英国拠点のプレステージスキンケアブランド、レン(Ren)は、製品範囲と発売頻度を減らし、米国の店舗面積を制限している。この計画は、敏感肌ブランドとしての23年間の評判をさらに高めて、新たなレベルの成長を目指すものだ。
小売はセフォラとAmazonに注力
ユニリーバ(Unilever)傘下のレンは、2023年から2027年にかけて年間収益を46%増加するという目標に向けて、新規分野に資金を振り向けるために大幅な削減を行った。これには、米国セフォラ(Sephora)との提携への注力や、顧客データを活用して地理的な成長機会を活用することや、レンが浸透しすぎている地域からの撤退などが含まれる。テキサス州とフロリダ州が新たなターゲットとなり、ニューヨークのソーホーなどの地域の店舗は閉店している。
2009年以来、レンは米国のセフォラの34店舗で取り扱われており、今後数年でさらに店舗数を拡大するという。ユニリーバはレンの収益を公表していないが、それは8桁の範囲である。さらにレンは、キープ・ヤング&ビューティフル(Keep Young & Beautiful)の全製品やさまざまなニキビ製品などの29製品を品揃えから削除している。
2022年にはレンの店舗数は400だった。目標は、今後3年間で物理的な拠点をセフォラと一時的なパートナーのみに合理化することであり、来年には新たな拡張計画が展開されるという。また、同時に、レンはセフォラでのブランド価値の構築だけではなく、ショーフィールズ(Showfields)や米国の下位市場でのポップアップなど、エンターテイメントにフォーカスした小売スペースにも注力する予定である。
昨年、同じユニリーバ傘下のリビングプルーフ(Living Proof)からレンに移ったCEOのミシェル・ブレット氏は、「セフォラとの提携は非常に意図的なものだった。なぜならセフォラはブランドがカテゴリーを構築しようと試みて、明確な違いを持ったメッセージングを行う際に協働するのに最適な小売業者の1社だからだ」と語っている。
レンは、昨年、割引に注力したり、レンのストーリーを伝えられなかったなどの理由から、販売を担当していた小規模なeテイラーの多くから撤退した。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
英国拠点のプレステージスキンケアブランド、レン(Ren)は、製品範囲と発売頻度を減らし、米国の店舗面積を制限している。この計画は、敏感肌ブランドとしての23年間の評判をさらに高めて、新たなレベルの成長を目指すものだ。
小売はセフォラとAmazonに注力
ユニリーバ(Unilever)傘下のレンは、2023年から2027年にかけて年間収益を46%増加するという目標に向けて、新規分野に資金を振り向けるために大幅な削減を行った。これには、米国セフォラ(Sephora)との提携への注力や、顧客データを活用して地理的な成長機会を活用することや、レンが浸透しすぎている地域からの撤退などが含まれる。テキサス州とフロリダ州が新たなターゲットとなり、ニューヨークのソーホーなどの地域の店舗は閉店している。
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2009年以来、レンは米国のセフォラの34店舗で取り扱われており、今後数年でさらに店舗数を拡大するという。ユニリーバはレンの収益を公表していないが、それは8桁の範囲である。さらにレンは、キープ・ヤング&ビューティフル(Keep Young & Beautiful)の全製品やさまざまなニキビ製品などの29製品を品揃えから削除している。
2022年にはレンの店舗数は400だった。目標は、今後3年間で物理的な拠点をセフォラと一時的なパートナーのみに合理化することであり、来年には新たな拡張計画が展開されるという。また、同時に、レンはセフォラでのブランド価値の構築だけではなく、ショーフィールズ(Showfields)や米国の下位市場でのポップアップなど、エンターテイメントにフォーカスした小売スペースにも注力する予定である。
昨年、同じユニリーバ傘下のリビングプルーフ(Living Proof)からレンに移ったCEOのミシェル・ブレット氏は、「セフォラとの提携は非常に意図的なものだった。なぜならセフォラはブランドがカテゴリーを構築しようと試みて、明確な違いを持ったメッセージングを行う際に協働するのに最適な小売業者の1社だからだ」と語っている。
レンは、昨年、割引に注力したり、レンのストーリーを伝えられなかったなどの理由から、販売を担当していた小規模なeテイラーの多くから撤退した。
レンはセフォラとそのD2CチャネルのほかにAmazonでの流通も優先している。広告キーワードを通じて、ケアの難しい肌向けのスキンケア製品を探している消費者をターゲットにしている。ブレット氏は「Amazonを通じて新しい消費者を獲得していることが判明しており、値引きはしていない」と語っている。
さらに、レンはヴァージンアトランティック航空(Virgin Atlantic)とのパートナーシップを強化しており、自社製品をバスルームや会員クラブで提供している。ブレット氏は「ヴァージンは現在ではホテルやクルーズ船も運営しているので、我々にとってのチャンスだ。多数のホテルがさまざまな消費者にサービスを提供しており、持続可能でクリーンでありながら優しいブランドを求めている」と述べている。
ボディケアとフレグランスとカテゴリーを拡大
レンが検討している新たな収益源には、スパやサロン、トラベルリテールなどがある。ブレット氏によると、旅行中やストレスの多い時期には皮膚が荒れやすいという。レンは、持続可能性、クリーンな成分、敏感肌に優しい配合に引き続き注力しながら、カテゴリーにも注目している。
「ボディスキンケアは現在(急速に)成長しており、消費者はこのカテゴリーではマスからプレステージへ移行している」とブレット氏。「そのため、当社はそこでの信頼性を高めたいと思っている。」 グランドビューリサーチ(Grand View Research)のレポートによると、世界のボディケア市場は2021年に269億ドル(約3.7兆円)と評価され、2022年から2028年にかけて5.9%の年平均成長率で拡大すると予想されている。
マーケティング&クリエイティブチームを刷新
上述したようなさまざまな変更に伴い、レンはマーケティングとクリエイティブ全体の人員を全体的に見直し、新しいマーケティングチームとクリエイティブチームを採用して自社ブランドにもっとモダンな雰囲気を加えた。「チームメンバーらはダイナミックな経歴と真のブランド価値を構築する感覚を持ち合わせており、レンをもっとモダンな視点で捉えることができる」とブレット氏は述べる。「また彼らのほとんどが初期のレンのファンだった。その情熱は重要だ」。9月には、オーブリー・トゥ氏がリビングプルーフから小売販売・マーケティング担当ディレクターとしてレンに入社した。
レンのマーケティングメッセージは、敏感肌への製品の適合性にフォーカスするだけではなく、赤みの軽減を示す使用前と使用後の写真や、保湿力の向上と肌の明るさを示す臨床研究の結果も含まれている。敏感肌に関する専門知識やコミュニティのストーリーテリングに注力したメッセージングを行っているインスタグラムや TikToとともに、レンは先行者のメリットを享受するためにスレッズ(Threads) などの新しいプラットフォームも試している。「スレッズに困難さはない。今のところは楽しいものになっている」とブレット氏は述べている。これまでのところ、スレッド上のレンのコンテンツには、ユーモアに満ちた投稿や使われているスキンケア製品に関するアンケートなどがある。
データとAIを使って運営を効率化
レンが売上目標を達成するために運営を最適化する際には、データとAIも考慮されている。サステナビリティ主導のブランドとして、データを使ってサプライチェーンをさらに効率的にすることは、ビジネスだけでなくサステナビリティの認証にも役立つものだ。同社は、2025年のプラスチック削減目標に沿った削減を目指して、使用したプラスチックの量に関する定量的なデータを使用した。また、通常、輸送は最大の二酸化炭素排出源のひとつであるゆえに、輸送ルートの効率化のためにデータも使用された。
「持続可能性の『データ化』は次のフロンティアだ。なぜなら、まずは規制のためでもあるが、ビジネスの運営方法をさらにスマートにするためでもある」と述べているのは、アクセンチュア(Accenture)のESGリテール担当シニアマネージングディレクター、カーラ・スミス氏だ。最近の調査に基づいて、スミス氏は、ブランドはデータを活用して、ESG認証とともに事業を改善できると考えている。
「ユニリーバプレステージ(Unilever Prestige)を通じて、レンはさまざまなAI専門家らと数日間話し合い、(レンが持続可能性のデータ化という)問題に対処できるようにサポートを受けられた機会があった」とブレット氏は述べている。レンは2015年に非公開の金額でユニリーバに買収された。「課題のひとつにはアルゴリズムへの対応がある。取り組んでいるものの機密性が保たれ、それがアルゴリズムに漏れないようにするためにはどうすればいいのだろうか」。AIは大規模学習モデル(LLM)を使用しており、一部の企業は、現在、データの機密性を保つためにクローズドLLMを検討している最中である。
[原文:Targeting growth, Ren is cutting 70% of its US retail footprint]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)