ラボグロウン・ダイヤモンドの次はヴェルメイユ。
108年の歴史を誇るヘルツバーグダイヤモンド(Helzberg Diamonds)が、デミファイン(金メッキ)ジュエリーを製品ラインアップに加えるなど、上質なラグジュアリー市場の民主化が進んでいる。今回の動きは、デジタルネイティブ・ジュエリーのオーレート(Aurate)との新規パートナーシップによるもので、オーレートは新たな資金調達ラウンドと歩調を合わせて初の卸売契約を締結する。
ヘルツバーグダイヤモンドとのブランドコラボレーションのマーケティングについて、オーレートの共同創業者でCEOのソフィー・カーン氏は、「ヴェルメイユが何かをみんなに理解できるようにする(ことが重要)」と述べた。「それは純銀の上に本物の金を重ねたもので、街頭で売られているような、ただ金のように見えるものとは違う」。
成長するデミファインジュエリー市場
さらにカーン氏は次のように語る。「価格に見合った品質がつねに当社の信念だ。今日のような経済状況では、それが特に当社の成長に貢献している。私たちは本物のダイヤモンドや本物の真珠を販売しているが、高価なものはない。ヴェルメイユは長持ちする。特に当社のヴェルメイユはそうだ」。オーレートの主力商品の価格帯は、ヴェルメイユのフープイヤリングの40ドル(約5670円)から、ダイヤモンドのベゼルテニスネックレスの1万8000ドル(約255万円)までとなっている。
ファインジュエリーの年平均成長率4%に対し、ヴェルメイユのスタイルを含む世界のデミファインジュエリー市場の成長率は約15%で、今後数年間はファインジュエリーを上回ると予想されている。
ラボグロウン・ダイヤモンドの次はヴェルメイユ。
108年の歴史を誇るヘルツバーグダイヤモンド(Helzberg Diamonds)が、デミファイン(金メッキ)ジュエリーを製品ラインアップに加えるなど、上質なラグジュアリー市場の民主化が進んでいる。今回の動きは、デジタルネイティブ・ジュエリーのオーレート(Aurate)との新規パートナーシップによるもので、オーレートは新たな資金調達ラウンドと歩調を合わせて初の卸売契約を締結する。
ヘルツバーグダイヤモンドとのブランドコラボレーションのマーケティングについて、オーレートの共同創業者でCEOのソフィー・カーン氏は、「ヴェルメイユが何かをみんなに理解できるようにする(ことが重要)」と述べた。「それは純銀の上に本物の金を重ねたもので、街頭で売られているような、ただ金のように見えるものとは違う」。
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成長するデミファインジュエリー市場
さらにカーン氏は次のように語る。「価格に見合った品質がつねに当社の信念だ。今日のような経済状況では、それが特に当社の成長に貢献している。私たちは本物のダイヤモンドや本物の真珠を販売しているが、高価なものはない。ヴェルメイユは長持ちする。特に当社のヴェルメイユはそうだ」。オーレートの主力商品の価格帯は、ヴェルメイユのフープイヤリングの40ドル(約5670円)から、ダイヤモンドのベゼルテニスネックレスの1万8000ドル(約255万円)までとなっている。
ファインジュエリーの年平均成長率4%に対し、ヴェルメイユのスタイルを含む世界のデミファインジュエリー市場の成長率は約15%で、今後数年間はファインジュエリーを上回ると予想されている。
新技術のおかげで、そしてまた着用したままシャワーを浴びても変色しないアイテムが入手しやすくなったこともあり、ジュエリー投資を取り巻く消費者の行動は変化している。この10年間で、ケンドラスコット(Kendra Scott)やゴルジャーナ(Gorjana)などのファッションジュエリーブランドは、デミファインジュエリーやファインジュエリーのコレクションを発表しており、レガシーブランドからトレードダウンする新規顧客を獲得している。一方、2015年以降、オーレート、メジュリ(Mejuri)、ドーシー(Dorsey)といったデジタルネイティブブランドが市場を席巻、女性は自分のために上質なジュエリーを購入したいと考えているというブランドの持論を証明している。そして宝石商は多くの顧客に対応することに価値を見出している。5000ドル(約71万円)の婚約指輪を販売するリングコンシェルジュ(Ring Concierge)では、898ドル(約12.7万円)のテニスブレスレットがベストセラーのスタイルだ。インスタグラムが同社の総売上の70%を牽引している。
コラボで若い女性へのリーチを目指すラグジュアリーブランド
ミズーリ州カンザスシティを拠点とするヘルツバーグダイヤモンドは、2017年からラボグロウンダイヤモンドを販売する全米規模で初のジュエラーとなったと報じられている。そして3月には、ラボグロウンダイヤモンドコレクションのレーヴ(Rêve)を発表、SCS-007ジュエリー サステナビリティ スタンダード認定のダイヤモンドを提供する初の全国的な宝飾小売業者となっている。1995年以降はウォーレン・バフェット氏の持株会社バークシャーハサウェイ(Berkshire Hathaway)が所有するヘルツバーグダイヤモンドは、米国中西部で大きな存在感があり、200店以上の店舗を運営している。限定版「ロール バイ オーレート(Laure by Aurate)」コレクションは、8月9日からeコマースサイトおよび30店舗で販売される。このコレクションは111種類のスタイルで構成されており、価格は100ドル(約1万4180円)から1300ドル(約18万4300円)となっている。
「今回のコラボレーションは、流行に敏感で自分で商品を購入する若い女性へのリーチを広げるまたとない機会となった」と、ヘルツバーグダイヤモンドのプレジデント、ジュリー・ヨーカム氏は言う。「さらに、ミレニアル世代とZ世代がジュエリー市場で重要な位置を占めるようになるにつれ、地球に優しいジュエリーという当社のビジョンをサポートし、商品ラインアップの幅を広げることにも貢献している」。
婚約指輪を購入する段階に先駆けて、買い物客との関係を築くことも目標だと同氏は言う。そして、オーレートの忠実な顧客ベースが今回の取引を後押しした。
成長に向けて加速するデジタルネイティブブランド
カーン氏によれば、昨年は口コミが売上の最大の原動力となり、オーレートの顧客獲得コストは前年比で30〜35%減少した。同ブランドの収益は50%以上増加し、平均注文額も上昇している。ブランドは利益を上げているのだ。
「多くのブランドはCovidによる売上の上昇を経験した。当社も同様だが、私たちの場合は、その後も下がることがなかった」とカーン氏は言う。
現在、オンラインビジネスの構築を成功させた経験と、8月4日に発表されたばかりのシリーズB資金調達ラウンドを武器に、オーレートは成長に向けて加速している。今回の資金調達額はトータルで2500万ドル(約35.4億円)に達する。このラウンドには、既存の投資家からのバイインだけでなく、卸売の専門知識を持つ新たな出資者も含まれている。この投資は、CMOのオードリー・フィッシャー氏、COOのジョシュ・ジュウェット氏、CFOのアレクサンドラ・ゴールドバーグ氏を含む、新規採用または昇進した経営幹部メンバーに使われる。さらに、ブランドのeコマースチャネルの計画的な改善を促進し、卸売りの拡大戦略を円滑に進めることになるだろう。
2015年のオープン以来、オーレートはいくつかのブランドショップを開店・閉店してきた。ブランドはニューヨークの2店舗からスタートしているが、どちらもパンデミックの初期に閉店している。その後、2021年12月から2022年2月にかけて、小売プラットフォームのリープ(Leap)と組み、サンフランシスコとニューヨークのマディソンアベニューに店舗をオープンした。その間、売上の95%がeコマースサイトを通じたものだった。
「私たちは常に小売の力を信じてきた」とカーン氏。「だが、店舗で1カ月かけて販売するものを、オンラインでは1日で売ってしまう。店舗の場合、たとえば50店舗くらいないと意味がない」。それでも、カーン氏は店舗を除外することはないという。「ブランディングの機会として」オーレートはいつか旗艦店をオープンさせるかもしれない。一方、競合のメジュリは24店舗を構え、卸売りチャネルでの販売は行っていない。
小売チェーンのメイシーズとの提携
費用や必要な労力に見合うだけの価値を得るべく、オーレートは小売パートナーと初めて提携した。同社はヘルツバーグと同様に、メイシーズ(Macy’s)とも提携し、同チェーンの顧客の好みに基づいて独占的にオーレートが作ったスタイルを提供している。8月末までに、価格中央値500ドル(約7万1000円)のアイテム140点以上がMacys.comで販売され、9月からおよそ170店で取り扱われる予定だ。両社の提携により、オーレートのプレゼンスは200店舗に広がることになる。
メイシーズのセンターコア&ビューティ・シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのジュリー・ウォルシュ氏は「当社の顧客は魅力的で流行のジュエリーアイテムを探していると話しており、オーレートはその分野で権威がある」と語る。「オードリー バイ オーレート」というそのジュエリーコレクションは、現在はイヤリングや重ねづけできるブレスレット、ネックレスなどだが、季節ごとにリフレッシュされる予定だという。
メイシーズとしては、プライベートブランドのファッションブランドとホームブランドの強化に注力しており、輝きを取り戻そうとしている最中だ。7月には、30歳から50歳の女性をターゲットに、よりサステナブルでモダンフィットのアパレルブランド、オンサーティフォース(On 34th)を発表した。
「当社の焦点は顧客が自分のスタイルを確立する手助けをすることだ」とウォルシュ氏。「そしてそれは、オープン価格からラグジュアリー価格まで幅広い製品にわたる可能性がある」。
6月、メイシーズは第1四半期の売上高が前年同期比で7%減少したと報告し、それに合わせて通期の業績予想を大幅に下方修正した。
「メイシーズはアメリカの卸売業者であり、小売のやり方を知っているし、店頭での体験に非常に精通している。さらに、メイシーズはどこにでも存在している」とカーン氏は述べた。「そしてヘルツバーグはファインジュエリーのエキスパートだ。両者はパートナーとしては完璧だ」。カーン氏はまた、顧客の需要を満たすためにメイシーズの豊富なデータを活用し、的確な品揃えを保証することにも言及した。
ジュエリー業界の最前線に立ち続けるために
一方、オーレートの商品を扱う小売業者は、オーレートの宝飾品eコマースの専門知識からメリットを得る態勢が整っている。2024年までの5年間で世界のオンラインジュエリー市場は199億ドル(約2.8兆円)の成長が見込まれていることは注目に値する。カーン氏によると、オーレートはマーケティングにMeta(メタ)を活用しており、トラクションに基づいてクリエイティブやインフルエンサー、自宅へのDMなどを定期的に更新している。
オーレートは、ケリー・ワシントン氏やミシェル・チョイ氏といった「意味のある」コラボレーターと組んでこれまで成功を収めてきた。また、ヘルツバーグはファッション消費者にリーチするためにブランドと組んだ経験がある。2021年には、英国デザイナーのジェニー・パッカム氏と長期的なパートナーシップをローンチした。
メイシーズとのパートナーシップは、カーン氏がヘッドバイヤーと協働するという「ターンキー」方式だったが、ヘルツバーグのプロセスは、ヨーカムやCEOのブラッド・ハンプトン氏とのコラボレーションが関与する、より奥深いものだとカーン氏は言う。オーレートはコレクションに含まれるアイテムのデザインだけでなく、製造が自社のサステナビリティ基準に適合していることを保証し、コピーや写真などのマーケティング要素も開発した。
オーレートのチームは店内ディスプレイのルックも手がけ、ヘルツバーグのセットアップは現代的なダークブルー、メイシーズのディスプレイはコレクションがサステナブルであることを示すグリーンを強調した。コレクションのマーケティングメッセージは、スタイルの品質とサステナビリティ、そして女性のエンパワメントが中心となる予定だ。
どちらのパートナーシップも卸売モデルに従っており、それぞれの小売業者は自社が販売するアイテムを購入する。そしてどちらにも終了日はない。
新たな資金注入によってサポートされるオーレートのウェブサイトの変更について、カーン氏は、ロイヤルティプログラムを含む新たな機能とスピードを期待していると述べた。
「私たちは(ジュエリー業界の)最前線に立ち続けたいと思っている」とカーン氏は述べた。「(毎年)50%以上の成長を続けるのは難しくなると聞いているが、それが私たちのやりたいことだ」。
[原文:Luxury Briefing: Luxury embraces demi-fine jewelry, as consumers seek ‘quality for price’]
JILL MANOFF(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)