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いま アパレル業界 に必要なのは「数値化された指標」の活用:グラニフCEO村田昭彦氏【Glossy + TALKS】

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アパレル業界は昨年からのコロナ禍でさらなる苦境に立たされているが、今後生き残っていくために何を目指し、挑んでいくべきか。ユニクロ一強といわれる舞台に対抗していくのか?新たなる道を作り上げるのか?後者を選んだのが、グラニフだ。

2021年9月、デザインTシャツブランドから、グラフィックを軸とした「ライフスタイルブランド」へとビジネスモデルをさらに推進すべく、リブランディングした。その大きな変換を指揮したのが、グラニフ代表取締役CEO村田昭彦氏である。

村田氏はベイクルーズにおいてアパレル業界の常識をくつがえす戦略でECを躍進的成長に導いたのち、オンワードホールディングス常務を経て、2020年9月にグラニフ代表取締役CEOに就任。グラニフはデザインTシャツからスタートしたブランドで、ファインアートから絵本の世界、漫画・アニメのキャラクター、そしてオリジナルコンテンツまで、さまざまなグラフィックを使った商品を展開し、好評を博している。

業界を牽引してきた村田氏が進める、今回のグラニフの新戦略、そしていまアパレル業界に必要なものとは? ――
10月からスタートしたファッション、ビューティ業界のオピニオンリーダーたちへの公開インタビューイベント「Glossy+TALKS」で語ってくれた。

◆   ◆   ◆

ーー長年アパレル業界に携わってこられた村田さんからみた業界の現状とは?

国内アパレル市場は90年代のはじめ10数兆円あったが、2000年に入って10兆円を下回るようになった。ここ10年くらいは9兆数千億円というマーケットが年々緩やかに縮小もしくは横ばいが続き、昨年はコロナの影響もあって前年の9兆1千億円から7兆5千億円まで一気に下がってしまった。2015年対比で見ると、市場全体は20%減(1兆8千億円減)。でもユニクロだけは3%増(267億円増)とシェアを伸ばしている。いま市場の11%を占めているので、まさにユニクロ一強という状況といえる。

ーーじつは大きい日本のアパレル市場

アパレル市場は大きく右肩下がりが続いているという印象を抱いている方が多いようだが、コロナの前まではせいぜい横ばいか若干の下降くらい。昨年は別として、それまでは9兆円あったわけで、日本でこんなに大きな市場はめったにない。参入障壁が低いこともあり、BtoCブランドも含めると新規参入は増えているし、会社数はデータによって違うのですが、だいたい1〜2万社あるといわれている。

ーーグラニフのビジネス戦略とは? 競争? 独占?

ビジネスの戦略は、〈競争〉と〈独占〉の2種類に分けられる。アパレル市場でシェアを拡大することが競争に当たるが、競合が多く圧倒的に強いブランドがあるなかで、うちのようなブランドはとても太刀打ちできない。

そこで注目したのが「Net Promoter Score(顧客ロイヤルティの指標=NPS)」という指標。
我々が出店している商業施設内で、「このブランドを友人や親しい人にどれくらいすすめたいか?」というブランドイメージ調査をすると、毎回グラニフのNPSのほかの著名ブランドを凌駕するハイスコアを叩き出してきた。その理由をアンケートで紐解くと、個性的とか遊び心があるなど、グラフィックデザインに対する評価がとても高かった。そのとき気づいたのが、お客さまがほしいのは、Tシャツではなくグラフィックだ、と。

選ぶべき戦略は、競争ではなく「独占」。つまり新たな市場を開拓して、そこで唯一無二の存在を目指そうということで、「グラフィックビジネスで新市場を創出」するため、リブランドすることにした。

ーー今回リブランドをするにあたり、最初に手がけたこと

まずは会社のパーパス、志ともいえる「存在意義」、そして「ブランド理念」を再定義した。1〜2ヵ月かけて社内でワークショップをやった結果、存在意義は「すべての人にデザインのある日常を」、ブランド理念は「Hi-GRAPHIC , Hi-LIFE.」に決まり、グラフィックを通して豊かな暮らしを提案するブランドになろう、という方向性が定まった。

ーー今後の経営目標は?

5年後には売上高を3倍の300億円に、そしてECシェアを50%にしたいと考えている。経営目標は一般的に〈評価期間〉〈最終目標〉〈評価指標〉を設定するが、私は従来のアパレル企業が続けてきた考え方と異なり、評価期間は短期でなく「長期」、最終目標は売上・利益よりも「企業価値」、評価指標は店舗別売上・商品別売上ではなく「数値化された指標」を設定している。そうしないと先行きが見通せないし、正しい判断ができないからだ。

なかでも数値化された指標は、アパレル業界のみなさんにもぜひ取り入れていただきたい。どの指標を使うかは会社によって変わるが、先ほどお話ししたNPSのほかにLTV(顧客生涯価値)やCRR(顧客維持率)。それに顧客1人あたりの採算性はLTVをCAC(顧客獲得コスト)で割ったUnit Economicsを見れば、事業が成り立つかどうかを確認できる。

ーー成長するために最も重要な指標とは?

数値化された指標をもとに顧客を理解し、どこで勝負すべきか見定める。ここでは負けないという強みを見つけると、結果的に企業価値の向上にもつながっていく。

成長するために最も重要な指標が「North Star Metric(北極星指標)」。客数を増やせば売上が上がるのはその通りだが、それはあくまで結果の話。具体的に何をしたら客数が増えるのか、社内のどのチームにいても共通で追うべきひとつの指標を持とう、という指標になる。

たとえば、Amazonではプライム会員1人当たりの購入金額を、Facebookは登録から10日以内に7人以上の友人と友達になる割合をNorth Starに設定している。

すべての社員が共通の目標を追っていけば、継続的に良い状態が作れるようになっていく。数値化された指標のうち、どれを採用するのかと同様、何をNorth Starにするかは非常に難しく、センスが必要。しかしこれを正しく設定できるかどうかで、会社の未来は大きく変わると思う。

(公開インタビューイベントは2021年10月18日に実施)


■ 村田昭彦(むらた・あきひこ) / 明治大学卒業後、オンワード樫山に入社。ネットプライス(現BEENOS)、カフェグローブ・ドット・コム取締役COO、ベイクルーズ上席取締役、オンワードホールディングス常務執行役員を経て、20年9月よりグラニフ代表取締役CEOに就任。

Written by 山本千尋

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