クレオベラ創設者兼デザイナーのアンジェラ・オブライエン氏。世界中を放浪していたときにアイデアを思いつき、社歴15年にわたる強力なビジネスを構築した。現在、オブライエン氏が自己所有するクレオベラは成長モードにある。D2Cやインフルエンサーマーケティングなど、数々の取り組みについてきいた。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
クレオベラ(Cleobella)創設者兼デザイナーのアンジェラ・オブライエン氏は、世界中を放浪していたときに思いついたアイデアから社歴15年になる強力なビジネスを構築した。
「夫と私は南カリフォルニアでの仕事を辞め、1年間世界中を旅した。ヨーロッパではキャンピングカーで暮らし、東南アジア、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドを旅した。そしてもっと自由になりたいと思った」と、オブライエン氏は米Glossyポッドキャストで述べている。「その思いが、『どうやってビジネスを立ち上げてこのジャーニーを続けるか』というアイデアにつながった」。
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現在はバリで暮らし、ロサンセルスで働いているオブライエン氏。ロサンゼルスには、世界各地からインスピレーションを得てエシカルに製造された、世界中の職人による製品を販売するクレオベラの本社がある。
オブライエン氏によると、クレオベラには伝える価値のあるストーリーもあるという。「顧客は自分が使う製品がどのように作られているかを気にしている。オープン性を持って、我々の製品を作る人たちや彼らの技術と心を語ることは、私にとってもっとも重要。それこそがレガシーブランドを構築するものだから」。
現在、オブライエン氏が自己所有するクレオベラは成長モードにある。その例として、同氏はD2Cビジネスが前年比で100%成長した点を挙げている。また、その成長を促進しているのは何か、彼女がまだ卸売を信じている理由、資金調達を急いでいない理由について語ってくれた。
以下に、対談のハイライトをお届けする。なお、読みやすさのため、若干の編集を加えている。
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卸売とD2Cの比較
「D2Cビジネスが成長したため、いままで以上に利益率が向上している。パンデミック以前は20%だったが、現在ではビジネスの40%、すばらしいことだ。卸売であろうがD2Cであろうが、すべて会社全体の健全性をサポートするのに役立つ。我々には両方必要だ。また、この1年半ほどは8倍という驚異的なブレンドROASがあったことも言いたい。これは、製品に対して、そしてクレオベラの事業についてのメッセージに対する真の証だと思うし、エキサイティングだ。成長はずっと右上がりなので、eコマースエクスペリエンスにもっと多く投資して、ウェブサイトを刷新している。まず顧客のことを考えて、顧客がいるところにリーチしようと努めている。
健全な卸売ビジネスを維持して地域コミュニティで卸売アカウントにサービスを提供しながらも、D2Cの成長を続けるための機会はもっと多く存在する。なぜなら、ここ西海岸のコミュニティは我々のような中小企業を支援したり、地元のブティックに足を運んでくれているからだ。これは重要であるし、今後もなくなるものではない。そして、我々は(この方法で)クレオベラのメッセージを引き続き共有していく」。
インフルエンサーマーケティングに対する個人的なアプローチ
「インフルエンサーは常に我々のマーケティング戦略の一環にあった。インフルエンサー向けの予算は立てていないが、この業界ではこれは大きな部分だと認識している。今後数年のあいだに我が社もこの点で拡張するだろう。だが、ブランドと語り合いのエンゲージメントがどこにあるかを確認するインフルエンサーと関係を構築することは、我々にとって重要だ。インフルエンサーはブランドと同じような価値を持っているだろうか? 製品のデザインでコラボレーションを行ったことはあるし、(モデルの)モリー・シムス氏やロッキー・バーンズ氏とも協働したことがある。長年にわたり複数のコラボを行ってきた。多くの場合、(インフルエンサーを駆り立てるのは)個人的な関係による。クレオ・ウィメン(Cleo Women)と呼ばれるプログラムがあるのだが、これはすばらしい女性を取り上げて知ってもらう機会だ。彼女たちの多くは企業の創業者であり、本の執筆や精神的なウェルネスへの関与、持続可能な方法で作られた製品を提供することに取り組んでいる。
この業界で私が気に入っているのは、リーダーシップの役割を果たしているほかの女性たちとつながれる点だ。長年、数多くのすばらしい女性に出会うことができた。我々には、そのような女性たちや彼女らのストーリーについて共有したり、クレオベラ製品を贈ったり、彼女たちの専門領域において我々のチームや本人のチームが彼女たちと一緒に写真撮影をしたりする機会がある。(女性たちの軌跡は)とても共感できるし、そのようなストーリーを読むのがとても好きだ。私がソーシャルメディアを使っていて好きなのは、このようなすばらしい女性たちの生き様に憧れて、彼女たちを讃えること。これはずっとすばらしい経験になっている」。
自己資金で事業運営するメリット
「我々は資金集めをしたことがない。1万2000ドル(約150万円)の貯金でこの事業を始め、そしてその後は商品(の売上金)を毎年投入してきた。現時点では資金調達の予定はない。次のレベルに達して資金調達の機会を利用するときが来るかもしれないが、まだそこには到達していない。我々は健全で持続可能な事業を構築している。
また、高い成長を狙った戦略を持ちつつも利益を出していないブランド他社についてもいろいろ目にしている。これは我が社のメッセージではなく、目的でもない。我々は、持続可能で収益性の高い、健全なビジネスをじっくりと構築したいと考えており、将来どうなるのかが楽しみだ。今後3〜5年は具体的な計画があるので、それを戦略化するために経験豊かな専門家らと協力している。また、我々はその時その時に集中して、行っていることを楽しむようにしている。現在は、成長に対応できるチームを採用しているので、もっと労力を費やすのではなく、もっと賢く働けていると思う。ただ、優れた事業を行っていきたいと思っているだけで、そうすることで将来どうなるかが楽しみなのだ」。
[原文:]Cleobella’s Angela O’Brien on building a “slow, sustainable and profitable” fashion company]
JILL MANOFF(翻訳:ぬえよしこ、編集:小玉明依)