「ヘアブランド」や「スキンケアブランド」という概念は過去のものになりつつある。最新の方向転換には、フレグランスを発売するヘアケアブランドがある。モロッカンオイルのヘア&ボディフレグランスミスト、ソルデジャネイロの拡大し続けるヘア&ボディミストコレクションなど数えきれない。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
「ヘアブランド」や「スキンケアブランド」という概念は過去のものになりつつある。最新の方向転換には、フレグランスを発売するヘアケアブランドがある。モロッカンオイル(Moroccanoil)のヘア&ボディフレグランスミスト、ソルデジャネイロ(Sol de Janeiro)の拡大し続けるヘア&ボディミストコレクション、オリベ(Oribe)のオードパルファム、デイ(Dae)の新しいヘア&ボディ香水など、その例には枚挙にいとまがない。2016年にローンチしたウェ(Ouai)も負けじと、2018年に香水を、今年はキャンドルを販売。スキンケア製品のサマーフライデーズ(Summer Fridays)は香油3点セットとキャンドルをローンチしたところだ。
シャワーと香りの関係
ヘアケアからフレグランスへの参入がこのように一般的になっている理由について、デイの創設者でインフルエンサーでもあるアンバー・フィラーアップ氏(インスタグラムのフォロワーは130万人)は、シャワーというヘア製品が使われる場所と香りとの関係について、「シャワーというのは1日のうちでとてもプライベートな時間であり、感覚的な経験だ」と述べている。つまり、シャワーで使うヘアケア製品によって顧客は好きな香りを発見し、その香りを生活のほかの部分にも取り込みたいと思うようになるのだ。
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モロッカンオイルの共同創業者のカルメン・タル氏はこう言っている。「我々がティーザーを投稿して「次の製品は何がいいか」と尋ねると、(フォロワーは)8割がたオードトワレや香水などのフレグランスカテゴリーを希望している。長年そのような意見を聞いてきて、それに応えるべき時が来たと感じた」。同社は7月にミストをローンチしてフレグランス業界に参入。「(ユーザーは)ジムや仕事の後にミストを使って髪をリフレッシュできる。これは多機能(な製品)だ」。
ヘアケア製品が同ブランドの主力であることは変わらないが、「ブランドに象徴的な香りがあり、消費者から望まれているなら、フラグランスに進出しない手はないだろう」とタル氏。
ソルデジャネイロの軌跡
ソルデジャネイロのローンチ製品はブラジリアンバムバムボディクリーム(Brazilian Bum Bum Body Cream)だったが、その製品のソルトキャラメル、バニラ、ピスタチオの香りが話題になったため、2017年にはボディミストを発売した。「当社の顧客にとって香りが大きな推進力であることがすぐに明らかになった。『フレグランスブランドを目指す』とか『将来フラグランスを展開する』などと考えたわけではないが、常に顧客の意見を聞いてきた。ミストをバムバムクリームと同じ香りにしたのは顧客から望まれたからだ」と、ソルデジャネイロのCEO兼共同創設者であるヒーラ・ヤン氏は言う。
TikTokでその香りへの愛を公言するファンもいる。たとえば、キャット・ブリト氏(@ katbritoo、フォロワーは4.6万人)の投稿は、70万以上の視聴回数と13万を超えるいいねを集めた。「誰もが嗅ぎたいと思う。ハワイから来たばかりのような香りがする」とブリト氏はその動画で述べている。
また、8月、ソルデジャネイロはブラジルのポップスター、アニッタ氏と共同でフレグランスミストを発売した。「アニッタからアプローチされたとき、ブラジルではスーパースターの彼女は米国市場での地位を確立しようとしていた。そこで、我々は彼女と一緒にどんな製品が作れるかを考えた」。
「アニッタ氏から『貴社はフレグランスの権威だ』と言われて驚いた。我々はボディケアブランドだと思ってきたから。フラグランスは成長しているカテゴリーだ」とヤン氏。
フラグランスでも成功を収めたオリベ
オリベはフレグランスカテゴリーでも成功を収めている。共同創設者兼社長のダニエル・ケイナー氏によると、創業以来、香りを重要視してきたそうだ。「我々はストックのフレグランスを使わなかったし、香りは製品ベースを隠すためだけのものではなかったので、フレグランスは大きな躍進だった。製品の体験の一部として香りそのものが際立つようにできないかと考えていた。香りは消費者が製品で体験できることを示唆する要素のひとつにすぎなかったが、とても強力なシグネチャーになった」。
オリベは、2014年にその香りをコートダジュール(Cote D’Azur)という名で、独立したフレグランス製品として初めて展開した。8月には、ヴァレー・オブ・フラワー(Valley of Flowers)とデザートランド(Desertland)を加えてフレグランスの選択肢を拡大。双方ともジェンダーニュートラル製品だ。この8月の発売に向けて全製品が新しいボトルで再パッケージされた。ケイナー氏によると、同ブランドは「シャネルNo.5の最初のボトルを製造した、フランスの6世代続く老舗ボトルメーカー」と協力したという。その尽力は報われているようだ。すでに、フレグランスの売り上げは「期待を上回り、当社のオンライン売り上げトップ5以内にランクインしている」。
[原文:Why so many hair-care brands are expanding into fragrance]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)
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