BuzzFeedで1万2000人のフォロワーを抱えるベン・カウフマン氏が8月19日、フォーチュンクッキーから出てきたキャピタル・ワン(Capital One)の広告を取り上げた。キャピタルワンは、米国内の中華料理屋5000店で合計1000万個のフォーチュンクッキーに広告を掲載しているという。
ショーン・ポラット氏の夢がかなったとき、世の中のフォーチュンクッキーすべてに広告が入るようになる。
スタートアップのオープンフォーチュン(OpenFortune)を設立したポラット氏は、同社の「最高フォーチュン責任者」を務めている。同氏は8年かけて同社を育て上げてきた。
オープンフォーチュンは、クッキー工場や中華料理屋のサプライチェーンにおける物流を主な事業としている。フォーチュンクッキーのなかの紙片に広告を掲載しているのだ。
Advertisement
BuzzFeedで話題に
ポラット氏がはじめて大きな注目を浴びたのは8月19日。BuzzFeedで1万2000人のフォロワーを抱えるベン・カウフマン氏が、フォーチュンクッキーから出てきたキャピタル・ワン(Capital One)の広告を取り上げた。
Ad blockers ain’t got nothing on the nyc take out market. pic.twitter.com/Q6WUnu5qTX
— Ben Kaufman (@benkaufman) 2018年8月19日
Ben Kaufman @benkaufman
ニューヨークのテイクアウトにはアドブロッカーは効かないみたいだね。
キャピタルワンは、アメリカ国内の中華料理屋5000店で合計1000万個のフォーチュンクッキーに広告を掲載した。オープンフォーチュンポラット氏によると、オープンフォーチュンはすでに2019年度の月間キャンペーンの半分を売りさばいたという。
同氏は今後のキャンペーンの具体的な企業名については機密保持のため明かさなかった。だが、参加企業の分野としては消費財や出会い系、自動車製造、ワイヤレス、ファイナンシャルサービス、テック系、旅行などとなっているという。
ソーシャル拡散が狙い
フォーチュンクッキー広告について、クリエイティブだし今後さらに増えていくだろうと考えるメディアバイヤーもいる一方で、高価で追跡もできない、と欠点を指摘する向きもある。この指摘について、ポラット氏との共同創設者で「最高クッキー責任者」を務めるマット・ウィリアムズ氏は、そう考える企業は参加しなくても良いと語る。ROIについて、ポラット氏とウィリアムズ氏は、フォーチュンクッキーのなかの広告と、ソーシャルメディアの投稿から価値を証明していきたいとしている。
カウフマン氏の人気となったツイート以外にも、インスタグラムには#fortunecookieのハッシュタグがつけられた投稿が120万件以上も存在する。
「当社は、繁盛や思いやり、成長、幸運といった要素を大切にしている。だから(フォーチュンクッキーとして)誠実な商品を作り続けるよう努力を続けている。ラッキーナンバーも占いも記載しているし、ブランドと協力して見る人の心に訴えるような商品を作っている。無理があると思うような企業には営業していない」と、ウィリアムズ氏。
企画から実施まで
フォーチュンクッキーに入れる広告を売るというアイデアは、2010年にポラット氏が発案した。思いついたのはブルックリンのチャイナケトル(China Kettle)という中華料理屋で夕食をとっていたときだという。当時は中華料理で広告を出したいと考えるブランドは見つからなかったが、ブランド製のフォーチュンクッキーに興味を示す企業はあったという。
これを受けて、ポラット氏はTJマックス(TJ Maxx)やセールスフォース(Salesforce)、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)と提携して宣伝用のクッキーを販売した。それを経て2014年に、ミズーリ・ロッタリー(Missouri Lottery)ともともとのコンセプト通りのクッキーを作るようになる。
オープンフォーチュンは、フォーチュンクッキーアドバタイジング(Fortune Cookie Advertising)という企業名だった頃から、中華料理屋でフォーチュンクッキーに広告を入れるというアイデアを持ち続けてきた。いまや同社はアメリカ国内にある中華料理屋4万4000店のうち半分と提携しており、これは電話営業によるものが大きいという。
「ノンフィクションのテレビ番組にしたら、きっと良かったと思うよ。レストランに電話をかけて、『注文は何ですか?』と聞かれているのに、『タダでクッキーをあげます』と答えるんだ」と、ポラット氏は振り返る。
ポラット氏にとっての夢
紙片の広告については、同社はフロリダや北カリフォルニア、カリフォルニアの印刷会社と提携して作っている。クッキーを食べても健康に害がないように、インクには大豆ベースのものが使われている。また、従来のような白い紙に黒いフォントでの印刷ではなく、複数色で印刷されている。そして包み紙とクッキーが作られているのはシカゴとニューヨークだ。
いまや長年の経験と物流のノウハウの蓄積から、クッキーひとつの制作費は、たったの10セントにまで押し下げられている。さらにこの制作費は発注量をはじめとする要素で変動するため、アメリカ全土に展開するような大規模キャンペーンであれば1セントに抑えることすら可能だという。
ブランドのなかには、地下鉄をはじめとする屋外広告からROIと追跡のためのヒントを得ている企業もある。ウィリアム氏は、ラッキーナンバーをブランドのウェブサイトで入力すると、何かが当たるような仕組みにすることもできると提案している。マクドナルドのモノポリーのように、「ゲーム化」した体験を提供するわけだ。
ポラット氏にとっての夢、それは「すべてのフォーチュンクッキーに広告が載るようにすること」だ。
Kerry Flynn(原文 / 訳:SI Japan)