「いまだにテレビマネーだ」:TVとデジタルのアドバイヤーの告白

デジタル動画が、昔ながらのテレビから大金をまきあげている。だが、それは必ずしもテレビ企業から得ているわけではないようだ。

匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらう告白シリーズ。今回は、テレビ、デジタル双方で広告を購入するエージェンシー幹部に、デジタル広告への予算投資の現状や、広告主がYouTube上でのブランドセーフティに対する危機感を抱いているかなどについて話を聞いた。

以下が簡明にまとめたその抜粋だ。

――2018年のニューフロンツ(NewFronts)とテレビのアップフロントの交渉サイクルに対する所見は?

昔ながらのテレビのアップフロントを見る限り、NBC、ABC、CBSなどの古株、さらにケーブルテレビのネットワークでもデジタルへの投資が増えている。全体的に見て、プレイヤーがデジタル専門にシフトしているとは思わない。いまだに「テレビマネー」が第一だ。

――テレビ企業に費やされたデジタルの広告予算は、テレビマネーとして回りまわって、結局同じ企業に戻ってきていると?

大部分は、デジタルに移行しつつあるテレビの金だ。仮に2017年にテレビに100ドルを費やしたとするなら、2018年も100ドルを使うだろうが、そのうちの95ドルはテレビに、残りの5ドルがデジタルに充てられるだろう。そして現在は、テクノロジーもトラフィックの計測システムもあるので、画面越しにシームレスにメッセージを伝えられる。これこそが、昔ながらのテレビでデジタルの要素が成長している要因だ。

――昔ながらのテレビのデジタル面の成長は、デジタル企業にとっては痛手になっているのか?

いや、それはまた別の話だ。たとえば、グーグル・プリファード(Google Preferred)やYouTubeへの予算をNBCに回す、ということはないだろう。デジタル専門のプレイヤーにも、予算をさらに増やすチャンスはある。

――Google/YouTube、Hulu(フールー)、ロク(Roku)の3社がテレビのアップフロントの交渉に乗り出しているとのことだが、その背景にあるものは?

インベントリの品質だ。スケールできるインベントリ、固有のオーディエンスとクオリティの高いコンテンツがあり、しかも可視性が高い。他にいい表現が見当たらないが……、テレビと同じ感覚だ。

――YouTubeのブランドセーフティ問題は、2018年のニューフロンツの取引に影響を与えたか?

新たな議論が生まれることがあったとしても、損失につながったとは必ずしも言えないだろう。2017年に感じていた、「Googleだからまったく問題ない」という感覚はもうない。いまは、もう一歩先を見据えなければならないのかもしれない。

――2018年、このブランドセーフティ問題に乗じて取引の際のセールスポイントとしていたそのほかのアップフロントやニューフロンツのプレゼンターについては? 取引には変化があったか?

これは多くのプレゼンテーションの場で、常に話題となっていた。主要なパブリッシャーとそのパートナー間で、ブランドセーフティの敷居は非常に高くなった。私から見ると、状況はどこもそう大きく変わっていない。

――HuluやYouTubeが提供しているテレビ生放送サービスの現況は? いまも彼らに相当な額の投資が行われているか?

まだまだこれからだろう。YouTube TVが欲しいと思ったら、それをグーグル・プリファードの一部として購入することはできるが、規約も広範囲に渡るざっくりとしたものだ。YouTubeもHuluも、商品としては直接的には販売していなかった。どちらもスケールとしては超巨大というわけではないし、ユーザーを特定し、1対1のターゲティングを行うことができるようになるべきだということを見ても、今後はより多くの実験が行われるだろうし、ポスト・アップフロントの理解も深まっていくだろう。2019年の市場には大きな影響を与えることになると考えている。

Tim Peterson(原文 / 訳:Conyac