- 昨年に81%のエージェンシーがFacebookで広告を購入していたが、今年は50%に。インスタグラムも81%から48%へと大きく減少。
- Facebookの収益ドライバーとしての価値を感じるエージェンシー関係者も昨年の90%から75%に減少。インスタグラムも昨年の88%から77%へ。
- 昨年は75%のエージェンシーがFacebookをブランドに適した場だと感じていたが、今年は62%。対照的に、インスタグラムは昨年の79%から今年の80%へと若干の増加。
ソーシャルメディアの細分化が進み、それに伴ってSNSマーケティングも不安定な時代を迎えている。この現状をメタ(Meta)ほどよく理解している企業はほかにない。
パブリッシャーのFacebook熱は冷めつつあるが、代わって彼らはインスタグラムの活用を模索している。一方、ブランドや小売企業はいまもFacebookをテコに売上を伸ばしているが、その活用度は下がり気味だ。エージェンシーに至っては、Facebookとインスタグラムの両方ともに、すでに落ち目と見ている節がある。
この考察は、エージェンシー関係者を対象に行った2021年、2022年、2023年の「DIGIDAYリサーチ」に基づいている。
米DIGIDAYの一連の調査によると、メタ運営のFacebookとインスタグラムを活用するエージェンシーが今年は大幅に減少している。実のところ、Facebookを活用するエージェンシーは2021年以降、一貫して減少傾向にある。今年の調査では「直近の1カ月間にクライアントに代わってFacebookにコンテンツを投稿した」と回答したエージェンシー関係者は半数(50%)にとどまり、昨年の81%、一昨年の86%から著しく減少した。
インスタグラムを活用するエージェンシーはFacebookよりは多いものの、今年はそのインスタグラムの利用も目に見えて落ちている。2023年の調査で「直近の1カ月間にクライアントに代わってインスタグラムにコンテンツを投稿した」と回答したエージェンシーは3分の2(65%)に届かず、2022年と2021年の85%を大きく下回った。
米DIGIDAYの調査によると、エージェンシーがクライアントに代わって行うFacebookへの投稿は、その頻度も過去に比べて減少している。具体的には、エージェンシーのクライアントの投稿頻度が「毎日投稿する」から「週に1回もしくは数回投稿する」にシフトしている。
たとえば昨年の調査で、自社のクライアントの投稿頻度について「毎日」と回答したエージェンシー関係者は、Facebookおよびインスタグラムともに40%だった。今年の調査では、この数字がそれぞれ14%と17%にまで落ち込んでいる。その反面、2023年にFacebookへの投稿を「少なくとも週1回」と回答したエージェンシー関係者は64%で、昨年の43%から大幅に増えた。インスタグラムも同様に、「少なくとも週1回」という回答が昨年の42%から今年は61%に上昇している。[続きを読む]
- 昨年に81%のエージェンシーがFacebookで広告を購入していたが、今年は50%に。インスタグラムも81%から48%へと大きく減少。
- Facebookの収益ドライバーとしての価値を感じるエージェンシー関係者も昨年の90%から75%に減少。インスタグラムも昨年の88%から77%へ。
- 昨年は75%のエージェンシーがFacebookをブランドに適した場だと感じていたが、今年は62%。対照的に、インスタグラムは昨年の79%から今年の80%へと若干の増加。
ソーシャルメディアの細分化が進み、それに伴ってSNSマーケティングも不安定な時代を迎えている。この現状をメタ(Meta)ほどよく理解している企業はほかにない。
パブリッシャーのFacebook熱は冷めつつあるが、代わって彼らはインスタグラムの活用を模索している。一方、ブランドや小売企業はいまもFacebookをテコに売上を伸ばしているが、その活用度は下がり気味だ。エージェンシーに至っては、Facebookとインスタグラムの両方ともに、すでに落ち目と見ている節がある。
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この考察は、エージェンシー関係者を対象に行った2021年、2022年、2023年の「DIGIDAYリサーチ」に基づいている。
米DIGIDAYの一連の調査によると、メタ運営のFacebookとインスタグラムを活用するエージェンシーが今年は大幅に減少している。実のところ、Facebookを活用するエージェンシーは2021年以降、一貫して減少傾向にある。今年の調査では「直近の1カ月間にクライアントに代わってFacebookにコンテンツを投稿した」と回答したエージェンシー関係者は半数(50%)にとどまり、昨年の81%、一昨年の86%から著しく減少した。
インスタグラムを活用するエージェンシーはFacebookよりは多いものの、今年はそのインスタグラムの利用も目に見えて落ちている。2023年の調査で「直近の1カ月間にクライアントに代わってインスタグラムにコンテンツを投稿した」と回答したエージェンシーは3分の2(65%)に届かず、2022年と2021年の85%を大きく下回った。
米DIGIDAYの調査によると、エージェンシーがクライアントに代わって行うFacebookへの投稿は、その頻度も過去に比べて減少している。具体的には、エージェンシーのクライアントの投稿頻度が「毎日投稿する」から「週に1回もしくは数回投稿する」にシフトしている。
たとえば昨年の調査で、自社のクライアントの投稿頻度について「毎日」と回答したエージェンシー関係者は、Facebookおよびインスタグラムともに40%だった。今年の調査では、この数字がそれぞれ14%と17%にまで落ち込んでいる。その反面、2023年にFacebookへの投稿を「少なくとも週1回」と回答したエージェンシー関係者は64%で、昨年の43%から大幅に増えた。インスタグラムも同様に、「少なくとも週1回」という回答が昨年の42%から今年は61%に上昇している。
さらに、今年と昨年の調査結果を比べると、メタのプラットフォーム専用のオリジナルコンテンツを作成しないエージェンシーも顕著に増えている。昨年の調査では、オリジナルコンテンツへの投資を「全くしていない」と回答したエージェンシーは、Facebookおよびインスタグラムともにわずか4%だった。ところが今年の調査では、この数字がFacebookで40%、インスタグラムで31%に急増している。
対照的に、Facebookとインスタグラムのオリジナルコンテンツに多額の予算を投じるエージェンシーの割合は大幅に減少している。昨年は、エージェンシー関係者の約3分の1(Facebookでは34%、インスタグラムでは33%)がオリジナルコンテンツへの投資を「大いにしている」と回答していた。一方、今年は同様の回答がFacebookで10%に、インスタグラムでは17%に急減している。
Facebookとインスタグラムに対する投資の下振れや、両プラットフォームの活用度および投稿頻度の低下は、全体として、エージェンシーが「メタは投資効果(ROI)に乏しい」と見ていることを強く示唆している。特に、オリジナルコンテンツへの投資の急減は深刻だ。「Facebookやインスタグラムのオリジナルコンテンツに金をかけても最終的に元が取れない」とエージェンシーが判断した可能性すらうかがえる。
さらに、米DIGIDAYの一連の調査では、メタのプラットフォームで広告を購入するエージェンシーが大きく減少していることも明らかになった。昨年の調査では、「直近の1カ月間にクライアントに代わってFacebookで広告を購入した」と回答したエージェンシーが81%に達したが、今年は半数(50%)にとどまった。インスタグラムも同様で、「直近の1カ月間にクライアントに代わってインスタグラムで広告を購入した」エージェンシーは、昨年の81%から今年は48%に落ち込んだ。
前項のデータと同様に、これらの数字も、昨年にメタのプラットフォームで購入した広告の投資効果(ROI)が期待に届かず、結果として今年はFacebookとインスタグラムへの出稿を相当に控えた可能性を示している。
エージェンシーのあいだでメタのプラットフォーム離れが進む最大の理由はどこにあるのか。米DIGIDAYの調査を見る限り、エージェンシーは総じて、Facebookとインスタグラムの両方ともに、売上を促進させる収益ドライバーとしての価値を今年は昨年よりも低く見積もっており、大きな理由はこのあたりにあるのかもしれない。昨年の調査では、Facebookには収益ドライバーとしての価値があると回答したエージェンシー関係者は、「ある程度価値がある」「価値がある」「非常に価値がある」を合わせると実に90%という圧倒的多数にのぼった。しかし、今年はこの数字が4分の3(75%)に減少している。
一方、インスタグラムはと言えば、下げ幅こそFacebookを下回るが、こちらも決して小さくない減少となった。具体的には、「ある程度価値がある」「価値がある」「非常に価値がある」を合わせた数字は、昨年が88%だったのに対し、今年は77%だった。
とりわけ、Facebookの減少幅に大きく貢献したのが「非常に価値がある」と回答したエージェンシー関係者だ。昨年の調査では、「非常に価値がある」という回答が3分の1を若干下回る程度の32%だったのに対し、今年はわずか15%だった。しかし興味深いことに、「価値がある」と答えたエージェンシー関係者の割合は、(「ある程度価値がある」と「非常に価値がある」とは対照的に)昨年の30%から今年は45%に上昇している。
特に注目したいのは、「全く価値がない」と回答したエージェンシー関係者の割合がFacebookとインスタグラムの両方で大幅に増加している点だ。Facebookについては、今年の調査で「全く価値がない」と回答したエージェンシーは18%だが、昨年はわずか2%だった。一方、インスタグラムも同様に、「全く価値がない」という回答が、昨年の4%から今年は16%に急伸している(2021年はゼロだった)。
米DIGIDAYの調査によると、大部分のエージェンシーは依然として、ブランディング施策に有用という意味でFacebookには「価値がある」と回答している。ただし、Facebookとインスタグラムの比較では後者に軍配が上がる。ブランディング施策での有用性という観点で、Facebookには「価値がある」または「非常に価値がある」と回答したエージェンシー関係者が53%だったのに対し、インスタグラムは73%だった。
とはいえ、Facebookの場合、今年はこの項目でも減少に転じており、昨年は「価値がある」と「非常に価値がある」の合計が79%にのぼった。一方、インスタグラムに大きな変動は見られず、昨年の「価値がある」と「非常に価値がある」の合計は75%だった。
また、メタのプラットフォームにはブランディング的に「全く価値がない」と回答したエージェンシーが増加傾向にあることは興味深い。過去の調査では、Facebookにしろインスタグラムにしろ、ブランディング施策に関して「全く価値がない」という回答は皆無、または皆無に近かった。ところが今年の調査では、この項目で「全く価値がない」と答えたエージェンシー関係者の割合がFacebookでは14%、インスタグラムでは8%だった。
米DIGIDAYの一連の調査を見る限り、エージェンシーの大多数は「メタのプラットフォームは自社のクライアントが利用するのにふさわしい」と感じているようだ。今年の調査でFacebookはクライアントのブランドに「適している」または「非常に適している」と回答したエージェンシー関係者は62%だった。インスタグラムについても同様の傾向が見られ、「適している」または「非常に適している」という回答が80%にのぼった。
ただし、Facebookの62%については、昨年の数字と比べると大幅減である。昨年の調査では、Facebookがクライアントのブランドに「適している」または「非常に適している」という回答が75%だった。一方、インスタグラムに関しては、昨年と比べてごくわずかだが増加となった。インスタグラムがクライアントに「適している」または「非常に適している」と回答したエージェンシーの割合は今年の80%に対して、昨年は79%だった。
この項目のデータをもう少し詳しく見てみると、Facebookは自社のクライアントのブランドに「非常に適している」という回答が、昨年の30%から今年は大きく減少して19%となっている。一方、インスタグラムは「非常に適している」が若干増加した。インスタグラムは自社のクライアントのブランドに「非常に適している」と答えたエージェンシー関係者は昨年の35%に対して、今年は44%だった。
さらに、今年の調査で初めて、Facebookは自社のクライアントのブランドに「全く適していない」と回答した人々が現れた点は注目に値する。わずか5%という小さな数字ではあるが、昨年および一昨年と比べると確かな変化ではある。
Facebookとインスタグラムに対するエージェンシーの支持に陰りが見えるなか、米DIGIDAYの今年の調査を見る限り、立ち上げからまだ日の浅いThreads(スレッズ)については、多くのエージェンシー関係者がマーケティングに活用できるか否かの判断をいまだ決めかねているようだ。
具体的には、Threadsはマーケティングに活用できる見込みがあると思うかという問いに対して、エージェンシー関係者の半数近く(49%)が「分からない」と答えている。残りの回答者は、「あると思う」(26%)と「あると思わない」(25%)の真っ二つに割れた。
[原文:Digiday+ Research deep dive: Agencies find Meta’s platforms aren’t worth the investment]
Julia Tabisz(翻訳:英じゅんこ、編集:島田涼平)