[ DIGIDAY+ 限定記事 ]今年4月、米DIGIDAYがクライアント側のマーケティング担当幹部社員73名を対象に調査を実施したところ、エージェンシーのビジネス上の関心が自社の関心と一致するとした回答者は44%にすぎなかった。自社とエージェンシーの関心が一致しないという回答が40%を占め、残りの16%は不明と答えた。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]メディアの透明性、契約をめぐる対立、マーケティングの内製化といった懸念がますます顕在化するなか、クライアントとエージェンシーのあいだの溝は深まりつつある。結果として、マーケターはエージェンシーとの共通の関心に疑いの目を向けはじめた。
今年4月、米DIGIDAYがクライアント側のマーケティング担当幹部社員73名を対象に調査を実施したところ、エージェンシーのビジネス上の関心が自社の関心と一致するとした回答者は44%にすぎなかった。自社とエージェンシーの関心が一致しないという回答が40%を占め、残りの16%は不明と答えた。
エージェンシーを変えたとしても、問題が解決するとは限らない。同じ調査協力者に、自社と関係のある特定のエージェンシーではなく、エージェンシー全般についても質問したところ、クライアント側と利害が一致するとした回答はわずか36%だったのだ。
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「信頼の危機が起きている」
「いま起きているのは、クライアントとエージェンシーのあいだの信頼の危機だ」と、エージェンシー検索コンサルタント会社アビダン・ストラテジーズ(Avidan Strategies)のCEO、アビ・ダン氏はいう。「エージェンシーが正当な成果やサービスを提供していないと、クライアントは感じている」。
ダン氏は、クライアントがこのように考える具体的な理由は挙げなかったものの、彼が考える原因のひとつに、報酬と請求の問題がある。「多くの人々が成果の質ではなく、プロジェクトに費やした時間に応じて報酬を得ていることが問題だ」。
マーケターから見た成果報酬の問題は、とりわけメディアエージェンシーにおいて顕著だ。「メディアエージェンシーは依然としてパフォーマンスではなく、支出に対する割合で請求額を決めている。我々はひっきりなしに、成果に関係なく、プラットフォームや戦略にもっと投資するよう促されるが、それは請求額を増やすためだ」と、グラビティープロダクツ(Gravity Products)のCEO、マイク・グリロ氏はいう。
クライアントがエージェンシーに利害の一致を求めるなら、制作したメディアの量ではなく、成果に対する報酬の支払いを契約に明記することが第一歩になるだろう。しかし、キャンペーンの効果測定の問題が解決しなければ、実現は難しそうだ。「各種プラットフォームでの広告費の効果を、最高マーケティング責任者や最高財務責任者にわかるように簡単に測定する方法があるなら、エージェンシーもパフォーマンス重視の契約に前向きになるだろう」と、サッビーマターズ(SavvyMatters)の創業者兼CEO、シェブ・シン氏はいう。「それがないうちは、交渉する価値もない」
パフォーマンスの証明
クリエイティブ業務の価値を評価するのは確かに難しい。しかし、クリエイティブエージェンシーがクライアントに真の目的を隠していることが原因という場合もある。
「クリエイティブエージェンシーはいつも独創的なアイデアにこだわる。こうしたキャンペーンは賞を取れるかもしれないが、パフォーマンス面では大した変化は生まない」と、グリロ氏は指摘。ビジネスの成長をもたらすものは、必ずしも楽しくて魅力的とは限らないのだ。
一方で、「クライアントはパフォーマンスを証明することに必死」だということを、エージェンシーは理解すべきだと、ダン氏はいう。以前の米DIGIDAYの調査では、マーケターの77%が、支出と売上における明確な成果の関連を、以前よりも厳しく精査されるようになったと答えている。
クライアント側にも課題
クライアント側にも利害対立を解消するうえで果たすべき役割がある。「クライアントはエージェンシーに対して、ビジネス上の目標や利用する効果測定指標を明かすべきだ。また、エージェンシーがしていいこと、してはならないことを明確に伝える必要がある。不十分なコミュニケーションは相互不信の原因になる」と、シン氏は述べた。
Mark Weiss(原文 / 訳:ガリレオ)