2月下旬にGoogleはモバイルネットワークの変更を発表、現在進行中のプライバシーの見直しにおける次の段階へと進んだ。この変更には、サードパーティソースとのユーザー情報の共有廃止が含まれている。これ
はブランド、小売業者は、いまや別のマーケティング戦略を見つけなくてはならなくなったということを意味している。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
2月下旬にGoogleはモバイルネットワークの変更を発表、現在進行中のプライバシーの見直しにおける次の段階へと進んだ。この変更には、サードパーティソースとのユーザー情報の共有廃止が含まれている。これが意味することは、顧客のリターゲティングに関してグーグルの情報共有に頼っていた広告主やブランド、小売業者は、いまや別のマーケティング戦略を見つけなくてはならなくなったということだ。
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対抗策はマーケティングミックスの多様化
Appleも昨年プライバシーに関する同様の変更を実施しており、ブランドや広告主は、たとえばCookieに頼らずに顧客をリターゲティングする方法を見つけるなどの先手を打っている。ブランドは現在、SMSやオーディオなど、GoogleやAppleの変更にあまり大きな影響を受けないチャネルに焦点を当て、マーケティングミックスを多様化させている。
アップルの変更によって約100億ドル(約1兆1600万円)の広告収入を失うだろうと述べたFacebookは、Googleも同じ方向に進むために現在再び損失を被る立場に立たされている。歴史的にビッグ・テックのプラットフォームでのパフォーマンスマーケティングに依存してきたD2Cブランドは、現在、ほかの場所に目を向けている。
「我々のクライアントで、このような変更をもっともうまくくぐり抜けたのは、ビッグ・テックのプラットフォームに頼るのではなく、マーケティングミックスを多様化したブランドだ」と語るのは、ダイレクトマーケティングエージェンシーのベラルディウォン(Belardi Wong)でデジタル戦略および統合マーケティングバイスプレジデントを務めるキャラ・マーフィー氏だ。そうしたクライアントは、SMS、ダイレクトメール、オーディオ、そしてTikTokやSnapchatなど、ほかの技術プラットフォームに投資してきたと彼女は話す。
「AppleとFacebookがすでに同様の変更を行った後、ブランドは何をすべきかを知っているという感覚が今ではある」と彼女は述べた。「数年前からブランドはCookieの終了に対処してきたので、不意打ちを食らったという感じはそれほどない」。
SMSやダイレクトメールが重要なツールに
レベッカ・ミンコフ(Rebecca Minkoff)のようないくつかのブランドでは、Cookieが完全になくなりつつある今、SMSが重要なリターゲティングツールになっている。
広告による獲得のためにFacebookやGoogleを使用するのは相変わらず効果的だが、それらの広告が売上に貢献するかどうかは変化している。SMSはブランドと顧客との間に介在するテックプラットフォームが存在せず、直接フィードバックが得られるチャネルであるため、SMSによって多くの顧客を誘導することでブランドは失われたアトリビューションの一部を補うことができる。
「アトリビューションはだんだん難しくなっている」と述べるのは、サングラスブランドのプリヴェ・ルヴォー(Prive Revaux)のeコマースディレクター、ネヴィン・ジェスマラーニ氏だ。「SMSにサインアップしている人々がもっとも忠実な顧客であり、とにかくリターゲティングしたい人々だ」。
eマーケター(eMarketer)によると、パンデミックが始まって以来、SMSマーケティングを採用するケースが20%増加しているという。
獲得面ではダイレクトメールもまた有効なチャネルだ、とマーフィー氏は指摘している。バックカントリー(Backcountry)のような小売業者やロフラー・ランドール(Loeffler Randall)といったブランドは、昨年、ダイレクトメールキャンペーンをローンチした。ダイレクトメールならブランドは幅広いオーディエンスにリーチでき、FacebookやGoogleの広告に似た地理的なターゲティングが可能だとマーフィー氏は説明した。郵送先の住所と製品の注文の配送先住所を照合することで、ブランドはダイレクトメールから確実なアトリビューションデータを得ることすらできる。
こうした代替チャネルが魅力的なのは、費用対効果がより高くなるという点だ。マーフィー氏によると、GoogleのCPM(1000インプレッションあたりのコスト)は、2月に前年比50%以上上昇したという。
広告ビジネスは今後もGoogleが大きな部分を担うと予想
FacebookやGoogleのようなプラットフォームから広告費を完全に引き揚げることは勧めないとマーフィー氏は述べているが、多様化が重要である理由は単に、Googleが約束したサードパーティCookieの代替手段がいまだに明らかになっていないからだ。GoogleはCookieの機能を置き換えるために、広告のアトリビューションを追跡する代替策をいくつかテスト中だと繰り返し述べている。
「サードパーティCookieが持つアトリビューションの5割になるのか、8割なのか、それとも何なのかはわからない」とマーフィー氏は言う。
だが一部のブランドは、今後もGoogleが自社の広告ビジネスの大きな部分を占めていくだろうと確信している。
「彼らの戦略を語ることはできないが、Googleは広告で収益を得ており、準備できる代替手段がなかった場合、このオプションを除外することはないだろう」とカーラー(Caraa)の創業者アーロン・ルオ氏は、Googleのプライバシーポリシー変更の第一弾が発表された昨年4月にGossyに述べている。
[原文:Following Google’s privacy changes, brands seek new ways to acquire and retarget customers]
DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)