クリーンか、それとも効果的か? これは美容業界が過去10年間にわたって取り組んできた問題だ。プロバイオティクスをベースにしたスキンケアブランドのトゥーラ(Tula)の戦略をトゥーラのCEOサヴァンナ・サックス氏が、Glossyのビューティポッドキャストで語った。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
クリーンか、それとも効果的か?
これは美容業界が過去10年間にわたって取り組んできた問題だ。プロバイオティクスをベースにしたスキンケアブランドのトゥーラ(Tula)では、医師の根拠に基づく科学的裏付けのあるアプローチと、モダンでクリーンなブランドであるという魅力を両立させようと努めてきた。トゥーラのCEOサヴァンナ・サックス氏は、Glossyのビューティポッドキャストでそう話す。
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サックス氏は2018年にトゥーラに加わり、チームの急速な拡大や小売流通の拡張、技術開発などを通じてこのブランドを見つめてきた。その多くがCovid-19の流行の最中に起きたことだ。
トゥーラは2018年にアルタビューティ(Ulta Beauty)との提携を開始しているが、パンデミック直前から美容小売店での存在感が増していた。2020年1月にはアルタ店内の美容カウンターのテイクオーバーも行っている。Covid-19の影響でアルタビューティの店舗はすぐに閉鎖されてしまったが、サックス氏は「パンデミックの最中も小売店のフィールドセールスチームを維持していて、D2Cでのチャットを経由して顧客にサービスや教育を提供するためのクロストレーニングを行った」と述べている。
トゥーラはアルタビューティに加えて、TikTokではミレニアル世代やZ世代の顧客層にアプローチし、過去1年間で38万人のフォロワーを獲得している。「私たちはポジティブな力でソーシャルメディアの美容の状況に変化をもたらすことに尽力している」と彼女は言う。今年の9月に行われたハッシュタグキャンペーン「#EmbraceYourSkin」を通じて、規制のないスポンサードコンテンツへ積極的に関与していこうとするトゥーラの姿勢もその現れのひとつにすぎない。
以下、対談のハイライトをわかりやすく編集して簡潔に紹介する。
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クリーン VS クリニカル
「私たちに勢いがあり成功しているのは、クリーンとクリニカルが交差する点にいるという、他に類を見ないポジションのおかげだ。これは、健康なものと効果的なもの、どちらかひとつを選ばなくてはならないのか?という発想に起因している。オムニチャネル戦略に基づき、エントリープレステージブランドとして独特なホワイトスペースを埋めている。私たちはデジタルネイティブで、ソーシャルファーストであり、トップチャネルは消費者への直接販売であり、それが売上の約50%を占める。だが小売店でも同等のバランスが取れている。ブランドとして重要なのは、透明性を高めること。そしてブランドとしてのスタンスを説明し、クリーンなものを探そうとしている人が自分に合ったものを選ぶことができるように、顧客をエンパワメントすることだ。恐怖をあおったり、グリーンウォッシュをしたり、批判的な方法でクリーンについて教育したりしないというのが、私たちにとって重要な要素のひとつとなっている」。
異なるストーリーを語る
「今年の夏に実施した調査では、私たちのコミュニティでは、1日に約19回も自分自身についてネガティブなことを言っていることがわかった。これは目が覚めている時間で考えると、1時間に1回以上という計算になる。ソーシャルメディアが自信を与えてくれると感じている人も1%に満たなかった。そこで私たちは、この状況を何とかしなくてはと思い『セルフトークや心の中での独り言によるネガティブな影響にスポットライトを当てる必要がある』と考えた。このマイナスの心の重荷を下ろしてもらうために、初のブランドキャンペーンを実施している。ニューヨーク・タイムズ紙の日曜版スタイルズセクションに全面広告を掲載したのを手始めに、全米でのテレビキャンペーンを展開した。ソーシャルメディアの世界で、そして美容業界として、どのように物語を変えることができるのかという点にスポットを当てて対話をしよう、そんなメッセージを伝えるために、スキンポジティブやボディポジティブのムーブメントの先駆者たちやコンテンツクリエイターたち、あわせて400人以上と一緒に取り組んだ」。
スキンケアファースト、次がノーメイクのメイクアップ
「顧客はメイクをしてもしなくても同じように美しくありたいと思っていて、それが私たちのコミュニティの最終的な肌の目標だ。この秋には『リップSOS(Lip SOS)』というティントリップバームをローンチした。これはクリスティーナ・ミリアン氏とのコラボレーションのひとつで、私たちもとても楽しみにしていたものだ。ノーメイクアップ・メイクアップとみなしているカテゴリーに初めて進出したアイテムとなる。トップセラー製品のひとつであるフィルタープライマー(Filter Primer)は、スキンケアを第一に考えたすばらしいコンプレクション製品だが、ゴージャスな輝きでノーメイクアップ・メイクアップという仕上がりになる。肌の色に関しては大々的にやってほしいと顧客は期待しているので、来年に向けてどんな製品ができるか検討しているところだ」。
[原文:Tula CEO Savannah Sachs on ‘the intersection of clean and clinical’ in skin care]
NITYA RAO(翻訳:Maya Kishida、編集:山岸祐加子)