2016年創業のファーマシーは、2021年末にP&Gに買収され、これまでマーケティングおよび消費者エンゲージメントのバイスプレジデントを務めていたミナ・チェ氏がCEOに就任。チェ氏は、OHH広告や4月のファーマシー初のポップアップなど、より多くの広告やマーケティングを通じたブランドの認知度向上を計画している。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
「ファーム・トゥ・フェイス(農場から顔へ)」を理念に掲げるスキンケアブランド、ファーマシーのCEOであるミナ・チェ氏が、5年前にマーケティングおよび消費者エンゲージメントのディレクターとして同ブランドに入社したとき、チームは非常に小さく、それこそ彼女みずからインフルエンサー向けの配送物を箱に詰めるのを手伝ったり、ブラックフライデーショッピングの期間に車で倉庫まで出向いて出荷用の梱包をしなくてはならないほどだった。
2016年創業のファーマシーは、2021年末に未公開の金額でP&Gに買収された。この買収と同時に、チェ氏はファーマシーのCEOに就任した。チェ氏はこれまでマーケティングおよび消費者エンゲージメントのバイスプレジデントを務めていたが、1月からはCEOの職務を遂行している。CEOとしての彼女の計画は、アウトオブホーム(OHH)広告や4月に行うファーマシー初のポップアップなど、より多くの広告やマーケティングを通じてブランドの認知度を高めることだ。
Advertisement
「働き始めたばかりの頃は、(インスタグラムの)コメントのDMすべてに自分で返信していた。レビューを全部読むためなら徹夜してもかまわないと思っているので、いまでも徹夜でレビューを全部読んでいる」と、チェ氏は米Glossyビューティポッドキャストの最新エピソードで語っている。「そのおかげで消費者とつながることができたし、独自の視点を持つことができた。CEOとしての私の目標は、その(関係性を)継続することだ」。
さらにチェ氏は、CEOの役割への移行やブランド認知度を高めるための計画、そして今後ブランドがサステナビリティに注力していくことなどついて米Glossyに語っている。以下、対談のサマリーをお届けする。なお、わかりやすさのため若干の編集を加えている。
Subscribe: Apple Podcasts | Stitcher | Google | Spotify
マーケターからCEOへの転身について
「マーケターであるということは、常に消費者について考えること(を意味している)。私は消費者のことしか考えていないし、消費者中心主義だ。CEOとしての自分の役割も同じだと思う。明らかに責任は拡大したが、自分のアプローチはまったく変わらない。それは本当に消費者に思いを馳せるということ。つまり、自分たちは消費者の期待に応えているか? 自分たちの製品は消費者に愛されているか? ブランドとして支持しているものを消費者は気に入ってくれているか? ブランドとの関わりすべてがポジティブなものか? マーケティングという仕事を通じて私は消費者を見つめてきたし、実際に消費者と話をしてきた。そして私たちの価値を理由に消費者がブランドとどのような関係を築いてきたかを目にしてきたことが、CEOとしての私の視点を形成している」。
意義のある方法で目立つこと
「消費者にはあまりにも多くの選択肢がある。インスタグラムをやっていれば5分も経たないうちに、ぜひ試してみなくちゃという新しい美容液が10本、これまで存在すら知らなかったのにカートに入れなくてはと思うスカートが6枚にジャケットが5着も見つかる。毎回毎回、消費者がファーマシーの商品をひとつカートやカゴに入れてくれるたびに、それは光栄なことであり、特権であるということを決して忘れたくない。私たちはなるべく取引ではない形の消費者とのコミュニケーション方法を見つけようとしている。ブランドの認知度を高めることについてだけでなく、ブランドエンゲージメントに関してもそうだ。4月のポップアップもその一環で、美容という枠を超えて既成概念にとらわれない視点で考えている。ほかにも可能性として、特定のパートナーとのダイニング体験のポップアップなども含めているが、それというのも、ファーマシーはコミュニティをサポートしており、できるかぎりサステナブルであろうしているし、成分や肌や身体に配慮することを支持しているからだ」。
今日のクリーンビューティが意味するもの
「クリーンビューティという言葉は漠然としている。その結果、消費者にとってあまり意味がないこともある。6年前にファーマシーがスタートした当時は、クリーンビューティは新しいものだったし、ブランドを定義するためのひとつの方法だった。いまでは、クリーンであることは当たり前のこととなっている。送料無料と似たようなものだ。そうではなくなって初めて気がつく。消費者がクリーンでありたいと言う場合、それは信頼できる処方がほしい、透明性や説明責任を求めている、といったことを意味する。原料になにを使用しているか、なぜその原料を使うことを選んだのか、あるいはなぜその原料を使わないことにしたのか、そうした点について本当に正直であることだ」。
[原文:Farmacy CEO Mina Chae on making consumer interactions ‘less transactional’]
EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)