サービス開始から3週間あまり、短期間で驚異的なユーザー数増を記録したメタ(Meta)のThreads(スレッズ)は、最新の統計データを見るかぎり、その勢いに翳り(かげり)が見えているようだ。
テキストベースのSNSとしてメタが開発したThreadsは公開前から話題沸騰で、Twitter(正確にはX)に追いつき取って代わる存在になるのではないかと、人々の期待が高まっていた。確かに当初は、その可能性を十分に感じさせる成長ぶりだった。
登録ユーザー数、爆発的な伸びを見せるも急減速
Threadsはサービス開始後の5日間で1億ユーザー突破と、アプリ史上最速のペースで登録者数を伸ばした。新SNSに飛びついたのは消費者だけではない。マーケターもアカウントを開設し、実験的施策に着手している。ユーザー急拡大の一因はインスタグラムからの情報引継ぎによる円滑な登録プロセスで、ユーザーがインスタグラムでフォローしていた全アカウントをThreadsでもフォローできる点がプラスに働いただろう。
公開後5日間、Threadsのめざましい成長に注目が集まるなか、あるマーケターが匿名を条件に米DIGIDAYの取材に応え、世間の関心と登録の過熱状態が長く続かない可能性を示唆した。「Threadsのユーザー急増は話題性につられた感がある。それに登録がきわめて簡単だからだ」。
このマーケターの指摘は一理あるかもしれない。外部機関のデータによれば、公開から1週間を境に、ユーザー登録のペースが落ちはじめた。ちなみにメタからは、最初の情報発信以降、公式の統計データは発表されておらず、DIGIDAYのコメント要請に対する回答も現時点では得られていない。では、エンゲージメントの時間は、Twitterと比べてどうだろうか。
サービス開始から3週間あまり、短期間で驚異的なユーザー数増を記録したメタ(Meta)のThreads(スレッズ)は、最新の統計データを見るかぎり、その勢いに翳り(かげり)が見えているようだ。
テキストベースのSNSとしてメタが開発したThreadsは公開前から話題沸騰で、Twitter(正確にはX)に追いつき取って代わる存在になるのではないかと、人々の期待が高まっていた。確かに当初は、その可能性を十分に感じさせる成長ぶりだった。
登録ユーザー数、爆発的な伸びを見せるも急減速
Threadsはサービス開始後の5日間で1億ユーザー突破と、アプリ史上最速のペースで登録者数を伸ばした。新SNSに飛びついたのは消費者だけではない。マーケターもアカウントを開設し、実験的施策に着手している。ユーザー急拡大の一因はインスタグラムからの情報引継ぎによる円滑な登録プロセスで、ユーザーがインスタグラムでフォローしていた全アカウントをThreadsでもフォローできる点がプラスに働いただろう。
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公開後5日間、Threadsのめざましい成長に注目が集まるなか、あるマーケターが匿名を条件に米DIGIDAYの取材に応え、世間の関心と登録の過熱状態が長く続かない可能性を示唆した。「Threadsのユーザー急増は話題性につられた感がある。それに登録がきわめて簡単だからだ」。
このマーケターの指摘は一理あるかもしれない。外部機関のデータによれば、公開から1週間を境に、ユーザー登録のペースが落ちはじめた。ちなみにメタからは、最初の情報発信以降、公式の統計データは発表されておらず、DIGIDAYのコメント要請に対する回答も現時点では得られていない。
登録のペースだけでなくエンゲージメントも低下傾向に
いまや、Threadsのデビューとともに到来したブームが、突如として収束に向かう兆しが見えつつある。
ウェブ分析専門のシミラーウェブ(Similarweb)が公式ブログで発表したデータによると、ThreadsがAppleの「App Store」とGoogleの「Play Store」で公開された後の最初の2日間で、Twitterのトラフィックが5%減少した。おそらくこれは、Twitterに対抗しうる新SNSとしてThreadsに興味を抱いた人々による「お試しインストール」の影響もあるだろう。
シミラーウェブがAndroidデバイス上のアプリ利用状況を調べたところ、Threadsの1日あたりアクティブユーザー数(DAU)は 7月7日に4900万のピークに達したが、16日には半分以下の1890万に減少した。一方、Twitterの7月5日から16日までのDAUは平均1億830万を記録している。
また、米国内のAndroidユーザーを対象に両アプリのエンゲージメント時間を調査した結果によると、Threadsの平均エンゲージメント時間は7月7日には15.9分に達したが、それをピークに減少し、16日には5分強にまで落ち込んだ。同時期、Twitterの平均エンゲージメント時間は7日時点で24.7分だったが、16日にはわずかに伸びて25.4分を記録した。
マーケティングサービスコンサルタント会社のケプラー(Kepler)で入札製品の責任者を務めるジョナサン・ドゥスーザ・ラウト氏は、自身のSNS利用状況についてこう述べている。「以前と同じく、Twitterを毎日使い、アドテク関連の最新情報もTwitterを通じて入手している。SNSユーザーの視点からいえば、皆がこうした習慣を一夜にして変えてThreadsに乗り換えるという事態は考えにくい。Threadsが本格的に定着するかどうか見極めがつくまでは、Twitterが廃れることはないだろう」。
過度に期待が高まる時期は過ぎたか
SNSなどのプラットフォーム普及の過程では、華々しいデビューから過度に期待が高まるピーク期を経て、勢いが衰えるという流れは珍しくなく、Threadsも似たような道筋をたどりそうだ。
膨大なデータの参照により、キーワードの検索需要の推移をリアルタイムで把握できるツール「Googleトレンド(Google Trends)」の集計結果を見てみよう。集計結果は相対評価のスコアで表され、100ポイントは特定のキーワードやトピックが検索されたなかで「人気度が最高レベル」である状態を示し、50ポイントが人気度の中位となる。それによると米国では7月6日、Threadsが100ポイントを記録し、80ポイントのTwitterより検索の人気度で上回った。しかし翌7日、Threadsのスコアは67ポイントとなり、72ポイントのTwitterに抜かれた。それ以来、検索におけるThreadsの人気度スコアは下降線をたどり、15日にはわずか5ポイントにまで落ちこんだ。一方、Twitterのスコアは同日、58ポイントだった。
こうした統計データは、かならずしもThreadsの衰退を意味しない。アプリの成否を判断するには時期尚早だ。しかし、Threadsの行く手に難題が立ちはだかっているのも確かで、それはアプリの機能がごく基本的なものに限られ、ユーザーの活動を促すハッシュタグや検索など、重要な機能が備わっていないという事実によるところが大きい。
当然ながらThreadsは課題解決に向けて動いており、DIGIDAYが入手した最新マーケティング資料によれば、一部の機能強化が予定されている。
EU圏は、メタ運営の全アプリにとってオーディエンス基盤の大きい市場だ。しかし、Threadsは現在、EU圏内での使用が禁止されている。そのうち事態が打開されEU参入が可能になれば、Threadsのユーザー数とエンゲージメント率は、ともに上昇するだろう。
[原文:How the Threads hype slammed into reality, one data point at a time]
Krystal Scanlon(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)
Illustration by Ivy Liu