[ DIGIDAY+ 限定記事 ]「概観&能力(Overview & Capabilities)」というタイトルの2018年4月のTwitch(ツイッチ)の媒体資料は、エンゲージメントとブランドが関われる方法についての調査で、ゲーマーコミュニティを売り込んでいる。米DIGIDAYは、この媒体資料を米国の広告エージェンシーから入手した。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]Amazonが2014年に「Twitch(ツイッチ)」を買収してから約1年後、提携しているあるパブリッシャーは、同プラットフォームが「非常に刺激的だ」と、米DIGIDAYに語った。Twitchがゲームに注力し、パブリッシャーや広告主をエンゲージメントが高い若い男性のオーディエンスに結びつけることができるのが魅力的だった。それから4年後、広告フォーマットが増えた以外に、Twitchのセールスポイントにあまり変化はなかった。
「概観&能力(Overview & Capabilities)」というタイトルの2018年4月のTwitchの媒体資料は、エンゲージメントとブランドが関われる方法についての調査で、ゲーマーコミュニティを売り込んでいる。米DIGIDAYは、この媒体資料とともに、2018年10月のTwitchのオーディエンスに関する別の資料を米国の広告エージェンシーから入手した。
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ライブ配信プラットフォームであるTwitchは、エンゲージメントが高いオーディエンスを売り込んでいる。2018年12月の時点で、1日あたりの訪問者数は平均で1500万人を超え、1カ月あたりのユニークストリーマー(Twitchで動画を配信するユーザー)数は300万以上だ、とTwitchの広報担当者は述べている。また、いつでも100万人以上がTwitchを視聴し、2018年10月時点で、50万人近くのストリーマーがTwitchでライブ配信していると付け加えた。2018年のTwitchでの視聴時間が5050億分だったという報告も行っている。
若いオーディエンス全体に
次のスライドには、Twitchのオーディエンスは男性が86%、女性が14%と記載されている。Twitchのウェブサイトには現在、Twitchユーザーの81.5%が男性だと書かれている。ユーザーの55%が18~34歳というデータは、資料もウェブサイトも一致している。Twitchの広報担当者は、ウェブサイトのデータが入手できる最新のものだと認めた。
約3年前にTwitchと協働をはじめるようにWPPグループ傘下のエージェンシー、マインドシェア(Mindshare)を最初に動かしたのが、そうしたミレニアル世代の男性のオーディエンスだ、とニューヨークに拠点を置くマインドシェアのマネージングディレクターで、デジタル投資担当責任者を務めるフランク・ピューマ氏は語る。だが、ユーザー属性は変化してきたと同氏は述べている。
「これまで、Twitchで広告する主なメリットは、比較的若い男性のオーディエンスにリーチできることだった。マーケターにとって、リニアTVのようなほかの分野でそのようなオーディエンスを見つけるのは難しい。とはいえ、Twitchのオーディエンスに関するユーザー属性は、女性の増加にシフトしはじめている。なので、現時点では、18~34歳の若いオーディエンス全体にリーチするようになってきており、男性だけではないと言ってもよいだろう」と、ピューマ氏は指摘する。
広告購入は直接やり取り
Twitchにはまだセルフサービスのシステムがない。Twitchは、セルフサービスのプラットフォームよりも優先順位が高いほかの構想にもっと力を注いでいるが、将来もそうしたプラットフォームを立ち上げないというわけではないと、広報担当者は述べている。
広告主は、ダイレクトセールスやプログラマティックバイイングのために、Twitchの営業チームと直接やり取りしなければならない。あるいは、同プラットフォームでインフルエンサーを管理するエージェンシーと提携するかだ。アーダー(Ader)は、インフルエンサーとのインテグレーションを提供しているそうしたエージェンシーのひとつだ。
「すべての人材をESPNやFOXスポーツ(Fox Sports)、NBCのミニバージョンと見なしている。我々は、ブランドがオーバーレイやカスタムブランディングに注目して適用するのに慣れているモデルを採用したので、ブランドは従来のやり方で行動できた。ブランドと話すときには、我々が人材だけでなくチャンネルも育てていることの方が、もっと意味がある」と、アーダーの最高売上責任者を務めるアンドリュー・テムキン氏は語る。
ブランドセーフティの懸念
Twitchのオーディエンスとエンゲージメントは信頼されているものの、ユーザー生成コンテンツに焦点を合わせていることを考えると、Twitchにはブランドセーフティの面で懸念がある、と広告主は指摘した。元従業員が米DIGIDAYに語ったところでは、Twitchには「ブランドセーフティ用のフィルタリングや検知」がないという。
「ユーザー生成コンテンツに対する広告については、固有のリスクが常にあるだろう。Twitchではすべて、ライブで作成されてから再配信される。どこで納得してリスクを負うか、ユーザー生成コンテンツに対して広告を流す基準は何か、決めなくてはならない」とマインドシェアのピューマ氏は指摘する。
広告枠については、Twitchは動画広告とディスプレイ広告、イベントや番組を通じたスポンサー契約を提供している。インフルエンサーとのカスタムな統合やほかのブランデッドコンテンツの機会も提供している。
広告主によれば、広告はCPMが平均約30ドルで、料金がかなり高い場合もあるという。
広告案件の実例
マインドシェアは最近、スナック菓子ブランドの顧客向けのカスタムインフルエンサープログラムにおいてTwitchと協働し、ストリームに商品を直接組み込むために、Twitchのインフルエンサー3人と提携した。ピューマ氏によると、ユーザーの86%がスナック菓子を食べながらTwitchを視聴したりビデオゲームをしているというTwitchの洞察も、動機のひとつだったという。下のスライドからわかるように、87%のユーザーがゲーム中や配信中に飲み物を飲んでいるとTwitchは説明している。
Twitchは、ブランドのオーディエンスと合致するオーディエンス構成など、特定の基準に基づいて3つに絞られたインフルエンサーオプションのリストを使って、マインドシェアにプレゼンを行った。
最新のオーディエンス像
2018年10月のこの資料では、さまざまなオーディエンスのタイプを説明している。たとえば、「エンターテインメントジャンキー」はゲームや大衆文化、アニメに興味があり、Twitchのオーディエンス全体の28%を占めている。
だが、Twitterでは、ブランドがオーディエンスに基づいてターゲティングを行うことはあまりできない。コンテクスチュアルターゲティングソリューションを提供していると、Twitchの広報担当者は述べている。
「外部の買い手だと、オーディエンスについてのそうした情報があまりない。アーダーと提携している場合は、特定の作成者と協力していて、オーディエンスの出身地や性別、視聴時間がこちらでわかるので、我々はオーディエンスに関する一部のデータを提供する。だが、Twitchは、肝心なユーザー属性データを提供してくれない」と、アーダーのCEOであるジャスティン・ウォーデン氏は語る。
独自調査によるインサイトも
Twitchは、飲料に関する下記の調査など、独自調査に基づいたオーディエンスに関する洞察も提供している。
Kerry Flynn(原文 / 訳:ガリレオ)