対する理解を深め、広告バイヤーが偽のインプレッションを鵜呑みにしないようになれば、キャンペーンの効果を高められるはずだ」と、ブリスコ氏は語った。

Kerry Flynn (原文 / 訳:ガリレオ)