セフォラのeコマース・シニアバイスプレジデントでジェネラルマネージャーのキャロリン・ボジャノウスキー氏が同社のリテールチームに加わったのは2005年のこと。「セフォラは常にデジタル体験に力を入れている」と、最新のGlossyビューティポッドキャストでボジャノウスキー氏は語っている。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
セフォラ(Sephora)のeコマース・シニアバイスプレジデントでジェネラルマネージャーのキャロリン・ボジャノウスキー氏が同社のリテールチームに加わったのは2005年のこと。それがお菓子のバイヤーの娘であるボジャノウスキー氏がみずからの子供時代にオマージュを捧げる機会となった。彼女の心の中で、セフォラは「美のお菓子屋さん」だったのだ。
「セフォラは常にデジタル体験に力を入れている」と、最新のGlossyビューティポッドキャストでボジャノウスキー氏は語っている。
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そのeコマース体験をパンデミック中は最大限に機能させる必要があった。ボジャノウスキー氏はセフォラの店頭での受け取りを加速させるよう先導しただけでなく、インスタカート(Instacart)との意外な提携も円滑に進めている。顧客へのリーチを拡大するために、セフォラの当日集荷サービスも開始した。「誰かに時間を還元することができるなら、それはラグジュアリーな体験をすることについて考えるためのもうひとつの方法だ」と彼女は言う。
Covid-19の際、ボジャノウスキー氏は店頭のカスタマーサービスを、試供品を店で実際に試すことができないオンラインへと移行するという任務も負った。Sephora.com上に、製品ページ、シェードファインダー、クイズ、UGCに加えてライブビューティヘルプをローンチしたが、それによって顧客は、自宅にいながらにしてセフォラのビューティアドバイザーとチャットができるようになった、とボジャノウスキー氏は語る。これもまた、同社にとってまったく新しい小売の役割を生み出した。
以下、対談のハイライトをわかりやすく編集して簡潔に紹介する。
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時間を還元する
「私たちの顧客にとって時間はもっとも希少な資源だ。そのことについて考えたのは、誰もがこの便利な世界へと、そしてカーブサイド(ピックアップ)やインスタカートとの提携といった方向へと転換しているときだ。これは時間の節約になる。これは生活をより楽にしてくれる。そして私たちはセフォラのブランドのポジショニングと体験を継続する手段としてそれを行っている。たとえば、オンラインで購入して店舗で受け取る場合、店舗に行けば自分が選んだものについて相談したり、質問に答えてくれたりするビューティアドバイザーと話をすることができる。10月にローンチした即日配送については、いかなる障壁をもなくすものだし、『迷うことはない』と思った。即日配送のおかげでSephora.comにアクセスすれば、大半の顧客は注文したビューティアイテムを約2時間以内で手に入れることができるようになった。これこそ究極の贅沢であり、利便性だ」。
家庭でのリテール体験の創造
「ホームチャットのコンセプトは、ロックダウンで店舗が閉鎖されたときにスタートした。『ビューティアドバイザーのすばらしい才能や知識をどのように活用できるだろうか? アドバイザーを自宅で待機させて、Sephora.comにアクセスしている顧客とつなげるようにしよう』と考えた。それは20分間のフルフェイスのコンサルテーションになるだろうし、動画でやりたいと思うアドバイザーもいるかもしれないと考えた。だが私たちが気づいたのは、結果的にそれはとても理にかなっていたのだが、誰もがテキストを書くのがうまくて、それこそがチャットの本質だということだ。顧客がこちらに求めているのは、私たちが日常で行っていることだった。『この新しいモイスチャライザーの製品ページを見ているんだけど、私のオイリーな肌に合うと思う? それとも保湿しすぎになる? 』といったことだ。こうしたクイックヒットこそ顧客が欲していたことだった。私も一日、ビューティアドバイザーとしてチャットをする機会があったが、それはとても迅速で熱くおもしろい体験だった。ビューティアドバイザーにとって非常に楽しく、サポート全体の体験を増大させるすばらしい手段だ。アドバイザーをたちは店舗に来て働き、製品に関する深い知識を得るだけでなく、顧客に異なるサービスを提供する時間を確保するなど柔軟に対応している」。
顧客とともに進化する
「ひとつのブランドとして、セフォラは同じモバイルジャーニーで少しずつ成長を遂げている。自分のチームのために何かを承認しなければならなかったときに、『よし、デスクトップ上のサイトのために順番待ちするのはやめるべきだから、全員に電話が必要だ』と思ったのを覚えている。常に携帯電話を優先だ。また、アプリはもう終わっているという疑問もあるが、私たちはそうは思わない。私たちの顧客はアプリを気に入ってくれているし、アプリのおかげで毎日新しい顧客が増え、ダウンロード数も増加し続けている。また私たちは(無限の)スクロールのようなトレンドに(合わせて)常に調整もしている。誰もがインスタグラムでのスクロールに慣れたので、スクロール動作を模倣してアプリやモバイルウェブでのコンテンツの位置を変更した。常に『コンテンツが多すぎないだろうか? ファーストビューやその下には何があるのか?』ということを(自問自答して)注意を払っている。顧客がいつまでも親指でスクロールすることに慣れてしまっていることにも気づいた。顧客が興味を持って関与し、私たちが関連性のあるコンテンツを顧客に提供しているのであれば、そこがまさにあるべき正しい場所だ。私たちは顧客とともに進化し続け、買い物のためのベストな方法を提供していく」。
[原文:Sephora’s Carolyn Bojanowski: Convenience is the ultimate luxury]
NITYA RAO(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)