「もはやポンコツ」:年末セール目前に、FB広告ツールへ不安を抱くバイヤーたち

広告バイヤーたちがFacebookの広告管理ツールに(またも)不満を募らせている。

理由はさまざまだ。キャンペーンの設定中にいくつものエラーメッセージが出る、広告(特にダイナミッククリエイティブ)の承認時間が長すぎる、レポートの数字に一貫性がない、などなど。これらトラブルのせいで、エージェンシー関係者の証言によると、クライアントによっては、広告費の投資利益(ROI)が1.5倍減またはそれ以上に目減りした。Facebookの「広告マネージャー」はここ1年、さまざまな問題を引き起こしてきたが、直近の2~3ヶ月は特にひどいと広告バイヤーたちは口をそろえる。それでも彼らはブラックフライデーとサイバーマンデーで損失分の埋め合わせがつくだろうと、不安がりながらも期待を寄せる。

広告バイヤーたちにはトラブルの原因がいまひとつ分からない。というのも、Facebookが問題の原因について説明する通知を出していないからだ。また、エージェンシーの関係者らによれば、Facebookはここ数カ月のあいだに、フリークエンシーを増やしたと思われるのだが、その理由についても説明がないという。Facebookの広告マネージャーは過去にはもっと大きな問題も起こしている。だがバイヤーたちによると、最近数カ月は過去にもまして難しい状況という。おかげでバイヤーたちは(eコマースや直販ブランドのクライアントを抱えているものは特に)、以前よりも頻々と起こるFacebookプラットフォームの障害や不具合について、自分たちなりの理屈を考え出さざるをえない。

Facebookはコメントの求めにすぐには応じなかった。

「もはやポンコツだ」

「Facebookはプラットフォームに大型のアップデートを実施しているのではないか、というのが衆目の一致するところだ」と、ホームステッドストゥーディオ(Homestead Studio)を設立したザック・スタック最高経営責任者(CEO)は言っている。同社はクライアントの広告費、毎月50万ドル(約5430万円)から75万ドル(約8150万円)を広告マネージャーで運用するエージェンシーだ。「Facebook側の模索が続くかぎり、こちらはこちらで対応するしかない。広告プラットフォームで大型のアップデートをやっていて、我々が遭遇しているエラーの大半はおそらくそのせいだろう、というのが我々の見立てだ」。

ギル・ディビッド氏はアイルランドでeコマース分野のクライアントにサービスを提供するFacebook広告のスペシャリストだが、氏によると、広告マネージャーにおけるクライアントの実績を経年比較してみたところ、前年同期比30%ダウンというケースを含め、著しい下落が見られたという。「年間を通じて常に障害が発生し、機能停止も恒常化している」と、ディビッド氏は明かす。「広告マネージャーのバックエンドで多くの変更が行われたが、それもトラブルの一因だろう」。

「システムにマイナーチェンジが行われるたび、障害や遅延が起こり、クライアントのアカウントにも不可思議な現象が生じる」と、メトリックデジタル(Metric Digital)のケビン・シモンソン最高経営責任者(CEO)は言う。「Facebookのツールは本質的に不完全だ。壊れるべくして壊れる。これを裏付けるデータはないが、証言ならいくらでもある。そしておそらく、障害の頻度は増えている」。

「不可思議な現象」の一例として、シモンソン氏は「手動入札戦略の設定が機能しなくなる」点を挙げる。「たとえば、入札価格が75ドル(約8150円)を超えたら予算投下をストップするように、手動入札戦略を設定したとする。夜寝て、朝起きる。すると75ドルをはるかに超えた、法外な大金が使われていたりする。ちょっと待て。そんな設定した覚えはないぞ。それでも説明は必要だ。そうなるように設定したとして、一睡もしないで15分おきにブラウザをリフレッシュしていたというのだろうか? ありえない」。

「何をやってもコンスタントにエラーメッセージが出る。しかも、広告セットを複製するとか、広告内のテキストを調整するとか、そんなシンプルな操作でエラーメッセージが出る。広告を全部作りなおした途端、今度は全部削除される」と、スタック氏は嘆く。「もはやポンコツだ」。

長引く審査に要する時間

Facebookの広告マネージャーの運用を難しくしている最大の問題のひとつとして、バイヤーたちは広告の審査に要する時間が長引いていることを挙げる。ダイナミッククリエイティブはFacebookが最近導入した比較的新しい機能だが、このタイプのクリエイティブは待ち時間が特に長いという。「ダイナミッククリエイティブの承認には通常の広告よりずっと長い時間がかかるが、その理由は分からない」と、ディビッド氏は言っている。

このほかにも、レポートの遅延や、キャンペーンレベルと広告セットレベルでレポート内容が一貫しないなどの問題もある。バイヤーにとっては、アカウントの概要を閲覧したり、クライアントのアカウントを最適化したりするのが難しくなることもある、とスタック氏は言う。さらにもうひとつの問題としてスタック氏が指摘するのは、本来表示されるはずの広告の投稿IDが表示されないことだ。投稿IDがないと、複数のキャンペーンで広告を使用する際、複数のアカウントをまたいで広告を複製したり、これらの広告に(いいね、シェア、コメントなどの)ソーシャルプルーフを残すのが難しくなるという。

これらの問題がブラックフライデーとサイバーマンデーの直前に起きていることも、広告バイヤーたちを不安にさせている。昨年、プラットフォームの障害が感謝祭前の火曜日に発生し、16時間近くも続いたことを考えればなおさらだ。バイヤーたちはFacebookプラットフォームの活用は継続すると言いながらも、一部にはSnapchat(スナップチャット)、ピンタレスト(Pinterest)、TikTok(ティックトック)など、Facebookに代わる出稿先に注目する向きもある。彼らはこちらでの広告費を増やし、Facebookでのパフォーマンス不足を補おうとするかもしれない。

「いまのところ、誰もが同じことを話している。皆がグループチャットに集まって、トラフィックの買付ができる、掛け値なしに優良で、多少なりともスケーラブルな供給元はないものかと思案している」。こう打ち明けるのは、自身もD2Cブランドで代替の投資先を探すニック・シャルマ氏だ。「何かと難しい時期だ。誰にも具体的な数値目標があり、何かしらの解決策を見いださなければならない。皆、第4四半期後には事態は落ち着くものと期待している」。

バイヤーはCVRの低さも懸念

一方、現在、プラットフォームで起きている数々の問題、特にコンバージョン率の低さに関しては、ブラックフライデーとサイバーマンデーを理由に挙げる人々もいる。大型セールを目前にして、誰も買い物などしないだろうというわけだ。さらに、ブラックフライデーは11月末、サイバーマンデーは12月に入ってからと、両休日ともに例年より遅いことも、クライアントに予算処理の問題を生じている。

「ブラックフライデーとサイバーマンデー前のこの時期はいつも厳しい。近いうちにあれこれ買い物することが分かっているのだから、行動学的に見ても、誰もがこの時期の買い物は控えるだろう」とシモンソン氏は指摘する。「対前年比のデータを見ると、毎年、この考えの正しさが分かる。年間または第4四半期の業績が良いブランドの、昨年と今年のデータを比べても、同様の傾向が見られる」。

それでも、一部のバイヤーたちは、問題が1年を通して起きていることを考えれば、原因が単に売上が持ち直すまでの消費者の買い控えだけとは思えないと言っている。そして影響はFacebookプラットフォームだけでなく、インスタグラム(Instagram)にも及んでいるというバイヤーもいる。Facebookの広告マネージャーは両方のプラットフォームの広告運用に使われているからだ。「インスタグラムのほうが成績が良いということはない」と、ディビッド氏も述べている。

あるバイヤーは、Facebookは停滞期に入っただけで、昨今の問題はユーザーのFacebook離れの結果にすぎないと考えている。「Facebookの不安定さはユーザーの離脱が原因だと私は思う。そして誰もが、これほど大きな問題に、見て見ぬふりを決めこんでいる」とこのバイヤーは言う。「広告がろくでもないのはそのせいだ。広告を見る人がいない。ユーザーがこのプラットフォームを去りつつあるのだ」。

Kristina Monllos(原文 / 訳:英じゅんこ)