ゲーミングプラットフォームのRobloxは、デジタル広告のプラットフォームとしてメインストリームになろうとしている。最近発表された同社のパートナープログラムはその成功の鍵となるかもしれない。
5月のカンヌライオンズ(Cannes Lions)で発表された同社初のパートナープログラムを通して、センチュリーゲームズ(Century Games)、電通、デュービット(Dubit)、ソーホース(Sawhorse)、プレイワイヤー(Playwire)、ザ・ギャング・グループ(The Gang Group)、ヴェイナー3(Vayner3)の7社に、アーリーアダプターとしてRobloxからツールや各種データ、資料への先行アクセス権が提供される。
このパートナープログラムを監督し、構築に関わった元グローバル・ブランドパートナーシップ部門バイスプレジデントのクリスティーナ・ウートン氏は、最高パートナーシップ責任者に昇格された。前職では同氏の役割はパートナーシップの監督だったが、昇格後はそこにさらにRobloxのビジネス開発と教育部門を監督する役割も追加された。
既存の広告ビジネスモデルとは異なる「世界」
Robloxによる一連のブランドパートナーシップ活動が明らかにしているのは、Robloxは広告主である主要ブランドや彼らのマーケティング予算を獲得するべく、広告ビジネスに真剣に取り組んでいるということだ。
ウートン氏は「我々のプラットフォームで多くのトップブランドとパートナーたちがコミュニティを構築し、さまざまな画期的な形でクリエイティブに活動してきた。我々は最終的にはあらゆるブランドがRobloxに参加すると確信している」と述べた。「我々のパートナーシップ活動は、没入型広告といった新しいテクノロジーの実験を進めつつ、新しいRobloxパートナープログラムを通じてコミュニティとブランド教育を拡大していくことで、ますます加速していくだろう」。
パートナープログラムの初回参加者には、ゲーム内のクリエイタースタジオ、Web3やメタバースの領域で活動しているエージェンシー、そして電通のような大手エージェンシーグループが含まれている。Robloxはメディアプラットフォームとして、他社の広告ビジネス成功例から学んできた。ここ数年間、Snapchat、TikTokを始めとする数多くのソーシャルプラットフォームが独自の広告ビジネスを構築する動きを見せている。
Robloxの没入型メディアソリューション部門の責任者であるアシュリー・マッコラム氏は、「多くの点で、Robloxのコミュニティと広告業界は非常にかけ離れている。Robloxの開発者コミュニティはRobloxのオーディエンスに没入しており、全く新しい世界に存在している」と述べている。「多くのブランドや広告エージェンシーがそこに追いつこうとしていて、私たちは(広告主やエージェンシー側に)知識のギャップがあることを理解している」。
求められる広告主への啓蒙
実際、複数の参加企業の担当者によると、複数年にわたるRobloxとのパートナーシッププログラムは、プラットフォーム教育、リサーチと計測、製品とコンテンツのイノベーション、没入型広告の4つのビジネス目標を進めることを意図しているが、初期段階における焦点はブランドに対する「教育」にあるようだ。プログラムの参加者はより広範なRobloxのデータにアクセスできるようになると同時に、Robloxの知識を強化するためのトレーニングや教育資料を得ることになる。
電通のゲーミング部門のトップであるブレント・コーニング氏は、「私たちのクライアントのなかには、エピックゲームズ(Epic Games)とRoblox、またはマインクラフト(Minecraft)とRoblox、あるいはコール・オブ・デューティ(Call of Duty)とRobloxの違いを本当に理解していない人もいる。そのため、持つ知識には大きな差がある」と述べる。
ゲーミングプラットフォームのRobloxは、デジタル広告のプラットフォームとしてメインストリームになろうとしている。最近発表された同社のパートナープログラムはその成功の鍵となるかもしれない。
5月のカンヌライオンズ(Cannes Lions)で発表された同社初のパートナープログラムを通して、センチュリーゲームズ(Century Games)、電通、デュービット(Dubit)、ソーホース(Sawhorse)、プレイワイヤー(Playwire)、ザ・ギャング・グループ(The Gang Group)、ヴェイナー3(Vayner3)の7社に、アーリーアダプターとしてRobloxからツールや各種データ、資料への先行アクセス権が提供される。
このパートナープログラムを監督し、構築に関わった元グローバル・ブランドパートナーシップ部門バイスプレジデントのクリスティーナ・ウートン氏は、最高パートナーシップ責任者に昇格された。前職では同氏の役割はパートナーシップの監督だったが、昇格後はそこにさらにRobloxのビジネス開発と教育部門を監督する役割も追加された。
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既存の広告ビジネスモデルとは異なる「世界」
Robloxによる一連のブランドパートナーシップ活動が明らかにしているのは、Robloxは広告主である主要ブランドや彼らのマーケティング予算を獲得するべく、広告ビジネスに真剣に取り組んでいるということだ。
ウートン氏は「我々のプラットフォームで多くのトップブランドとパートナーたちがコミュニティを構築し、さまざまな画期的な形でクリエイティブに活動してきた。我々は最終的にはあらゆるブランドがRobloxに参加すると確信している」と述べた。「我々のパートナーシップ活動は、没入型広告といった新しいテクノロジーの実験を進めつつ、新しいRobloxパートナープログラムを通じてコミュニティとブランド教育を拡大していくことで、ますます加速していくだろう」。
パートナープログラムの初回参加者には、ゲーム内のクリエイタースタジオ、Web3やメタバースの領域で活動しているエージェンシー、そして電通のような大手エージェンシーグループが含まれている。Robloxはメディアプラットフォームとして、他社の広告ビジネス成功例から学んできた。ここ数年間、Snapchat、TikTokを始めとする数多くのソーシャルプラットフォームが独自の広告ビジネスを構築する動きを見せている。
Robloxの没入型メディアソリューション部門の責任者であるアシュリー・マッコラム氏は、「多くの点で、Robloxのコミュニティと広告業界は非常にかけ離れている。Robloxの開発者コミュニティはRobloxのオーディエンスに没入しており、全く新しい世界に存在している」と述べている。「多くのブランドや広告エージェンシーがそこに追いつこうとしていて、私たちは(広告主やエージェンシー側に)知識のギャップがあることを理解している」。
求められる広告主への啓蒙
実際、複数の参加企業の担当者によると、複数年にわたるRobloxとのパートナーシッププログラムは、プラットフォーム教育、リサーチと計測、製品とコンテンツのイノベーション、没入型広告の4つのビジネス目標を進めることを意図しているが、初期段階における焦点はブランドに対する「教育」にあるようだ。プログラムの参加者はより広範なRobloxのデータにアクセスできるようになると同時に、Robloxの知識を強化するためのトレーニングや教育資料を得ることになる。
電通のゲーミング部門のトップであるブレント・コーニング氏は、「私たちのクライアントのなかには、エピックゲームズ(Epic Games)とRoblox、またはマインクラフト(Minecraft)とRoblox、あるいはコール・オブ・デューティ(Call of Duty)とRobloxの違いを本当に理解していない人もいる。そのため、持つ知識には大きな差がある」と述べる。
「ゲーミングについてだけでなく、毎日6500万人が遊んでいるということが何を意味するのかについても教育する必要がある。(規模という点で)比較になるSpotifyやYouTubeを見ればわかる。これらは非常に大規模なプラットフォームだ」。
Robloxはプログラマティック広告の公式ローンチを数カ月後に計画している。このタイミングでこれらの広告主に対する啓蒙が行われているということは、パートナープログラムの目的を明確にしている。それは、マーケターから見た時の、独自の広告プラットフォームとしてのRobloxの正当性を確立することだ。
Robloxのような没入型ゲーミングプラットフォームのエンゲージメントとユーザー数は、より伝統的なメディアチャンネルに匹敵する成長を見せている。それでも広告主はやっと、小規模で実験的なイノベーション予算の投資から移行し、大規模なメディア支出を開始したばかりだ。
新たな広告が開発される瞬間となるか
プログラマティック広告のテストを行うRobloxは、他社による既存のメディアチャンネルの慣習に従っているものの、指標と広告形式に独自の要素を加えている。同社は「ポータルズ(Portals)」という、ユーザーがゲーム内の一つの体験から別の体験に移行(テレポーテーション)することを可能にするプログラマティック広告形式を開発した。この形式のパフォーマンスを測定するために独自の指標である「テレポーテーションあたりのコスト(CPT)」を導入している。
Robloxで既に構築しているエージェンシーとクリエイタースタジオの多くは、Robloxの没入型広告がいつかプリントやデジタルなどの他の主要な広告チャンネルと互角に並ぶ存在となることは必然だと考えている。そのため、パートナープログラムに今から参加することで、Robloxが成熟する中で自分たちも共に成長し成熟する方法として捉えている企業もある。
「私はかつてGoogleで働いていたが、そこで特定の広告ユニット、たとえばYouTubeのTrueViewのようなものが発明されるのを目の当たりにした。そしていま、私が没入型広告とCPTを見た時もTrueView登場のような画期的な瞬間だった」と、パートナープログラムに参加しているコンサルタント、ヴェイナー3の社長であるエイブリー・アッキネニ氏は述べている。「Robloxには『なにか』がある。Robloxのネイティブ広告形式はユーザーにとってエンゲージメントが高く、同時にブランドのコミュニティ構築のためのスペースや体験に人々を誘導するのにも役立つ」。
同社のパートナープログラムは大手エージェンシーと小さなゲーム内スタジオの両方に同じ特典を提供する。このプログラムは、ザ・ギャング・グループ(The Gang Group)のようなクリエイタースタジオを大手エージェンシーと同じレベルに位置付け、より多くのブランド取引を締結するのを助けることを目指している。「我々は彼らに広告制作の手助けをしつつ、(ゲーム内のアセットや環境の)構築は行わない、ということができる。それが我々にとって非常に大きなことだ」とザ・ギャング・グループのCEOであるマーカス・ホルムストローム氏は述べている。
しかし、小規模なスタジオがパートナープログラム拡大の唯一のターゲットというわけではない。将来的には、Robloxの没入型広告をさらに広く普及させることに興味のある、より多くのエージェンシーとスタジオを受け入れる予定だという。
「我々は大手エージェンシーから多くの関心を引きつけている」とマッコラム氏は述べている。「今言えるのはそれだけだ」。
[原文: How Roblox’s partner program is helping the platform assert its legitimacy as a marketing channel]
Alexander Lee(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)