Twitch 、「保証型」のプログラマティック広告取引を拡大

Twitchをいまだにビデオゲーマー用とみなしている広告主もいるかもしれない。だがTwitchは最近、広告主にとってより魅力的なプラットフォームに変わるべく、親会社Amazonとともに尽力を続けている。

少なくとも2018年度の初頭以降、Twitchは同社のデスクトップ動画インベントリー(在庫)について、プログラマティックギャランディード(保証型プログラマティック取引)を積極的に売り込んでいると、この件に詳しいあるエージェンシー幹部は言う。Twitchは広告主に対し、相当数のインプレッションを約束する代わりに、1キャンペーンあたり最低5万ドル(約560万円)の出費を求めていると、この件をよく知るエージェンシー3社の幹部も語る。

こうした積極的な姿勢からうかがえるのは、広告主の見方を絶対に変えられるというTwitchの自信だ。実際、この動きはきわめて重要な意味を持つ。Twitchはこの10月にTwitch Primeサブスクライバーへの広告非表示オプション廃止を予定しており、それに伴い、より多くのインベントリーを広告主に提供するようになることが考えられるからだ。

この件に関して、Twitchの広報に質問を送ったが、返事はなかった。

すでにゲーム専用ではない

「試験的に組んだ当初の予算以上の利益を出そうとしているいま、彼らとしては広告主の最低限の期待に沿う、もしくは期待値に届かせる努力をする必要が出てきたのだろう」と、広告エージェンシー、アイクロッシング(iCrossing)のチーフメディアオフィサー、ジェフ・ラトナー氏は言う。

ブルームバーグ(Bloomberg)によると、Twitchは10億ドル(約1130億円)の広告売上を目標に掲げており、広告オプションを増やしている。広告主は自らの一存で、プライベートマーケットプレイスにおいて、あるいはギャランティードベースで、もしくはより広範囲におよぶAmazonの広告購入に組み入れる形で、Twitchのインベントリーをプログラマティックに購入できる。また、Twitchにおけるターゲットオーディエンスへのリーチを確実なものにするため、データ管理プラットフォームのクラックス(Krux)を介して自身およびサードパーティデータを利用することもできる。さらに、サードパーティアドサーバー、ニールセン(Nielsen)のデジタル広告視聴率、ビューアビリティ(可視性)計測ツールのモート(Moat)を利用し、自社広告のパフォーマンスを独自にトラッキングすることもできる。

Twitchはすでにゲーム専用というイメージを払拭しており、広告主は現在、同プラットフォームを18~34歳の男女オーディエンスにリーチできる場と見ていると、広告エージェンシーであるマインドシェア(Mindshare)のデジタル投資部門マネージングディレクター、フランク・プーマ氏は言う。Twitchは実際、ここを目標に自社のオーディエンスを形成してきた。広告主はプライベートマーケットプレイスでプレロール広告を購入でき、年齢、性別、ジャンルという標準的オプションの選択や、セールスフォース(Salesforce)が買収したデータ管理プラットフォームのクラックスを利用した行動ターゲティングにより、目指すターゲット層にリーチすることができる。

強力なパートナーシップ

「クラックスとのパートナーシップを通じてオーディエンスのセグメンテーションができるという事実は、すでにクラックスをDMPとして利用している広告主に対する大きなアピールになるだけでなく、適切なユーザーを確実にターゲティングしているという、より大きな安心感にもなる」と、マーケティングエージェンシー、デジタス(Digitas)のプログラマティック部門アソシエイトディレクター、ロン・ガルシア氏は言う。

ターゲットを絞れば絞るほど、その広告がリーチできる人数は減る――これは広告主への営業に付いて回る潜在的問題であり、しかも、Twitchが発表しているデイリーオーディエンスは1500万人。Facebook、YouTube、Twitter、Snapchat(スナップチャット)と比べて、DAUはもともとかなり少ないため、問題はより深刻となる。

ここで登場するのがAmazonだ。AmazonはTwitchのインベントリーと自社が管理所有する他のインベントリーをひとつにまとめており、自身の出した広告がTwitch上でどのようなパフォーマンスをしているのか、広告主がキャンペーンレポートで見られるようにしている。

「たとえば、あなたがCPG[広告主]やすでにAmazonで積極的に広告を打っていて、幅広いオーディエンスを獲得している者なら、Twitchを試しやすい。すべての購入が全体のコミットメントに計上されるわけだから」と、プーマ氏は言う。

残されたほかの課題

Twitchにはほかにも課題がある。自社の動画インベントリーをすべては管理していないのもそのひとつだ。Twitchで配信されるeスポーツイベントの場合、大抵はゲームメーカーとeスポーツリーグがCM放送時間を管理し、収益をTwitchと折半すると、プーマ氏は言う。さらに、Twitchでストリーミング配信する個人クリエイターは、自身のチャンネル上の広告を非表示にできる。もっとも、これらの問題はまだ表面化しておらず、Twitchが広告主に対し、契約時に約束したインプレッション数に届かない旨を伝えざるをえない事態には至っていない。

Twitchは先手を打ち、この問題に積極的に取り組んでいる。広告非表示オプションの廃止により、これを実施する来月以降、インベントリーの数は一気に増えるだろうし、インベントリーをどの程度売る必要があるのかの予測もより楽に立てられるようになるだろう。

プーマ氏いわく、「だからこそ、誰の目にも明らかなように、彼らはプログラマティックとPMPにますます積極的になっているんだと思う。実際のところ、すでに存在している、つまり市場に出して売れるとわかっているインベントリーを保証しているわけだから」。

Tim Peterson(原文 / 訳:SI Japan)