昨年は、多くのD2Cブランドにとって予測が困難な年だった。それゆえに、多くの企業は成長支援のために昔ながらの流通戦略に頼り、不安定で高価な広告チャネルへの依存を減らしている。Glossyとモダンリテールが行った新しい調査では、卸売がD2Cの成長戦略にとってさらに重要な部分になっていることが判明している。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
昨年は、多くのD2Cブランドにとって予測が困難な年だった。
それゆえに、多くの企業は成長支援のために昔ながらの流通戦略に頼り、不安定で高価な広告チャネルへの依存を減らしている。Glossyとモダンリテール(Modern Retail)が行った新しい調査では、卸売がD2Cの成長戦略にとってさらに重要な部分になっていることが判明している。
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この最近の調査で、昨年の販売チャネルとマーケティング支出のパフォーマンスについてD2Cブランド70社に質問したところ、卸売がもっともボラティリティの低いチャネルと考えられてるようだった。
たとえば、回答者の20%以上が昨年マーケティングへの支出が減ったと答えたのに対し、卸売パートナーシップから退却したと答えたのはわずか10%だった。一方、マーケティング支出を「大幅に増やした」のは12%、卸売が同じように大幅に成長したと回答したのは18%だった。
これは多くのブランドが公に語っていることと一致している。iOS14をきっかけにMeta(メタ)のようなプラットフォームへの依存を減らすことに注力している企業は多く、また、卸売を成長の主要手段と見なしている企業もある。
たとえば、高級シリアルブランドのマジックスプーン(Magic Spoon)はこれまではオンライン販売のみだったが、米国の数千の店舗へと急速に拡大している。
マジックスプーンの共同創業者のギャビー・ルイス氏は「我々は、業界とカテゴリーが成熟しつつあることに気づいた」と、以前モダンリテールに語っている。「他社が同じような商品を出しはじめていた。…そして、オンラインの顧客から『いつになったら店舗で買えるのか?』と毎日のように聞かれるようになっていた」。
このような気づきはマジックスプーンに限ったことではなく、現在の環境における成長を見極めようとしている多くのD2Cスタートアップにとっても当てはまるようだ。
また、来年も似たような状況が続くと思われる。Glossy&モダンリテールの調査によると、マーケティング費用の削減を計画しているD2Cブランドはほとんどない。しかし、これらのブランドの多くは、マーケティング予算を大幅に増やすと回答したブランドと比較して、卸売の拡大を大幅に強化すると述べている。
店舗販売に対する注力は消費者の全体的な傾向と一致している。PwCの米国小売リーダー、ケリー・ペダーセン氏は以前モダンリテールに次のように語っている。「あらゆる部分でトラフィックが増えている。人々は現在、物理的な環境に戻ることを激しく望んでいる」。
[原文:Glossy Research: More DTC brands see wholesale as a stable channel for growth]
CALE GUTHRIE WEISSMAN(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)