MFA(made-for-advertising:広告のためにつくられた)サイトに対する取り締まりの強化が勢いを増している。
マグナイト(Magnite)やシェアスルー(Sharethrough)、パブマティック(PubMatic)は現在、MFAのブロックを進めており、こうしたサイトがその詐欺的手法で利益を得ることがますます困難になっている。
広告配信という目的のためだけにつくられたサイトが、どれだけの損害を実際に与え得るのか。実際のところ、その損害はかなりのものだ。MFAはユーザー体験を阻害し、コンテンツの価値を毀損し、セキュリティリスクを呼び込む。そして、デジタル広告エコシステムの信用までも損なわせている。
アドテク各社が重い腰を上げる
しかし、つい最近までこうしたMFAは何年ものあいだ、アドテク業界からの抵抗もさしてないまま、繁栄を続けてきた。だがここにきて、状況は一変した。全米広告主協会(ANA)が行った調査により、MFAについてのショッキングな真実が暴かれたのだ。そしてその調査結果から、厄介な疑問がいくつも生じた。なぜ、これらMFAは大々的にブロックされてこなかったのか? なぜ、主要プラットフォーム外でインターネットの最高峰を示すはずのマーケットプレイスに入り込めたのか? という点だ。
この調査結果を受けて、(少なくとも一部の)アドテクベンダーは対策に乗り出す義務を感じることになった。
事実が明るみに出るや、シェアスルーは一般の取引とカスタムのプライベートマーケットプレイス(PMP)からMFAを一掃した。その後まもなく、パブマティックもそれに続いた。マグナイトも後れを取ってはならないとばかりに対策を開始し、広告主から依頼があれば、PMPだけでなく、同社が販売するオープンプログラマティック市場のキュレーテッド版においても、MFAインベントリー(在庫)を無効にすると約束した。
こうした行動が賞賛に値する一方で、そこにはこんな疑問も浮かんでくる。アドテク関係者に汗を流させるのに、なぜ大々的な報道が必要だったのかという疑問だ。
MFA(made-for-advertising:広告のためにつくられた)サイトに対する取り締まりの強化が勢いを増している。
マグナイト(Magnite)やシェアスルー(Sharethrough)、パブマティック(PubMatic)は現在、MFAのブロックを進めており、こうしたサイトがその詐欺的手法で利益を得ることがますます困難になっている。
広告配信という目的のためだけにつくられたサイトが、どれだけの損害を実際に与え得るのか。実際のところ、その損害はかなりのものだ。MFAはユーザー体験を阻害し、コンテンツの価値を毀損し、セキュリティリスクを呼び込む。そして、デジタル広告エコシステムの信用までも損なわせている。
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アドテク各社が重い腰を上げる
しかし、つい最近までこうしたMFAは何年ものあいだ、アドテク業界からの抵抗もさしてないまま、繁栄を続けてきた。だが、ここにきて、状況は一変した。全米広告主協会(ANA)が行った調査により、MFAについてのショッキングな真実が暴かれたのだ。そしてその調査結果から、厄介な疑問がいくつも生じた。なぜ、これらMFAは大々的にブロックされてこなかったのか? なぜ、主要プラットフォーム外でインターネットの最高峰を示すはずのマーケットプレイスに入り込めたのか? という点だ。
この調査結果を受けて、(少なくとも一部の)アドテクベンダーは対策に乗り出す義務を感じることになった。
事実が明るみに出るや、シェアスルーは一般の取引とカスタムのプライベートマーケットプレイス(PMP)からMFAを一掃した。その後まもなく、パブマティックもそれに続いた。マグナイトも後れを取ってはならないとばかりに対策を開始し、広告主から依頼があれば、PMPだけでなく、同社が販売するオープンプログラマティック市場のキュレーテッド版においても、MFAインベントリー(在庫)を無効にすると約束した。
こうした行動が賞賛に値する一方で、そこにはこんな疑問も浮かんでくる。アドテク関係者に汗を流させるのに、なぜ大々的な報道が必要だったのかという疑問だ。どうやらこれらの企業の多くは、商業的な犠牲があまりにも大きく、風評的な影響があまりにも補足しにくいと判断したようだ。とくにそうだったのがアドテクのセルサイドで、どこもMFAをすぐさまブロックするわけにはいかなった。そんなことをすれば、MFAが影響を受ける以上に、自分たちの決算が悪化してしまう。それが彼らの言い分だった。
購入するのはマーケター
シェアスルーの最高製品責任者であるカート・ラーソン氏は、「PMPはMFAサプライを無効にしても比較的安全といえる場所であり、当初の我々はPMPにフォーカスしていた。我々がそうすれば、バイヤーは広告費をもっとクオリティの高いサイトに再配分できるからだ」と話す。「もし我々のエクスチェンジ全体でMFAをオフにすれば、これはどのエクスチェンジにも当てはまることだが、広告費は競合他社へ流れることになる」。
こうした発言がそれとなく示しているのは、結局のところ、これはサプライ側の問題ではなく、デマンド側の問題だという確信だ。アドテクパートナーとともに、MFAインベントリーの購入をやめなければならないのは、マーケターなのだ。彼らが全力を傾けなければ、シェアスルーやパブマティックら企業の努力も、取るに足らない結果に終わってしまうかもしれない。どうやら、倫理や誠実さといった崇高な大義名分だけでは、動機としては不十分なようだ。
プログラマティックコンサルタントのトム・トリスカリ氏は、MFAなどのプログラマティック広告を対象とするANAの調査を終え、「セルサイドが欠陥のあるインプレッションを売り、バイサイドも欠陥があると知りつつそれを買う。何の役にも立たないMFAインベントリーでも、そこに市場があれば、喜んで取引を進めようとするマーケットメーカーも常に存在する」と語る。
マイキューとオープンXの成功例
しかし、この欠陥のあるマーケットのすべてのバイヤーが、低クオリティのものが持つ不快なサプライズに引っかかるわけではない。なかには、そこから本物を見つけるコツを知っているバイヤーもいる。
その一例が、プログラマティックメディアバイヤーのマイキュー(MiQ)だ。同社は、アドテクベンダーのオープンX(OpenX)と組んで、マイキューがプログラマティック市場で行うすべての直販取引からのMFA撲滅に乗り出した。この目標を達成すべく、マイキューは独自にカスタマイズしたリストをオープンXに提供し、オープンXはそのリストをプログラマティックコンサルタント企業のジャウンス・メディア(Jounce Media)が作成した特定MFAドメインのリストと統合した。
その結果、マイキューとオープンXが排除したMFAドメインの数は、この手法でキュレートされていない取引と比較すると実に37%もの増加を示したという。それだけではない。たったの1日で、彼らは直接取引から1600近くのユニークドメインを追い出すことにも成功した。
もちろんこれは、MFAを完全に消し去る究極のソリューションではないかもしれない。事実、これでオープンマーケットをカバーすることはできなかった。しかし、ステークホルダーが手を組めば何が達成できるのかを示す、勇気づけられる一例であることは確かだ。加えて、マイキューとオープンXの成功例に刺激され、MFAの購入をやめる企業もほかに出てくるかもしれない。
マイキューのプロダクト部門でグローバル責任者を務めるララ・ケーニグ氏は、次のように述べている。「サプライチェーンの一部と呼ぶにはMFAは大きすぎるが、我々が業界としてやらなければならないのは、DSPを利用する広告主が何を購入し、何を購入しないかを直接管理できるようにする方法を考え、アカウントマネージャーにメールしなくても、MFAをブロックできるようにするにはどうすればよいかを考えることだ」。
MFTサイトへの依存
とはいうものの、相手はアドテクだ。一筋縄で行くことなどほとんどない。
現実に目を向ければ、MFAとの戦いはそう簡単なことではない。確かに、ザ・トレードデスク(The Trade Desk)など一部の明らかな例外は善戦しており、自社のアドテクプラットフォームを通したMFAインベントリー購入を抑制するための強力な対策を実施している。だが悲しい現実は、DSPの大半はこの課題に本腰を入れて取り組んではいない。
理由のひとつは、多くの場合、MFAサイトをひとつブロックしたところで、また別が生まれ、モグラ叩きの様相を呈する結果になるだけだからだ。しかし、これには別の側面がある。見て見ぬふりをすべき理由が山のようにあるのだ。アドテクベンダーは、(それがブランドセーフティを脅かしていない限りは)クオリティに関係なく、インベントリーから莫大な金を得て満足している。
「MFAのインベントリーはすでに、DSPやSSPのエコノミックマシーンにとって、あまりにも重要になっているのかもしれない」と、トリスカリ氏は語る。「それがなくなり、この経済が破綻したら、いったいどうなるのだろうか」。
インデックスエクスチェンジの事例
この議論は結局のところ、広告主の選択と業界全体の健全性のバランスを取ることに落ち着く。支持派は個人の選択を強調し、反対派は業界の公益を強調する。全体的に見ると、これはMFA取引の判断をめぐる倫理と影響の衝突であり、これらふたつのバランスを取る妥協点を見つけることが必要不可欠なのだ。そしてそれは、インデックスエクスチェンジ(Index Exchange)が証明しているように、決して不可能なことではない。
過去1年間にわたって、インデックスエクスチェンジではエクスチェンジレベルでMFAを積極的に排除してきた。マーケットプレイスをキュレートし、こうしたサイトを継続的にふるい落としてきたのだ。これが進んでいけば、広告主がDSPからMFAを購入する確率はそれだけ下がっていく。
「インデックスエクスチェンジは常に、労力をかけていない質の悪いインベントリー、コンテンツに占める広告の比率が高いインベントリー、ソーシャルやディスプレイの広告トラフィックのレベルが高いインベントリーのブロックに取り組んできた。これらはどれも、MFAコンテンツによく見られる特徴となっている」と、同社はメールでの声明で述べ、「エクスチェンジを開始して以来、インデックスの土台は一貫してクオリティだ。この土台を支えるべく、バイヤーやパートナーからのフィードバックと足並みをそろえながら、ポリシーの見直しを絶えず行っている」と記している。
市場のどちらか一方だけの問題ではない
ベイシステクノロジーズ(Basis Technologies)のチームも、考えていることは同じだ。同DSPでは10年近く前から、自社のガードレールを調節して、MFAなどの寄せ集めサイトをブロックしている。しかも、個々のMFAをブロックするだけでなく、買い付けを行うすべてのマーケットプレイスで、MFAを販売するアドテク仲介業者もブロックしているという。
同社のテクノロジー担当ゼネラルマネージャーを務めるマット・ソールズ氏は、「業界内のあらゆる関係者が、この問題に取り組んでいかなければならない。市場のどちらか一方だけの問題ではない」と語る。
変化が起きていることは確かだ。しかし、その進捗には不確かさも感じられる。PMPからMFAを排除したところで、その効果には限りがある。MFAがPMPに占める割合がそもそも小さい場合は、とくにそうだ(シェアスルーのそれは9%)。ベイシスやザ・トレードデスクのように、MFAインベントリーの購入を徹底して拒否するか、オープンXが提案しているように、MFAインベントリーの販売を停止するといった、いずれかの道を選ぶアドテクベンダーが増えていかなければならない。毅然とした行動を取ることでしか、業界はMFAをめぐる問題の解決に効果的に取り組むことはできないのだ。
「オープンXでは、結果的に購入の構成に生じるであろう変化をバイヤーとともに同じ目線で考えながら、この問題の解決に適した技術的なソリューションの構築に積極的に取り組んでいる。それは数カ月以内に完成する見込みだ」と、同社の広報担当者は述べている。
[原文:Ad tech industry gears up to combat MFAs]
Seb Joseph(翻訳:ガリレオ、編集:島田涼平)