インフルエンサー の料金体系を変える、エージェンシーたち:偽フォロワー数を警戒して

ユニリーバ(Unilever)の最高マーケティング責任者であるキース・ウィード氏が、フォロワーを購入して増やしているインフルエンサーたちは今後起用しないと宣言したことで、インフルエンサーマーケティングにおける詐欺行為に関する議論がまた再燃した。

インフルエンサーのフォロワーのなかにボットなどが含まれていないことを保証するのは困難だ。そのためインフルエンサーエージェンシーたちは、フォロワー数ではなく、投稿のインプレッションをベースにクライアントに料金を請求している。

詐称行為の撲滅のため

コレクティブ・バイアス(Collective Bias)とフォール(Fohr)は、この変更を加えたインフルエンサーエージェンシーの例だ。データ分析企業のインマー(Inmar)が所有するコレクティブ・バイスだが、彼らはコカ・コーラ(Coca-Cola)、ネスレ(Nestle)、ジョンソン・アンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)そしてサムスン(Samsung)といったクライアントのキャンペーンに起用するために、1万1000人のインフルエンサーによるクローズドコミュニティを持っている。ウィード氏がカンヌにおいてインフルエンサーの偽フォロワー数について言及して以来、クライアントからの質問が増えていると、コレクティブ・バイアスのメディア・プロダクト/コミュニティ成長部門バイスプレジデントであるリア・ローガン氏は言う。

「実際に人間が投稿を見ているわけではない(偽アカウントの)ためにクライアントへ料金を請求したくない。リーチに対して支払うというモデルは、もはや受け入れられないものになっている」。

フォールにとっても、この変化は大きなものだ。彼らは5万人以上のインフルエンサーを抱えるネットワークと協働し、さまざまなマーケットカテゴリーにおけるキャンペーンを展開。ファウンダーのジェームズ・ノード氏は、この変化が起きることでインフルエンサーたちにとってはフォロワー数を購入するインセンティブがなくなり、インフルエンサーマーケティングにおける詐称行為の撲滅に役立つだろうと考えている。

また、来年に同じような変更を加えると回答してくれたエージェンシーも、他に2社存在した。彼らは匿名を希望している。

具体的な取り組み内容

インフルエンサーエージェンシーは、詐称行為やブランドセーフティに関する水準を新しくするという取り組みも行っている。コンテンツがパブリッシュされた後に、インフルエンサーによるルール違反が行われた場合、コンテンツは12時間以内に削除されることをコレクティブ・バイアスは保証する。またフォロワーに、コンテンツとのエンゲージメントに対するインセンティブを与えること、フォロワー数を購入すること、もしくは人工的にトラフィックを作り出すことを禁止している。アハロジー(Ahalogy)はクライアント用プラットフォームにインプレッション・トラッキング機能を追加し、ピアーズウェイ(Peersway)はインフルエンサーが持つフォロワーのうち何%がフェイクかを特定している。

インスタグラム(Instagram)上でよく行われている慣習のひとつに、インフルエンサーのフォロワー数とCPMで投稿毎のコストを計算するというものがある。たとえば、ひとりのインフルエンサーがフォールによって起用されたとする。彼のフォロワー数は10万人でCPMが10ドルなら投稿ごとに受け取る報酬は1000ドルから1500ドルといった具合だと、ノード氏は説明する。アハロジーやピアーズウェイといった他のエージェンシーでは、フォロワー数に関係なく固定のレートでクライアントに請求している。

コレクティブ・バイアスとフォールの新料金モデルは、フォロワー数に影響されない固定CPMに基づいたものになっている。インスタグラムのビジネスAPIとインフルエンサーたちのビジネスアカウントからのスクリーンショットを基に、インプレッションデータを取り出す計画だ(ひとつのインプレッションは、ひとりのユーザーが投稿を見たとしてカウントされる)。

インプベースの料金体系

インスタグラムがビジネスアカウント分析プログラムを2年前に導入したことで、料金設定の変更を行うことが可能になった。このプログラムを用いると、インフルエンサーの投稿を何人が見たかを確認できると、ノード氏は言う。その前はフォロワー数しか確認できなかった。

他のメディアフォーマットにおけるバイイングも類似した形であるため、この新しい料金設定に変更したことで、インフルエンサーマーケティングはメディアバイヤーたちにとっても親しみやすいものになるだろうと、コレクティブ・バイアスもフォールも言う。

インスタグラム上のCPMは低いレベルでは5ドルほど、高いものでは15ドルにも達する、ノード氏は、この値段が2倍になるだろうと予測している。「現時点でのCPMは、オーディエンスのうち何%かは投稿を見ないという仮定に基づいている。しかし、インプレッション数に基づいてインフルエンサーたちに料金を支払うようになれば、CPMはその(見ないオーディエンスに関する)差し引きを無しにした、広告価値を反映したものにならないといけない」。

インフルエンサーたちの未来

とはいえ全体的な値段設定はそれほど変わらないだろう。というのもフォロワー数全部に対して値段が請求されるわけではないからだ。「以前であれば10万人のフォロワーに対して10ドルのCPM、つまり1000ドルを請求していた。いまではCPMが20ドルになればそれは5万人にリーチしたことになる。結果的には、これも1000ドルだ」と、ノード氏は説明してくれた。

エンゲージメントが高いインフルエンサーたちは新しい料金モデルでも生き残っていくだろう。しかし、エンゲージメントが低いインフルエンサーたちはフォロワー数が大きくとも苦しむことになる。これはフォロワーたちに偽アカウントが含まれているかどうかに関係なくだ。インプレッションベースの値段設定は、インフルエンサーエージェンシー経由で起用されるときにインフルエンサーたちの交渉力を奪うことにもなる。つい先日は、ひとつの投稿につき1万5000ドルを要求するインフルエンサーと話をしたと、ローガン氏は語った。

「いまはお金がリーチベースのモデルで成り立っているため、インフルエンサーたちはこのような値段を要求している。彼らの実際のパフォーマンスや投資利益率という観点から考えれば、彼らは白紙に戻って自分たちの料金設定を考え直す必要があるだろう」と、ローガン氏は説明した。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:塚本 紺)