ビィーティにおける視覚的な美しさの本質は、美容ブランドのマーケティング戦略のなかで何年も息づいてきた。YoutubeやInstagramがよい例だろう。しかしパンデミックの影響で、消費者がデジタルオーディオの利用を加速させると、美容ブランドは、ビューティリスナーに焦点を当てることを求められるようになった。
ビィーティにおける視覚的な美しさの本質は、美容ブランドのマーケティング戦略のなかで何年も息づいてきた。YoutubeやInstagramがよい例だろう。しかしパンデミックの影響で、消費者がデジタルオーディオの利用を加速させると、美容ブランドはビューティリスナーに焦点を当てることを求められるようになった。
音声メディアの魅力がより明確に
人々との接触が減ったコロナ禍に、有意義な会話やつながりがClubhouseやTikTokといったプラットフォーム上で生まれるようになり、音声メディアの魅力は美容ブランドにとってますます明確になった。だが、多くのブランドは音声メディアをホリスティック(包括的)な観点からではなく、認知度を大規模に広めるための手段として、またはダイレクトレスポンスのチャネルとしてとらえているため、活用しきれていない。
デジタルオーディオの可能性
ナーズ(Nars)のグローバルデジタル戦略&ソーシャルエンゲージメント担当バイスプレジデント、ディナ・フィエロ氏は、デジタルオーディオはローカルとグローバルの両方のオーディエンスにも届けることができ、美容関連の話題に参加してもらうことができる。美容ブランドは取り組み方にもよるが、デジタルオーディオの可能性を検討する必要がある、と語る。
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まずは「ブランドアイデンティティーやブランド価値、差別化ポイントと美しく調和すると感じる、ポッドキャストの小さなグループを見つけて提携することから始まる」と同氏は8月24日、Glossyが主催する「Glossy U」で語った(聞き手はGlossyのエグゼクティブ・エディターのプリヤ・ラオ)。ナーズが検討しているのは、「番組ホストに広告を読み上げてもらうなど、ホストを活用すること」、あるいは「購入時の特別特典や割引コードを提供して、顧客獲得の効果を具体的に測定すること」だという。
リスナーとどうつながる?
ナーズはデジタルオーディオについて、多面的にアプローチしている。たとえば、4月にはスキンケアを最小限にとどめる「スキニマリズム(skinimalism)」や、ダイバーシティとインクルーシビティ(多様性と包摂性)、コロナ後の美容の未来といった話題をClubhouseで取り上げた。この中では同ブランドのピュアラディアント ティンテッドモイスチャライザー(Pure Radiant Tinted Moisturizer)の新色についても触れている。ナーズがブランド公式アカウントとして番組シリーズをホストせず、またClubhouseの主要なクラブ2つと連携することを選んだため、商業主義とオーセンティシティー(真正性)の中間でリスナーとつながることができた。
英国ではSpotifyでサンプリングの提供も実施した。リスナーは、選んだ製品サンプルをストリーミングプラットフォームから取り寄せることができるという施策で、ナーズは新規顧客へのリーチと、彼らがどのような製品に惹きつけられるのかという洞察を得ることができた。同様の施策は米国など5つの主要市場でも展開する予定だという。そしてデジタルオーディオの可能性がますます広がる中で、マルチメディア機能を備えるSpaces(ツイッター社の音声プラットフォーム)やDiscordでの展開も視野に入れている。
「飽和状態のソーシャルメディアのなかで我々が注目しているのは、デジタルオーディオとポッドキャストだ」とフィエロ氏は語る。「リスナーと有意義なやりとりを交わし、実際に行動を起こしてもらう絶好の機会がある」。
[原文:Nars’ Dina Fierro on audio: It’s ‘paramount’ for brands to be in relevant spaces and conversations]
NITYA RAO(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)