インスタ「ストーリー」に期待を賭ける、Facebookの思惑: ニュースフィード が頭打ちの影で

Facebookがブランド広告主とともにギアチェンジをしつつある。これまでの数年間、広告販売にニュースフィードを利用してきたが、インスタグラム(Instagram)を利用する計画にシフトしているようだ。

ブランドのマーケターが抱いていた「ニュースフィードを広告媒体として利用しよう」という考えは冷めてしまった。なぜなら、マーケターはニュースフィードを質の低いダイレクトレスポンス広告を配信する場所に過ぎないと見ているからだと、本記事のためにインタビューを受けた4人の広告購入者は言った。

「ブランドがニュースフィードのために予算を出す仕組みを構築できなかったため、Facebookは同社の強みであるパフォーマンスに倍賭けを続けている」と、Facebookの反感を買うことを恐れて匿名を条件に語った、別の広告購入者は言う。「ソーシャルネットワークがブランドの認知度を上げられることの証明に成功したブランド指標調査は存在したが、その後、サードパーティ製の指標がソーシャルネットワーク上のプラットフォームに登場し、ブランドはその指標によって広告の効果をより詳しく把握できるようになった」。

ニュースフィードの当初の売りはリーチドリブンであることだったが、やがてブランド広告主は、ニュースフィードに「ブランドセーフな」環境が確保されているのか、もしくは、広告が実際に閲覧されているのかについて、ますます疑念を募らせるようになった。また、ユーザーはFacebookよりインスタグラムを好むようになりつつある。これは、マークル(Merkle)の調査で、インスタグラムという写真共有アプリにおける広告支出の増加が、1年前に比べて今年の第2四半期においてFacebookの(40%)の4倍(177%)となったことからもわかる。

Facebookの市場価値は先月、1200億ドル(約13兆円)下落した。成長が緩慢になる可能性があるという発表とともに伝えられたが、これは史上最大の企業価値の下落だ。ニュースフィードに広告を出す場所がなくなってきたなかで、同社は成長の土壌としてインスタグラムに期待を寄せている。

計画の微調整

このような状況下において、Facebookは自社の計画を微調整していると、幹部は言う。Facebookのニュースフィードはパフォーマンスを重視する広告主に向けて販売されている。インスタグラムは、短編動画であるストーリー(Stories)を使用したブランド構築に役立つ。そして、Messenger(メッセンジャー)は、顧客関係管理に関心のあるブランド向けだ。

Facebookは3つの形式のなかで、ストーリーが今後大きな収益源となると見ていると、広告購入者は言う。インスタグラムによると、2年前にサービスを開始したストーリーは現在、1日あたり4億人のアクティブユーザーによって使用され、このユーザー数はライバル企業であるSnapchat(スナップチャット)の2倍ということだ。しかし、バーティカル(タテ型)動画は依然として、比較的新しいものであり、その需要はまだ小さい。

素晴らしいストーリーを制作してもらうために、ブランドは各々のインフルエンサーに資金を支払っている。なぜなら、その方が制作やメディアに要する費用が少なくて済むからであり、あるいはコンテンツがインスタグラムに適したものになっているか不安だからだと、メディアエージェンシーのトータルメディア(Total Media)の常務、トム・ラランジョ氏は言う。

「インスタグラムは依然として、非常に高品質なコンテンツプロバイダーであると考えられており、大半のブランドは同プラットフォーム上の高品質なコンテンツに見合うものを提供できる確信がない」と、ラランジョ氏は続ける。「また、同プラットフォームには偽の広告がたくさんあるようだ。そのため、ブランドはこのプラットフォームの安全性に明らかな懸念を抱いている」。

それらの懸念があるにも関わらず、ブランド広告主が長く蚊帳の外に置いておくことができたのは、インスタグラムのバーティカル動画だけだ。

顧客数は少なくても、エンゲージメントが大きなインスタグラム

今年初旬、Facebookはブランドのコンテンツよりもユーザーインタラクションを優先するようにシフトしたことから、ニュースフィードのエンゲージメントが急降下した。インスタグラムのオーディエンスは少ないが、そのエンゲージメントはFacebookの3倍高い模様であり、オーディエンスへリーチする場合もより安価だと、広告購入者は言う。

ストーリーのCPMは、Facebookのニュースフィード広告よりも4倍から5倍安いと、ジェリーフィッシュ(Jellyfish)でソーシャルメディアを担当するグローバル統括者、グレッグ・アラム氏は語る。マーケティングソフトウェア企業であるケンシュー(Kenshoo)のクライアント企業は、第2四半期におけるインスタグラムストーリーの広告閲覧1000回あたりの平均価格は、Facebookの平均広告価格5.34ドルに対して4.70ドルであったという。

Facebookは、イギリスのクリエイティブエージェンシーと、より多くの時間を作業に費やしており、広告主の一部がストーリーの機能を試すようになった。

「Facebookは、インスタグラムのストーリーに向け広告チームの強化に重点を置いている。それはつまり、インフルエンサーとの協働を強化するということだ」と、グレイ(Grey)の新興技術担当ディレクター、サム・ギブズ氏は言う。「インスタグラムのストーリーの広告チームを強化できれば、メディアの予算はあとからついてくる」。

また、エージェンシーの幹部は、今年末までにIGTVに関する広告が出るので期待していて欲しいと、連絡を受けてきた。Facebookがストーリーを利用して、テレビのための予算を拡充し、最終的にIGTVを利用したいと望んでいるのが、その理由だ。

「Facebookは、必要十分な長さを視聴される高品質の動画インベントリーをそれほどたくさん持っていないため、インスタグラムストーリーやIGTV上でバーティカル動画を配信して、この問題に取り組もうとしていることは、驚くべきことではない」と、匿名を条件にあるエージェンシーの幹部が語った。「現在、ストーリーを利用しているブランドが関心を示しているのは、(マーケティングファネルの)中間より上層のキャンペーンだ」。

Seb Joseph(原文 / 訳:Conyac