TikTok広告を話題にするマーケターは多い。だが、実際に広告を出す予算的な余裕がある企業は少ない。ましてや不景気中であればなおさらだ。英国のTikTokで広告を実施するにあたり、必要となるコストの内訳をまとめた。これは、メディアバイヤーたちにTikTokが渡した最新の料金説明に基づく。
TikTok広告を話題にするマーケターは多い。だが、実際に広告を出す予算的な余裕がある企業は少ない。ましてや不景気中であればなおさらだ。
その広告は、英国では1000インプレッションごとのコストが8ドル(約854円)からとなっている。また、広告主は最低でも2万5000ドル(約267万円)を費やす必要がある。安価なバイラル・マーケティング・キャンペーンを狙う広告主向けのプラットフォームではない。むしろ、大きな予算を持つ企業のためのプレミアムなメディアバイイングだ。
TikTok広告がプレミアムとなっているのは、広告の大部分が自社のセールスチームによって、メディアバイヤーのために管理されていることも一因だ。TikTokにおける広告はまだ新しく、広告主がSnapchatやインスタグラムのようなより安い在庫を求めて去ってしまうことはないという安心のもと、高額な広告価格をキープできている。
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英国のTikTokで広告を実施するにあたり、必要となるコストの内訳を以下に記した。メディアバイヤーたちにTikTokが渡した最新の料金説明に基づく。
テイクオーバー広告(Takeover ads)
このフォーマットは、アプリを開くと目に入るユーザーの投稿の代わりに、3秒間の広告画像か3秒から5秒の広告動画に置き換える(テイクオーバーする)というもの。ひとつのカテゴリーにつき、テイクオーバーするのは1日にひとつの広告主のみとなっている。このフォーマットに対する最小限のコストは1日5万3000ドル(約566万円)だ。これによって890万インプレッションを購入できる。
トップビュー広告(Topview ads)
テイクオーバー広告と似ており、トップビュー広告はアプリが開かれた時に表示される。しかしテイクオーバー広告とは異なり、トップビュー広告は音有りで最長60秒までの動画となっている。差額を払うことでテイクオーバー広告をトップビューに変えることもできる。コストは740万インプレッションに対して1日6万5000ドル(約694万円)だ。
フィード内動画:ワンデイ・マックス(One Day Max)
フィード上で1日だけ表示される、5秒から15秒の動画広告。ユーザーがフィード上で四番目に見る動画が広告となる。コストは360万インプレッションに対して2万6000ドル(約278万円)からとなっている。
フィード内動画:ブランド・プレミアム(Brand Premium)
ほかのワンデイ・マックスとは異なり、ブランド・プレミアムはアプリで視聴されるフィード上の動画のうち最初の130個のどこかにランダムに配置される。このフォーマットのコストは2万5000ドル(約267万円)からとなっている。
ハッシュタグ・チャレンジ(Hashtag Challenge)
TikTokのフラグシップ広告であるこのフォーマットでは、特別に作られた踊りであったりコメディ関連のチャレンジをハッシュタグで作り、それをユーザーたちに自分たちのバージョンを作るように6日間に渡って呼びかけるというものだ。当然ながら、これがもっとも高価なフォーマットのひとつとなっている。高いコストを払うことで、広告主たちはたくさんのオプションを得ることができる。ハッシュタグ用の公式の音楽、チャレンジに参加する動画が規制を受けないように特別なコンテンツ保護、といった具合だ。ブランド・テイクオーバーとワンデイ広告はどちらもこのパッケージに含まれる。コストは13万ドル(約1388万円)だ。
ハッシュタグ・チャレンジ・プラス(Hashtag Challenge Plus)
このパッケージは広告主に、バナー広告、ハッシュタグ、チャレンジページ、特別コンテンツ保護、そしてスタンダードなパッケージで得られる広告フォーマットを提供し、さらにアプリ内店舗へユーザーを誘導するといった追加機能もついてくる。ハッシュタグ・チャレンジのレベルアップ版であるこのパッケージのコストは16万ドル(約1708万円)だ。
ブランデッド・エフェクト(Branded Effect)
顔や手の動きに連動する2Dのアニメーションレンズを広告主が加えることができる。このエフェクトはTikTokの自社クリエイティブ部門が制作する。コストは30日間で4万5000ドル(約480万円)だ。
インパクトの大きい広告配置は高額だが、ほかにも広告を試すためのより安価なオプションも存在している。TikTok上でのブランドとクリエイターのコラボレーション用の公式プラットフォームであるクリエーターマーケットプレイス(Creator Marketplace)を通じて、TikTokのインフルエンサーに対する興味関心がたくさん集まっているのは、それが理由だ。
「TikTok上のバイラルコンテンツのなかでも、もっとも優れているものはすべてインフルエンサーたちによって作られている。そのためインフルエンサーが唯一の広告の方法となっている」と、インフルエンサープラットフォームであるヨークネットワーク(Yoke Network)のCEOであるジャイド・マドゥアコ氏は述べる。「インフルエンサーたちのビュー数がどれくらい均一か、広告主たちはより注意を向ける必要がある。契約を結ぶときに、自分たちの動画がどれくらい成功するかを示す非常に強いサインとなる」。
クリエーターパッケージに関してティックトックは以下の情報を提供した。
中レベル・パッケージ(Mid-tier package)
パッケージには5人のクリエーターが含まれ、そのどれもフォロワー数は100万人以下となる。コストは1万2000ドル(約128万円)。
上レベル・パッケージ(Top-tier package)
中レベルと類似しているが、5人のインフルエンサーたちはどれも100万人から500万人のフォロワー数を抱える。コストは3万5000ドル(約374万円)。
バリュー・ハイブリッド・パッケージ(Value Hybrid Package)
2人の上レベルクリエイターと3人の中レベルクリエイターを含む。このパッケージのコストは2万ドル(約210万円)。
プレミアム・ハイブリッド・パッケージ(Premium Hybrid Package)
フォロワー数500人以上の「VIPクリエイター」が1人と、2人の上レベルクリエイター、そして2人の中レベルクリエイターが含まれる。コストは3万ドル(約320万円)。
Seb Joseph(原文 / 訳:塚本 紺)