[ DIGIDAY+ 限定記事 ]Googleが自社以外のcookieを追い払おうとするなか、広告主は豊富なデータを持つパブリッシャーに近づく新たな手段を獲得しつつあり、Googleの動きを受けてさらに取り組みを拡大していると、複数のシニアマーケターやアドテク幹部が述べている。広告主が再検討しているターゲティング手法は次の3つだ。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]Googleが自社以外のCookieを追い払おうとするなか、広告主は豊富なデータを持つパブリッシャーに近づく新たな手段を獲得しつつあり、Googleの動きを受けてさらに取り組みを拡大していると、複数のシニアマーケターやアドテク幹部が述べている。
Googleは、世界で60%のシェアを持つ人気の高いChrome(クローム)ブラウザで、ユーザーがCookieを簡単にブロックできるようにする動きを見せている。そのため広告主は、ファーストパーティデータの利用を検討せざるを得なくなった。Googleから入手できるデータは、Googleがコントロールできるものに限られるからだ。膨大な量のオンラインメディアやターゲティングデータを必要としない広告主は、それでも構わないかもしれないが、どちらも必要とする大手広告主は、Googleの動きをきっかけに、オンラインユーザーをターゲティングする新たな方法を見つけ出そうとしている。
GoogleがサードパーティCookieを取り締まるなかで、広告主が再検討しているターゲティング手法は次の3つだ。
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ウォールドガーデンの外にあるデータを購入する
Firefox(ファイヤーフォックス)やBrave(ブレイブ)といったブラウザと異なり、ChromeはデフォルトでサードパーティCookieを無効にしてはいない。どれくらいの数の人がサードパーティCookieを無効にするかはわからないが、マーケターは新しい手法を模索せざるを得ない状況に直面していると、ある世界的な広告主のメディアディレクターは述べている。この会社の場合、現実に取りうる選択肢は、Google製品以外の場所で自社のデータ資産を強化できる新たな方法を見つけ出すことだという。コンテキストシグナルを通じて人々の関心を把握できるかどうかは、問題ではない。そこでこの会社は、PMP(プライベートマーケットプレイス)やパブリッシャーアライアンスを通じて、互いにメリットが得られる提携先を見つけ出すことでスケールを拡大しようとしている。
「Googleの動きはCookieの死を早めるだろう。したがって、公開オークションを通じて同じ広告で可能な限り多くの人にターゲティングしようとする物量作戦は難しくなる」と、このメディアディレクターは匿名を条件に語った。「こうした手法やオーディエンスターゲティングは時代遅れになる可能性がある。我々も、ほかのターゲティング手法に集中できる質の高い環境で、PMPの取引拡大を目指すことになるかもしれない」。
ファーストパーティデータを最優先にする
Googleがリターゲティングを無効にすることはないだろうが、多くの広告主がいまのやり方に依存している状況の見直しを迫られるだろう。ユーザーが何をオプトインしたのか、またユーザーデータがサードパーティCookieを介してどのようにシェアされたのかを、過去にさかのぼって確認することは決して簡単ではない。エージェンシーのジャーニー・ファーザー(Journey Further)でシニアプログラマティックアナリストを務めるトム・ラフ氏は、そう指摘する。
しかし、オゾン(Ozone)のようなパブリッシャーアライアンスの復活や、広告主が管理するマーケットプレイスの台頭によって登場したプライバシーファーストを謳うソリューションが、制限されつつあるサードパーティCookieに代わる手段をもたらしてくれる可能性がある。このようなソリューションでの取引が拡大すれば、広告主がパブリッシャーと協力して、誰もが確認できるオプトアウト可能なブラウザIDの実現に向けた下地が整うかもしれない。
「Googleは質の高い製品を作り出しているが、彼らの取り組みが業界全体の利益のためではないということがはっきりした」と、あるシニアマーケターは匿名を条件に述べている。「ブランドにとって、この問題を回避する最善の方法は、テクノロジーとパートナーを自ら所有し、(Googleに)依存しなくてもマーケットプレイスで適切な分析ができるようにすることだ」。
Chrome以外に目を向ける
Chromeでのトラッキングが制限されはじめたことを受け、すでに一部の広告主は、ほかのブラウザのユーザーにターゲティングする方法を検討している。Googleのようなウォールドガーデンで広告を出しても、期待した効果がほとんど得られないことに気づくブランドが増えており、彼らはオンラインユーザーにターゲティングする場所や方法を再検討していると、アドテクコンサルタントのアンコモン・ピープル(Uncommon People)の共同創業者、キース・デ・ヨング氏は話す。
広告収入に支えられたパブリッシャーが、Googleの決定を受けて、特定のブラウザをブロックしたり、別のブラウザに切り替えなければサイトのすべてのサービスを利用できないとユーザーに警告したりするようになれば、ほかのブラウザ各社が新たな方向性を検討する可能性があるというのは、サンダー・エクスペリエンス・クラウド(Thunder Experience Cloud)のCEO、ビクター・ウォン氏だ。
ウォン氏の観測によれば、Chrome以外のブラウザにはふたつの方向性が考えられるという。ひとつは、Googleのやり方に従ったうえで、広告主に対していまの物量的なアプローチではなく、トラッキングをより細かくコントロールできる手段を提供するというもの。もうひとつは、モバイルアプリ内広告で誰もが利用できるモバイル広告IDのようなIDを作成するというものだ。Googleも同じようなことを検討していたが、切り替えに必要な時間を確保できなかったために取りやめたとウォン氏はいう。
「最終的には、誰もがそのような方向に向かう可能性がある。そうなれば、トラッキングはひそかに行われるものではなくなり、アプリの場合と同じく、ブラウザを利用する消費者が簡単にコントロールできるものになるだろう」と、ウォン氏は語った。
Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)