「コネクテッドTV広告」の市場、いよいよ盛り上がり始める : インベントリーは直接購入のほうが安上がり

テレビ広告が、インターネット広告に少しずつ近づいている。だが、デジタル業界のように、メディアより広告仲介者が力を持つまでには至っていない。少なくとも、いまのところは。

コネクテッドTV広告のコスト構造

コネクテッドTV広告の世界では、複数メディアのコネクテッドTVアプリのインベントリー(在庫)をまとめて取り扱う中間業者が増えている。しかし、そうした業者から広告を購入するより、(テレビ会社を含む)メディア企業から直接購入する方が安いことを広告バイヤーは知っている。

コネクテッドTVプラットフォームのインベントリーを中間業者から購入すると、「大幅な価格プレミアム」が設定される。このような業者は、さまざまなメディアのアプリのインベントリーを確保しているRoku(ロク)やサムスン(Samsung)などのコネクテッドTVプラットフォームか、同じく複数のインベントリーソースのキャンペーンを取り扱うアドテク企業に分類されると、動画広告専門のエージェンシー、ブリス・ポイント・メディア(Bliss Point Media)でCEOを務めるショーン・オドラム氏はいう。

コネクテッドTV広告のコスト構造は、少しわかりにくいかもしれない。通常は、パブリッシャーから直接広告を購入するほうが、複数のパブリッシャーのインベントリーをパッケージ化した中間業者から購入するより高くつくからだ。だがどうやら、メディア企業が広告主との直接的な関係を維持するために、広告価格を抑えているらしい。その背景には、広告主が自社の予算をテレビやほかのデジタルチャネルからコネクテッドTVに移しはじめるなか、中間業者がインベントリーの購入オプションを増やしていることがある。

拡大するコネクテッドTV広告

2018年には、動画広告インプレッションでコネクテッドTVがモバイルのシェアを上回った。2018年第3四半期には、動画広告インプレッションの38%がコネクテッドTVからもたらされたのに対し、スマートフォンからのインプレッションのシェアは31%だったと、動画広告サービスのエクストリーム・リーチ(Extreme Reach)は報告している。同社によれば、1年前はコネクテッドTVのシェアが14%、モバイルのシェアが39%だった。

コネクテッドTVを利用する広告主が増えた理由は、インベントリーの数が増え、購入が容易になったことにあると、マレンロー・メディアパブ(MullenLowe Mediahub)で動画およびデータ関連投資担当シニアバイスプレジデントを務めるマイク・パイナー氏は指摘する。

インベントリーの増加と購入オプションの拡大は、RokuやサムスンなどのコネクテッドTVプラットフォームと、ザ・トレード・デスク(The Trade Desk)のようなアドテク企業の両方で見られる。彼らは、スケールを求める広告主に応えるために、メディアのコネクテッドTVのインベントリーを増やしているのだ。メディア自体も、コネクテッドTVで自社のオーディエンスを増やし、広告主のコネクテッドTVに対する需要の拡大に対応できるようにしている。

「数年前は、(インベントリーを)寄せ集める努力が、いまよりはるかに必要だった」と、オドラム氏はいう。

ターゲティングが予算獲得の肝

誤解のないようにいうと、いまもある程度の寄せ集め作業が必要だ。「購入オプションにはいまだに大きな違いがある。すべてのプラットフォームが独自の購入パラメータやターゲティングパラメータを使用しているのだ」と、テレビ広告の購入を手がけるタタリ(Tatari)のCEO、フィリップ・アンゲルブレシュト氏は説明する。

とはいえ、広告主がコネクテッドTVのキャンペーンを一括購入できる仕組み作りに取り組むコネクテッドTVプラットフォームやアドテク企業は増えている。「プログラマティックチャネルを通じてこのよう取引を行い、(インベントリーを)集めることができる我々の力が、(広告主の)役に立っている」と、デジタルエージェンシーのエッセンス(Essence)で北米地域のディスプレイアクティベーション担当バイスプレジデントを務めるマニー・エルナンデス氏は述べている。一方、パイナー氏はRokuとサムスンの名を挙げ、彼らはデバイスレベルでのターゲティングができるため、広告主のコネクテッドTVの予算を多く勝ち取っていると指摘した。

Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)