[ DIGIDAY+ 限定記事 ]米大手百貨店チェーン、JCペニー(JCPenney’)のCEOにジル・ソルタウ氏が就任して半年が経った。同氏はいま、自社の幹部チームをメイシーズ(Macy’s)などの「卒業生」で固めつつある。これが示すのは、プライシングやマーチャンダイジングの戦略を改善することが、同氏のトッププライオリティであるということだ。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]米大手百貨店チェーン、JCペニー(JCPenney’)のCEOにジル・ソルタウ氏が就任して半年が経った。同氏はいま、自社の幹部チームをメイシーズ(Macy’s)やウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)の「卒業生」で固めつつある。これが示すのは、プライシングやマーチャンダイジングのための戦略を改善することこそが、ソルタウ氏のトッププライオリティであるということだ。
JCペニーが売上の減少や多額の借金という問題に直面するなか、これら一連の雇用はソルタウ氏が業績を好転させるために描く青写真をも部分的に示している。
JCペニーは4月17日、会計主任および、ホームプロダクトデザイン・開発部門のシニアバイスプレジデントをそれぞれ新たに雇用したと発表した。また、ターゲットのマーチャンダイジンググループでエグゼクティブバイスプレジデントを務めていたトリッシュ・アダムス氏も戦略アドバイザーとしてJCペニーに合流することになっている。JCペニーのプレスリリースによれば、アダムス氏は「プライシングやプロモーション戦略の有効性と収益性を単純化して、改善する計画を評価・作成する」ことになるという(この記事の執筆に当たり、JCペニーに取材を申し入れたが、コメントは得られなかった)。
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「小売の基礎を再建する」
JCペニーの昨年の売上は7.1%落ち込んで、116億ドル(約1.3兆円)に減少した。同社は現在、約40億ドル(約4485億円)の負債を抱えている。ソルタウ氏は昨年10月、マービン・エリソン氏(現・ロウズ[Lowe’s]CEO)の後任としてJCペニーのCEOに就任した。それ以来、同氏は、自身のプライオリティは「小売の基礎を再建する」ことであると公言してきた。
プライシングの全面的な見直しを任せることを目的とした、アダムス氏の引き入れから読み取れるのは、JCペニーはターゲットからヒントを得ようとしているのかもしれないということだ。ターゲットは2017年、「価格・オファー用コールアウトの3分の2」を削除し、ひと目見て割引率がわかるようにすることで、期間限定キャンペーンを宣伝するプロモーション戦略を効率化し、より一貫性のあるプロモーションを重視することにした。
カンターコンサルティング(Kantar Consulting)のアナリストであるティファニー・ホーガン氏によれば、ターゲットの戦略を参考に、クーポンの配布を単純化すると同時に、そこに行けば、いつでもキャンペーンが行われていると顧客に確信させるのが、JCペニーにとっては得策だという。JCペニーのホームページでは4月18日現在、プライベートブランドの一部商品の最大50%オフや、イースターセール、ナイキ製品の最大25%オフ、レディース用サンダルの「バイ・ワン・ゲット・ワン」キャンペーンが展開されている。終了のタイミングは、キャンペーンごとにすべて異なっている。
JCペニーが直面する課題
JCペニーは過去5年、プライシング戦略の確立に四苦八苦してきた。理由のひとつは、息つく暇もないCEOの交代劇だ。エリソン氏の前任者であるロン・ジョンソン氏(2013年にJCペニーを退社)は、あまりにも多くのことを一度にやろうとしているとして非難の的になった。その一例がセールやクーポンの廃止だ。同氏はこれらを廃止して、JCペニーの常日頃からの低価格路線を前面に打ち出そうとしたが、そのあまりにも思い切ったやり方に顧客は困惑した。
自身にとって2度目となる今年2月の決算発表でソルタウ氏は、プロモーション戦略の単純化のほかにも、JCペニーのプライオリティを5つ掲げてみせた。過剰在庫を減らすこと、オムニチャネルケイパビリティを強化すること、ストアプロセスを設計し直し、より優れたサービスの提供につながるテックツールに投資すること、棚卸減耗を改善すること、そして「品ぞろえと戦略を再考する」ことの5つだ。
マーチャンダイジングに関していえば、ソルタウ氏が踏んだ最初のステップのひとつは、前任者のエリソン氏がはじめた、家電の販売をやめることだった。この決定は、レディースアパレルへの投資を増やすという同氏の意図を示唆してもいる。今年2月のミッシェル・ラズロ氏(ターゲットでマーチャンダイズ/アパレル/アクセサリー部門のシニアバイスプレジデントを務め、同社のプライベートブランド戦略も監督していた人物)の合流は、JCペニーがプライベートブランドへの投資を増やす可能性があることを示すシグナルだ。
アパレル事業におけるプロ
投資調査会社ジェーン・ハリ&アソシエーツ(Jane Hali & Associates)のリテールアナリスト、ジェシカ・ラミレス氏は、ターゲット以前のギャップ(Gap)やサックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)におけるラズロ氏の役割を引き合いに出しながら、「アパレル事業に精通しており、新たな手法を介した旧来のビジネスのやり方から、それにアプローチしてきた人物」と、ソルタウ氏を評する。
しかし、ソルタウ氏がこれから直面するであろう最大の課題は、同氏がJCペニーの業績を好転させられるかどうかではなく、同社が抱える莫大な借金の返済開始期限にそれが間に合うかどうかだ。「JCペニーは問題を先送りにするのではなく、もっと早くから動くべきだった」と、ラミレス氏は語った。
Anna Hensel (原文 / 訳:ガリレオ)