[ DIGIDAY+ 限定記事 ]GoogleやFacebookのオーディエンスベースにした入札型広告プラットフォームは、大きな予算を持つブランドマーケターと中小規模のデジタルマーケターが対等に競争できるようにした。同様にオーディエンスをベースとするコネクテッドTV広告は、ネットをベースとしたテレビ広告市場の未来を民主化するものとなりそうだ。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]幅広いオーディエンスにリーチするために、特定の番組の広告を購入することに慣れている従来のテレビ広告主は、コネクテッドTV上で広告を配信するにあたっては、体制を大きく変える必要がある。
従来のテレビ広告主が抱くこのような変革へのためらいは、より柔軟でテレビに進出しようとしているD2C(Direct-to-Consumer)ブランドやそのほかの新興ブランドがコネクテッドTV広告の展望を定める機会を生み出している。
GoogleやFacebookのオーディエンスをベースにした入札型広告プラットフォームによって、大きな予算を持つブランドマーケターと中小規模のデジタルマーケターが対等な立場で競争できるようになった。それと同じように、オーディエンスをベースとする特性を有するコネクテッドTV広告は、インターネットをベースとしたテレビ広告市場の未来を民主化するものとなりそうだ。
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尻込みする古参マーケター
「(コネクテッドTVが)ますます入札型になるにつれ、テレビでも同一の原理が根付くことになる」と、バリック(Varick)で戦略および提携を担当するバイスプレジデント、カイト・ボウロス氏がカリフォルニア州パームスプリングスで4月末に開催された米DIGIDAY主催のイベント「フューチャー・オブ・ティーヴィー・サミット(Digiday’s Future of TV Summit)」のステージ上で語った。
従来のテレビでは、古参のマーケターが数百万ドルの資金を事前に支払うことでインベントリを買い占め、結果的に、いわゆるチャレンジャーブランドを締め出すことが可能である。しかし、コネクテッドTVでは、広告は特定のオーディエンスセグメントをターゲットにすることが可能であるため、チャレンジャーブランドは、Facebookのようなプラットフォーム上でオーディエンスを特定してきた経験を生かすことができ、狭いターゲット広告により高価な費用を支払いたくない古参のマーケターからコネクテッドTVのインプレッションを奪い去ることが可能だ。「どの程度の費用を支払うかという問題ではなく、いかに賢く費用を支払うかという問題だ」と、ボウロス氏は言う。
このイベントを通して、参加者は、従来のテレビの広告主は、コネクテッドTVの広告費用がこれまでと比較して一層高くなることから、コネクテッドTV広告に対する関心を失う可能性があると認識した。これらの広告主は、ケーブルテレビネットワーク上で広告を出すにあたって、1CPM当たり10ドルから12ドルの支払いをすることが通例であり、コネクテッドTVに広告を出すにあたって、なぜ1CPM当たり20ドルから40ドルの支払いをしなければならないかに疑念を抱いている。ある参加者は、「1CPM当たり30ドルの支払いが視野に入りはじめるとなると、多くの質問を浴びせることになる」という。
「その値段は価値に見合うか?」
それらの質問は、概して、ひとつの重要な疑問に行き着く。コネクテッドTVが果たしてその高い価格に見合うか? という疑問だ。参加者によると、答えは、イエスだという。コネクテッドTVがそれだけの価値があるとテレビを好むクライアントに納得してもらうために、イベントに参加したエージェンシーの幹部は、それらのクライアントが無駄なものに焦点を当てるように仕向けるという。
従来のテレビにおける広告費用は、1000インプレッション当たりわずか10ドルである場合が多いのは、確かだ。しかし、それらのインプレッションのうちどの程度が、その広告主が対象と意図したオーディエンスにリーチできているのだろうか? また、配信した番組に偶然チャンネルを合わせるターゲットオーディエンス以外の視聴者に、どの程度リーチしているのだろうか? 逆に、コネクテッドTVでは、ターゲティングのためのデータが正しければ、広告が意図したオーディエンスにのみ視聴してもらえるように、ターゲットを絞ることが可能だ。このターゲティングのおかげで、当該の広告主は、意図したオーディエンスにリーチするために合計して多大な費用を支払わなくても済む。
「(コネクテッドTV広告では)、CPMは従来よりも高くなるかもしれないが、ターゲティングのおかげで、実際に費やす費用は、これまでのテレビに費やすそれよりも低くなる」と、ブランドとエージェンシー幹部のみが参加するクローズドセッションである出席者が述べた。
最終的には「慣れ」の問題
デジタルマーケターは、コネクテッドTVの高いCPMに、はじめから尻込みしないということではない。ただ、「チャンレンジャーブランド以上に検索やソーシャルメディアに資金を使うことに慣れている」ということだと、ボウロス氏は言う。しかし、これらの広告主は投じた資金に対する見返りをよく理解しているため、費用が高くなっても、気にせず大目に見ようという考えが強い。