テキストベースのソーシャルメディアアプリの頂上争いが白熱するなか、ソーシャルメディアマネージャーたちはその熱気をひしひしと感じている。
7月5日、メタ(Meta)はTwitter対抗のSNS「Threads(スレッズ)」のサービスを開始。イーロン・マスク氏が、有料ユーザーであるかどうかに基づいてツイート閲覧を制限すると決定したことで、Twitterに代わる選択肢として、スピル(Spill)とブルースカイ(Bluesky)が勢いを増していた直後のことだ。これを受け、ソーシャルメディアマネージャーたちは対応に追われている。
競合するものたち
マーケティングエージェンシーのレンズマーケティング(Lenz Marketing)でソーシャルメディアストラテジストを務めるアナ・ローラ・マクグラナハン氏は、メールで次のように教えてくれた。「(マスク氏のTwitter買収以来)この6カ月は、最新のプラットフォームにアクセスして試し、判定を下すことを繰り返す、終わりのないレースのようだ」。
7月第1週の週末にマスク氏が決めた閲覧制限に対する反発とも見える動きで、Twitterの創業者で元CEOのジャック・ドーシー氏のプロジェクトであるブルースカイ、そしてTwitterの元社員のアルフォンゾ・フォンズ・テレル氏とデヴァリス・ブラウン氏が設立したスピルへのユーザー乗り換えが進んでいる。どちらも現在はベータ版で、利用するには招待が必要だ。
統計調査プラットフォームを提供するスタティスタ(Statista)によると、2023年2月にiOS版、4月にAndroid版が公開されたブルースカイは、2月から4月のあいだに60万回近くダウンロードされた。
一方のスピルは、テレル氏がスピルの自身のアカウントで、6月にベータ版のiOSアプリを公開してから13万人近くの新規ユーザーを獲得したことを明らかにしている。また、ネット上で「Twitterキラー」という称号を冠されたThreadsは、メタのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏によれば、おそらく姉妹アプリのインスタグラムのおかげで、公開からわずか7時間でユーザー数が1000万人を超えるという飛躍的な伸びを見せている。
変化が起きすぎている状況
コンシューマーおよびエンターテインメントのグローバルブランドであるスプリングヒルカンパニー(SpringHill Company)のソーシャルメディア戦略マネージャーであるアシュリー・ローレンス氏は、Threadsとスピルの公開を控えた6月、リサーチモード全開で各プラットフォームとその実力を探ったという。
テキストベースのソーシャルメディアアプリの頂上争いが白熱するなか、ソーシャルメディアマネージャーたちはその熱気をひしひしと感じている。
7月5日、メタ(Meta)はTwitter対抗のSNS「Threads(スレッズ)」のサービスを開始。イーロン・マスク氏が、有料ユーザーであるかどうかに基づいてツイート閲覧を制限すると決定したことで、Twitterに代わる選択肢として、スピル(Spill)とブルースカイ(Bluesky)が勢いを増していた直後のことだ。これを受け、ソーシャルメディアマネージャーたちは対応に追われている。
競合するものたち
マーケティングエージェンシーのレンズマーケティング(Lenz Marketing)でソーシャルメディアストラテジストを務めるアナ・ローラ・マクグラナハン氏は、メールで次のように教えてくれた。「(マスク氏のTwitter買収以来)この6カ月は、最新のプラットフォームにアクセスして試し、判定を下すことを繰り返す、終わりのないレースのようだ」。
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7月第1週の週末にマスク氏が決めた閲覧制限に対する反発とも見える動きで、Twitterの創業者で元CEOのジャック・ドーシー氏のプロジェクトであるブルースカイ、そしてTwitterの元社員のアルフォンゾ・フォンズ・テレル氏とデヴァリス・ブラウン氏が設立したスピルへのユーザー乗り換えが進んでいる。どちらも現在はベータ版で、利用するには招待が必要だ。
統計調査プラットフォームを提供するスタティスタ(Statista)によると、2023年2月にiOS版、4月にAndroid版が公開されたブルースカイは、2月から4月のあいだに60万回近くダウンロードされた。
一方のスピルは、テレル氏がスピルの自身のアカウントで、6月にベータ版のiOSアプリを公開してから13万人近くの新規ユーザーを獲得したことを明らかにしている。また、ネット上で「Twitterキラー」という称号を冠されたThreadsは、メタのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏によれば、おそらく姉妹アプリのインスタグラムのおかげで、公開からわずか7時間でユーザー数が1000万人を超えるという飛躍的な伸びを見せている。
変化が起きすぎている状況
コンシューマーおよびエンターテインメントのグローバルブランドであるスプリングヒルカンパニー(SpringHill Company)のソーシャルメディア戦略マネージャーであるアシュリー・ローレンス氏は、Threadsとスピルの公開を控えた6月、リサーチモード全開で各プラットフォームとその実力を探ったという。
独立系クリエイティブエージェンシーのメカニズム(Mekanism)では、「絶え間なく進化を続けるソーシャルメディア環境について話し合うための専用のSlack(スラック)チャンネルと、複数の定例会議がある」と、同社パートナーで最高ソーシャル責任者のブレンダン・ガーン氏は話す。グローバルマーケティングエージェンシーのMGエンパワー(MG Empower)も、メディア責任者のルーシー・ウォーカー氏によると現在は、オーディエンスのセグメントやコミュニティを見つけ出そうと意欲を見せているという。
ガーン氏はメールで、「新しいアプリが出てくるたびに戦略を洗い出して評価し、推薦するのはかなりの労力だ」と語った。「とくに、既存の定番アプリが絶えず変化していることも考慮しなくてはならないとなると大変だ」。
次々と人気に火が付いているこれらの最新ソーシャルメディアプラットフォームは、TikTok、リール(Reels)、YouTubeショート(YouTube Shorts)など、ソーシャルメディアの動画への転向に業界がようやく取り組みはじめているなかで登場してきた。テキストベースのリアルタイムな会話で王者的な地位を誇っていたTwitterを、新興のプラットフォームが追い落とそうとしている今は、少なくとも瞬間的に、テキストへの転向が起きている。
ソーシャルメディアマネージャーにしてみれば、調査や開発に時間を取られて仕事量が増え、ソーシャルメディア環境の絶え間ない変化に適応するため、すばやい方向転換を常に強いられることになる。Twitterに代わるものとしてもっとも有望なのは、メタとのつながりやその規模を考えるとThreadsだという見方が多い。その一方でスピルとブルースカイはいまだベータ段階であり、広く提供されてはいない。
マーケティングオートメーション企業のクラビヨ(Klaviyo)でソーシャルメディア責任者を務めるアザド・ヤカタリ氏は、「ソーシャルメディア分野で仕事をするということは、プラットフォームのアルゴリズムが変わるたびに俊敏に計画を変更したり、戦略を調整したりできなければならないということだ。だが、2022年11月にイーロンが就任してからは、毎日変化が起きているような気がする」と嘆いている。
重要なのはデータ報告ツール
7月7日時点で、クラビヨはThreadsにブランドアカウントを持ち、少なくとも1600人のフォロワーを獲得した。だが、ヤカタリ氏によれば、同社経営陣にはすべてのプラットフォームで活動する計画はなく、ソーシャルメディアマネージャーとしてはなんとかワークライフバランスを保つことができる状態にあるそうだ。何カ月も前に、活発な変化を見せていないプラットフォーム、具体的にはLinkedIn、メタ、TikTokに集中することが決定され、その戦略を組み立てているところだという。
ヤカタリ氏は現在、Threads、スピル、ブルースカイを試し、これらのアプリが勢いを増すなかで何が上手くいって何が上手くいかないのかを把握しようとしている。
米DIGIDAYが話を聞いた7人のソーシャルメディアのプロたちのうち、クラビヨと、家族などの位置情報を追跡するアプリのLife360、コンシューマーおよびエンターテインメントのグローバルブランドであるスプリングヒルの少なくとも3社が、Threadsでブランドアカウントを立ち上げていた。それ以外は様子見モードで、個人アカウントでいろいろ試して上層部に調査結果を報告してから本格的なクライアントのアカウント作成へと進むことになる。
「おそらくもっとも重要になってくるのは、ソーシャルメディアマネージャーと担当チームがパフォーマンスやエンゲージメントに関する知見を得るために使用する、スプラウト(Sprout)やスプリンクラー(Sprinklr)などのデータ報告ツールだろう」と、ヤカタリ氏は話す。
「プラットフォームの人気が拡大するにつれて、このようなツールを統合できることが、ソーシャルメディア関係者にとっては極めて重要になってくる」と同氏は続け、「当社では、もっとも上手く統合できるものを使うことになると思う」と話す。しかしながら、スピルやブルースカイに統合機能があるかどうかは不明だ。また、これらの新アプリは一般公開されるまでデータが限られる可能性があり、ソーシャルメディア戦略でのデータ活用を考えるソーシャルメディアチームの仕事が増えることも考えられる。
増え続ける仕事、一体何に注力すべきなのか
過去2年、ソーシャルメディアマネージャーからは疲弊の声が聞こえてきている。各種プラットフォームへの対応に苦戦し、さらには給料の低さと永遠に続くスクローリング、絶え間なく変わるソーシャルメディア環境に、退職者も出ている。ソーシャルメディアプラットフォームの最新の波には、TikTokのように有望なポテンシャルを持っているものもあれば、クラブハウス(Clubhouse)のように短命に終わるものもある。
ソーシャルを専門に扱うプロフェッショナルにとっては、メインストリームとなることに苦戦するかもしれない新興のプラットフォームには不安が付きまとう。一時期、エージェンシーではクラブハウス担当マネージャーを採用していた。また、ビーリアル(BeReal)は広告なしで成功する最初のソーシャルメディアチャネルとなることが確実と見られ、一方でクリエイターたちによってTikTokの姉妹アプリLemon8が次の段階へと進むはずだった。
だが、マーケティング予算の割り当て状況とソーシャルメディア上の話題を見るかぎり、これらのプラットフォームがメインストリームとなり得なかったことは明らかだ。「過去5年のあいだ、数多くのソーシャルアプリが鳴り物入りで登場しては結局消え行ってしまった」とガーン氏は語る。「それぞれのアプリには独自性があったものの、最終的には関心を維持することが難しかった」。
Twitterに代わるものとして、ソーシャルメディアマーケティング企業のコフィー・アンド・ティー(Coffey and Tea)のマネージングディレクターであるメグ・コフィー氏は、ブルースカイからマストドン(Mastodon)までほぼあらゆるものを試したというが、どれも長続きはしなかったという。
「今テキストベースのアプリはどれもシェア獲得競争に必死になっている」とコフィー氏は付け加え、「一部で成功するブランドも確実に出てくるだろうが、結局すべてはリソース次第だ。手元にあるだけの精一杯を、上手くいくとわかっているところにつぎ込んでいくしかない」と言い添えた。
Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)
Illustration by Ivy Liu