新旧マーケティング法の適正な配分は、依然として難題だ。ただ最近、マーケターにとってはある意味、古いものが一周回って新しいようだ。多くはFacebookなどへの重度の依存体質を改め、テレビを見直しはじめている。米DIGIDAYが主催した会合における、ブランドマーケターたちの忌憚のない意見をいくつか紹介する。
新旧マーケティング法の適正な配分は、依然として難題だ。
ただ最近、マーケターにとってはある意味、古いものが一周回って新しいようだ。多くはFacebookとインスタグラム(Instagram)に対する重度の依存体質を改め、テレビを見直しはじめている。
米DIGIDAYが7月第3週、カリフォルニア州ナパにおいて主催した会合において、ブランドマーケター勢が口にした忌憚のない意見をいくつか以下に紹介する。
Advertisement
Facebookとインスタグラムの再考
「正直、Facebookとインスタグラムに傾倒しすぎていた。非常に楽だったからだ。現在、支出の多様化に注力している」。
「Facebookとインスタグラム一辺倒だったが、昨年末にそれを一新した。いま目を向けているのは、実績のあるダイレクトメールとロイヤルティプログラムだ。ただ、ダイレクトメールについては、いまだ収支が取れていないため、依然、リスキーな気がする」。
アフィリエイトがつねに理想的とは限らない
「我々のチャンネルはすべて、パフォーマンスマーケティングの観点では、多様化されているが、アフィリエイトについては、ブランド的観点では、100%理想的とは言えない。[検索]ボリュームの問題がある。そこで最近、アフィリエイト戦略の多様化に乗り出した。リベートですべての顧客を得たいとは思わないからだ」。
「パブリッシャーは一般に、リターンばかりにコミットしたいとは考えない」。
パフォーマンスマーケティングが行きすぎると、痛い目に遭いかねない
「うちはかなり早くにパフォーマンスマーケティングを取り入れた。だから、有効性を証明できないものはすべて、この15年間、完全に無視していた。証明できないものは、お話にならない、と。でもいま、そういう極端な姿勢を改めている」。
新規顧客獲得に向けて、非従来型の方法を模索
「我々はビデオゲームを開発した。プレイしているのは子どもじゃない、母親たちだ。それも月平均50時間も。彼女たちは大金を落としてくれている。おかげで、ブランドへのエンゲージメント率も非常に高まった。物理的な褒賞も出した。ただし、うちのコストはゼロ。そこがポイントだ」。
「[音声に関して]いま、Amazonのアレクサ(Alexa)を試している。エンゲージメント率とROI(投資利益率)に関する判断は難しいが、かなり興味深い分野ではある」。
支出先をデジタルからテレビへ移行
「一部のデジタルチャンネルは、ただチェックボックスをオンにしていただけだ。うちはテスト&ラーン(実験&学習)的なアプローチを試したのだが、学ぶものは何もなかった。実験自体はやぶさかでなかったが、効果を正確に測れず、成功だと宣言できないのであれば、この予算はまたテレビに戻すつもりでいる」。
「我々のブランドは、いわばヤードセール状態だった。さまざまな問題を抱えていたが、テレビを活用することで、いまそれを解決中だ。いくつか市場を選んでテレビを試したが、いまのところ上々の結果が出ている。ブランドの人間は皆、大いに満足している」。
「我々はいま、テレビのさらなる可能性を探っている。テレビでは、ディスプレイや検索画面での短い宣伝文句よりも、はるかに信頼性の高い形でブランドストーリーを伝えられる」。
「うちはテレビをデジタルチャンネルとまったく同じように扱っている」。
「デジタルからテレビに予算を移行しているかって? デジタルTVの話じゃなくて? 動画の容れ物の話じゃなくて?」。
ポッドキャスティングの測定手段はいまだ存在せず
「[ポッドキャスティングの]エンゲージメント率はどうやって測ればいい? 実際問題、断片的にすぎて、どうしようもない。ニッチなオーディエンスを狙っている場合は、特にそうだ。基準となる物差しがない」。
「小型の実験にも、あまり向いているとはいえない。ようは連続再生の問題で、極小規模の、フットワークの極めて軽いブランドにしか向いていない」。
インハウス化
「エージェンシーたちは、多くのブランドを失った。ブランドがインハウス化を進める理由は理解できる」。
「インハウスエージェンシーは、自分にもエージェンシーと同じ価値を提供できるところを見せようと、躍起になっている。外からは見えないが、内部競争は激しい。予算をエージェンシーから奪い取る戦いがつねに起きている」。
「エージェンシーは方針を180度、ころころと変える。一方、インハウスの人間には、週末、連絡がつかない」。
Kristina Monllos(原文 / 訳:SI Japan)