米国のインフレ率が2021年以来の最低水準に達し、美容企業はその影響を実感し始めている。
ロックダウン後のインフレ時代にサプライチェーンと輸送コストが急増したため、多くの美容企業がそれを受けて価格を引き上げた。現在、消費財価格に関しては、すべてのカテゴリーでインフレが緩和されつつある。米国労働省労働統計局によると、消費者物価指数は2022年7月から2023年7月にかけて3.2%上昇しているが、2022年7月期の8.5%からは低下した。だが化粧品カテゴリーは、2021〜2022年7月期の3.2%増に続き、2022〜2023年7月期も5%増と、依然として全体平均を上回っている。
インフレで 「多くの企業が最終的な収益に影響を受けないよう、インフレに先行するような形で価格を引き上げた」と、創業3年のスキンケアブランド、デュー(Dieux)の共同創業者であるシャーロット・パレルミノ氏は言う。同ブランドではサイトの全製品リストに価格の透明性に関する情報を公開している。そのなかには、処方、パッケージ、試験、支払い処理、送料、手数料などの正確なコストと、マークアップの合計が含まれている。
パレルミノ氏によると、デューの生産コストは全体で約5%上昇したが、値上げは選択していないという。サードパーティの物流、工場、原材料、包装のコストはすべてブランドに計上されている。
一方、美容製品を値上げした企業もある。
米国のインフレ率が2021年以来の最低水準に達し、美容企業はその影響を実感し始めている。
ロックダウン後のインフレ時代にサプライチェーンと輸送コストが急増したため、多くの美容企業がそれを受けて価格を引き上げた。現在、消費財価格に関しては、すべてのカテゴリーでインフレが緩和されつつある。米国労働省労働統計局によると、消費者物価指数は2022年7月から2023年7月にかけて3.2%上昇しているが、2022年7月期の8.5%からは低下した。だが化粧品カテゴリーは、2021〜2022年7月期の3.2%増に続き、2022〜2023年7月期も5%増と、依然として全体平均を上回っている。
インフレで 「多くの企業が最終的な収益に影響を受けないよう、インフレに先行するような形で価格を引き上げた」と、創業3年のスキンケアブランド、デュー(Dieux)の共同創業者であるシャーロット・パレルミノ氏は言う。同ブランドではサイトの全製品リストに価格の透明性に関する情報を公開している。そのなかには、処方、パッケージ、試験、支払い処理、送料、手数料などの正確なコストと、マークアップの合計が含まれている。
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パレルミノ氏によると、デューの生産コストは全体で約5%上昇したが、値上げは選択していないという。サードパーティの物流、工場、原材料、包装のコストはすべてブランドに計上されている。
インフレの緩和にどう対応するか
ロックダウン以降、グロシエ(Glossier)、ジ・オーディナリー(The Ordinary)、E.l.f.ビューティ(E.l.f. Beauty)、エスティローダーカンパニーズ(Estée Lauder Companies)、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter and Gamble)などの企業が美容製品を値上げした。
インフレの緩和は、E.l.f.ビューティのような一部のブランドのさらなる値上げを抑制している。2023年8月の決算説明会で、同社のCEOのタラン・アミン氏は、「米国でのさらなる値上げは見送ることにした」と述べている。
E.l.f.ビューティのCFOであるマンディ・フィールズ氏は、Glossyとのインタビューで、「数年間、コンテナや輸送などに非常に高いコストがかかるなどしていたが、それらのコストが緩和されつつある」と語った。
とはいえ、まださらに値上げを計画している企業もある。プロクター・アンド・ギャンブルは、第4四半期に美容製品の価格を8%引き上げた。同社のCFOであるアンドレ・シュルテン氏は7月の決算説明会で、値上げが「オーガニックな売上の成長に7ポイント貢献した」と述べた。P&GのCEOであるジョン・メラー氏は説明会で値上げについて言及し、「価格改定は絶対的にはなくならない」と述べた。その理由として同氏は、インフレよりもむしろ、社のイノベーションパイプラインのコストを挙げた。また、「過去51四半期のうち48四半期は、価格改定がトップラインの成長にプラスに寄与してきた」と付け加えている。
値上げに慎重なブランドも
高インフレのなかで価格に敏感な消費者にアピールするブランドは、価格競争力を維持する必要性と、生産やサプライチェーンのコスト上昇とのバランスを取っている。
デューは値上げをするよりも、代替策を選んだブランドだ。「利益率には打撃を受けたが、価格は上げなかった」とパレルミノ氏は述べた。その代わり、eコマースサイトの送料無料基準を50ドル(約7310円)から60ドル(約8770円)に引き上げた。
一方、E.l.f.ビューティは、「前例のないコスト圧力が発生しているのが明らかな期間のみ価格改定を行った」とフィールズ氏は言う。「これまで実際に値上げをしたのは2回だけだ」。最初の値上げは2019年で、関税が原因だった。一方で一部の商品が1ドル(約146円)前後値上げされたのは、「インフレ環境」と原材料やサプライチェーンのコスト増が原因だった。
値上げはP&Gの収益を押し上げたが、ほかの企業にとってはパンデミック関連の逆風に打ち勝つには十分ではなかった。8月上旬に発表されたエスティローダーカンパニーズの年末決算では、美容コングロマリットである同社は主にトラベルリテールの売上減少に牽引され、年間売上高が10%減少したと報告した。エグゼクティブバイスプレジデントでCFOのトレーシー・トラビス氏の決算説明会によると、「インフレ率の上昇と為替変動、また在庫の高止まりを緩和するための一部市場でのプロモーションが、値上げを相殺する以上に営業利益率をさらに圧迫した」としている。
[原文:Is slowing inflation easing costs for beauty?]
LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)